Mercedes Benz C180 & C200 (2014/9) 前編 | |
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メルセデスベンツのDセグメントサルーンであるCクラスがFMCされ4代目、W205となった。4代目で205っていうと、では201は何なんだといえば、既にご存知とは思うが190EがW201となる。更に付け加えると、初代がW2☆1で始まるのは190E(Cクラス)のみで、EクラスはW210、SクラスはW220が初代となっている。 メルセデスベンツといえば世界で最も歴史のあるメーカーであり、同社のサルーンは高級車の代名詞で特にSクラスは最上級サルーンのクラスでも不動の地位を獲得している。そして、その下のEセグメントでもメルセデス Eクラスが長年2位以下を大きく引き離していたのだが、例の電子ブレーキの不具合などでBMW 5シリーズに一気に追い付かれてしまい、一時期は逆連すら許してしまった。そして、その下のDセグメントでは今回の主役であるC クラスが頑張っているが、この分野こそ本来はBMWの独壇場だった訳で、190E は3シリーズよりも上のランクを狙ったもので、当時3シリーズとは直接ライバル関係には無かった。 まあ、それを言ってしまうと十数年前の5シリーズ、すなわち先々代5シリーズであるE39は明らかにEクラスよりワンランク下のクルマという認識だったし、メルセデスとBMWが今ほど対等に勝負しているのは精々10年前位からだろう。 それで3シリーズだが、メルセデスは190Eの後継車種として多少ポリシーを変えて理想を追求するよりもより売れるクルマとして、名称も新たにCクラスとして発売したのがW202 であり、確かにボディはより大きく立派になり、その割には価格設定も割安だったから、メルセデスとしては大いなるヒットとなった。 ここで歴代の190およびCクラスのスペックを比較してみる。 ![]() アウターサイズは世間のクルマと同様にFMC毎に大きくなっているが、それでも極僅かであり、全幅については初代の190は何と5ナンバーサイズで、その後も1,720o(W202) → 1,730o(W203)、そして先代W204 でも1,800oより30o狭い1,770oという具合に、最近の広幅ボディのトレンドの中では比較的幅狭であり、これが取り回しの良さにつながっていた。 上表ではエンジンについて全て4気筒2Lクラスで比較したが、190E(W201) ではSOHC 115psと時代を感じさせる性能だったがW202では135psに、そしてW203では出力こそ129psと多少下がったが、トルクは逆に188→190N・mと同等で、しかもこのモデルはC180と呼ばれ、C200というのは同じ2.0Lでもスーパーチャージャー付きだった。そしてW204 では1.8L スーパーチャージャーへとダウンサイジングされ、それでもエンジン性能はW203に比べて129→184ps、190→250N・mと大きく向上した。 |
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そして本題の新型Cクラス、W205に付いて話を進めるために、まずは例によってD セグメントのライバルとの比較一覧表を以下に示す。 ![]() BMW 3シリーズが露骨に車幅を広げていったのに対して、Cクラスは1,700o代の全幅を守っていたが今回は一気に1,810oとなり、これは3シリーズと基本的(欧州や北米向け)には同じだが、3シリーズの場合は日本向けのみドアハンドルを変更して全幅1,800oとしている。その理由は多くのファミリーマンションの立体駐車場では全幅1,800oをリミットとしているからだ。ということは、新Cシリーズはマンションの立体には止められない? ことになるのだろうか。 それ以外のクルマでも結局全幅は似たようなものだが、強いて言えば全長は3シリーズがやや短いがホイールベースについてはC クラスが一番長く、他の3車は同等となっている。駆動方式は当然ながらFRと思いきやAUDI A4は何とFFであり、しかもトランスミッションはCVTだ!まあ、ハッキリ言ってアウディ買うならばAWD(4WD)モデル、要するにクワトロを買わないとAUDIのメリットは無いのではないか。ただしA4は既に末期モデルであり、近いうちに新型にFMCするであろうから、最新の他社に比べればスペックでも明らかに劣っているの当然ではある。 エンジンについてはレクサスISを除いて4気筒ターボというダウンサイジングエンジンが使用されている。そしてレクサスISはといえば時代遅れのV6 2.5Lであり、燃費でも明らかに劣っているが、レクサスの場合は極最近発売されたコンパクトSUVであるNXに4気筒ターボの新型エンジンが搭載されているから、ISも近いうちに4気筒ターボ化されるだろう。ということは、アウティA4と共にISもそれまで待ちということになり、結局DセグメントではCクラスと3シリーズの戦いということになる。なお、アウティA4がFMCされたとしても、正直言って日本では大して売れないであろう。 ということを踏まえて新型Cクラスのラインナップについて触れておくと、現在販売されているのはベーシックな1.6LターボのC180(419万円)と、それに高級装備を施したC180 AVANTGARD(467万円)、エンジンが2.0Lターボの C200 AVANTGARD(524万円)の3種類であり、C200にはベースグレードは存在せず全てAVANTGARDとなっている。更に追加オプション扱いでAMG Line というモデルがあり、これは言ってみればBMWのM SPORT のメルセデス版というかAMG版で、言い換えればなんちゃってAMGだ。価格は AVANTGARDに対して最低でも47万円(C200の場合)の追加となる。 今回の試乗車のグレードはC180がAVANTGARD、C200はAMG Line であり以下の写真はこれらを主として一部はC200 AVANTGARD も使用している。なお、C180試乗記については既に速報版で先行公開したクルマのために、内容的には速報版を補完した程度で、基本的には同じ内容となっている。 エクステリアでは本来メルセデスベンツといえば格子のグリルとともにボンネット先端中央に立ったスリーポインテッドスター(いわゆるベンツマーク)のオーナメントが特徴だったが、先代Cクラスではオーナメントを廃止してグリルにてっかいベンツマークを付けたタイプが増えていた。元々、このタイプはSLなど極一部の高性能スポーツタイプのみが使用していたのだが、いつの間にか一般的なモデルにも採用され始め、今回のCクラスではカタログを見回してもオーナメントの立ったいわゆるエレガンスというモデルは無さそうだ。 このように、その昔のSLを思い浮かべるようなグリルに加えて、バンパー下部のエアインテイクや下端のスポイラーなど、AVANTGARDでも結構アグレッシブな形状であり、印象としては随分とスポーティーになったと感じる。そしてAMG Line はといえば、こちらは確かにフロントバンパーのエアインテイクなどはAVANTGARDとは違うのだが、さりとてAVANTGARDより劇的に突っ張っているかといえば、大した事はなく、一目でAMG Line と判るほどではない。 |
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なお、ウエストラインは高めで、相対的にグラスエリア(サイドウィンドウ)の高さが狭いこともスポーティーに感じる原因になっている。 |
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前述のようにAVANTGARDとAMG Line の数少ない相違点であるフロントバンパーのエアインテイクを写真9に拡大表示してある。これを見るとAMG Line下端のチンスポイラー は別部品でメッキされているのが判るし、AVANTGARD ではバンパーと一体になっていて形状も大人しい。同じ写真にあるフロントヘッドライトはC180 とC180 AVANTGARDのみが普通のLEDタイプで、それ以外(C180 AMG LineとC200 以上の全車)は同じLEDタイプながらインテリジェントライトシステムというものが付いている。えっ? それってどういうモノなんだ、って? それは勿論”インテリジェント”なんっすよ! リアビューについては、両モデルはほとんど違いが判らないが、これもよく見ればバンパー下端のエアアウトレット(?)がAMG Lineはメッシュとなっている。またAVANTGARDはクロームメッキのラインが幅一杯に通って いるなど多少の違いはあるが、実車を見た瞬間にこれらの違いからグレード名を当てる、という芸当は一部のオタク系マニアに任せておこう。 次にトランクリッドを開けて中のラゲッジスペースを見ると、先ず幅が狭いのはサスの張り出しが大きいからであり、まあ言い換えれば真っ当なサスガ付いているということだ。この張り出しを最小限にするのなら、低価格車でお馴染みのトーションビームかなんかを使えば良い訳で、そういう意味ではトーションビームもバカにしたものではないが、まさかCクラスに使うわけにもいかないだろう。そして、トランクを閉めるにはトランクリッド下端にある押しボタンスイッチ(写真11)を押せば、電動で下がっていって最後にはユックリとロックされるのはメルセデス得意の部分だ。これがBMWの場合は、このサイトで何度も指摘しているが、ギーという安っぽいモーター&ギアの音と共に下がっていき、そのままバタンと下品にロックされる。しかも5シリーズですら、このバタンと閉まる方式だ。 |
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ドアを開けた眺めを比べてみると、AVANTGARDとAMG Lineの第一印象はあんまり変わらないといようにも感じるが、よく見ればAMG Line のシート形状はより張り出しの強いサポートを強化したいわゆるスポーツシートが付いている。そしてAMG Lineはシート中央部の先端の長さが変えられることで、これはBMWのM SPORTでも同様であり、体形の違うドライバーでも太ももをシッカリとサポートすることでワインディング路でも遠心力に負けない‥‥と思ったら、AVANTGARDでも座面先端は単独に前後できるようだった。BMWの場合、この機能はM SPORTのみでその他のデザインラインには付いていないので、Cクラスも同様かと思ったのだが違ったようだ。 シートの表皮はAVANTGARDではレザーツインというセンターがファブリックでサイドが人工皮革のものが標準となっている。AMG LineはレザーARTICOという表皮で、要するに人工皮革だ。本革シートが欲しい場合はC180が71万円、C200では64万円のレザーエクスクルーシブパッケージを装着する。 |
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次にインパネに目を移すと、両車の違いといえばインテリアトリムくらいのものだろうか(写真18)。しかし、よく見ればセンタークラスターに装着されているオーディオ操作パネルが異なっていて、AMG Line ではアナログ時計が付いていてユニット自体の大きさ(高さ)も異なっている。カタログ写真ではC200AVANTGARD以上にアナログ時計が付いていた。 ただし、速報版で試乗したC180 AVANTGARD にはアナログ時計が付いていたから、パッケージオプションで高級な装備を選べばAVANTGARDでも装着されるようだ(写真19)。 フロアーコンソール上にはATセレクターは無く、その代わりに"COMAND System"と呼ばれるインフォメーションシステムの入力装置らしきものがある。写真20にサイドから見た写真も掲げておくので、このヘンテコリンなデバイスの形状や使い方は想像できるだろう。そしてその入力デバイスの両端にはいくつかのスイッチがあり、特に左奥にあるのが走行モードの切り替えスイッチだ。 |
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今回はこのサイトの読者からすれば最も関心の高いであろうCクラスということもあり、本気の3分割とした。 つづきは中編にて。 |