BMW M2 Coupe 特別編 [M2 Coupe vs 718 Boxster 前編 その2] 特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。 次に両車のトランクスペースを比較してみる。実はボクスターの場合はフロントにエンジンが無い事からフロントボンネットフードと思って開けると、そこにはラゲージスペースらしき空間が出現する (写真右) 。これは 911 と共通で、要するにボクスターと 911 はフロント部分が共通なためだが、911 の場合はリアエンジンだからリアフードを開けるとそこにはエンジンが見えるが、ボクスターはリアにも小さいながらトランクスペースを持っている (写真右下)。という事は前後にラゲージスペースがある訳で、この2つの空間を合計すれば思ったよりは実用になる。しかし、容積としては数字上充分でも少し大きなモノだと、入れる事が出来ない。特に幅はリアでも1mくらいしか無いからチョッと長いモノになると入らない事になる。 それでは M2 のトランクスペースはどうだろうかといえば、これまた出自がCセグメントハッチバックだけあって長さが短い上に、クーペボディのデメリットで高さも低い (写真左下) 。要するに大した荷物は積めないが幅に関してはボクスターよりマシだし、リアシートのバックレストを倒してリアパッセンジャーエリアまで使えば長さについては圧倒的にボクスターに勝つ事が出来る。 今度はドアを開けて先ずはフロントシートを比較してみると、バックレストの形状はむしろ M2 の方が ”スポーツ” している感じで、要するに左右のサポートのための峰が立っている。しかしボクスターだって負けてはいないぞ。こちらはヘッドレスト一体型のハイバックシートとなっている。まあその代わりにヘッドレストの高さが調節出来ないが、あの部分を自分の頭に合わせて調整しているドライバーって見たことが無い‥‥。 なおシートの座面位置はボクスターの方が圧倒的に低く、如何にも特殊なクルマを運転しているという気分を盛り上げてくれる。対する M2 は正直言ってサルーン的なポジションなのはベースが小型ハッチバックという生まれが原因であり、やっぱり出自が中流とは言え所詮は一般ピープルということだ。 リアパッセンジャースペースは M2 の場合、ただでさえ狭く成りがちな2ドアクーペで、しかもCセグメントとなれば狭いのは当然だが、それでも大人二人が何とか座ることが出来る。これに対してボクスターは‥‥そもそもフロントシートのバックレストの直ぐ後ろには壁があり、その隙間は殆ど無い。狭いとはいえ M2 のリアスペースにはチョッとした手荷物というかアタッシュケースなどを置いたり、スーパーでの買い物袋をおっぽりこんだりと、実用的な用途には十分だ。 これに対してボクスターでアタッシュケースを置く場合は、一人で乗るならパッセンジャーシートに置く事になるが、二人乗車だったらばフロントのトランクに入れる事になる。あっ、勿論リアトランクでも良いが。一番困るのは大雨の日に二人で乗車する場合で、びちょ濡れの傘を置く場所は無く、さりとてトランクに入れたらば室内への乗り降りでビチョ濡れになるし‥‥いやこれぁ正直参るぞ。 シート表皮は M2 がBMWではお馴染みのダコタレザーでボクスターはサイドが人工皮革でセンターがアルカンターラというポルシェのエントリーグレードではお馴染みのもので、何時も言っているようにアルカンターラ=人工皮革=低グレード用という図式だが、何を隠そうアルカンターラは下手な本皮よりも高価な素材だったりする。なお写真左下の M2 は実は手持ち写真の関係で M235i の場合で M2 でブルースステッチとなる点が異なっているが、シート表皮の材質自体は同じものだ。 シートの調整は M2 ではBMWに共通の座面右下にあるスイッチによるフルパワーで、同じパネルにはこれまたお馴染みのポジションメモリースイッチが見える。このメモリーは2種類の値を記憶できるから夫婦で共用する場合に便利だし、二人分しかない事は浮気防止にもなる。ボクスターの標準は前後と高さ調整は手動でバックレストのみは電動となっている。シビアな調整が必要なバックレストのみが電動というのは流石にクルマを知っているポルシェだけの事はある。 スカッフプレートなどと呼ばれているサイドスカットルの上面に付けられた装飾プレートには M2 の場合は ”M” のロゴマークが、そしてボクスターには "Boxster" のロゴが入っている。まあこれは性能には全く関係ないものだが、ある程度以上のグレードのクルマには当然のように付いているもののようだ。 ドアーインナートリムは M2 の場合、なんてったって出自が1シリーズという BMW のボトムレンジのクルマであり、基本的にパネルの多くをプラスチックで一体成型する設計となっているから、それを元にアームレスト付近を多少頑張って高級に見せているという感じだ。それに比べるとボクスターの場合は何とあの 911 と共有しているから高級感も十分だ。しっかし安くても 1,200万円、高ければ軽く二千万円超の 911 がボクスターと共有という事は 911 が値段の割にショボいのか、ボクスターが値段の割に高級なのか、ハテ? |
ダッシュボードについては下の写真で比較するのだが、何時ものように正面からの写真ではないのは何故かというと、2シーターのボクスターは正面から撮るだけの距離がないために撮影できないのが理由だ。あっ、それで肝心な比較の結果は、高さ方法こそ異なるが雰囲気としては結構似ているものもあるのは意外だった。 今度はセンタークラスタ−の比較 (写真下) をすると、あれっ、これってM4 vs 911 の写真と同じじゃないか? B_Otaku の野郎、写真の使い回しで手抜きしてやがんな、なんて発想は人生全てペテンと誤魔化しの隠れキムチが他人も自分と同じと勘違いしている事による発想だが、まあそれはそれとして、実は M2 と M4 、そして 911 とボクスターは其々センタークラスターの機器類が共通化されているのだった。 それでもボクスターは丸型のエアアウトレットが 911 の角型と差別化されているが、M2 についてはエアアウトレットまでが、もしかして同じ部品を使っているのかもしれない。それで比較した結果は M2 は最新流行のダッシュボードトップに薄いディスプレイが飛び出て配置され視線移動を最小限にしているのに対して、ボクスターはディスプレイがエアアウトレットの下という配置で、何となく一世代前の配置になっている。 室内も一通り比較したところで、肝心の走りについては後編にて。 ⇒後編へ |