Subaru Levorg 2.0 GT-S 特別編
  [PORSCHE MACAN vs SUBARU FORESTER XT 前編 その2]

特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。

TOPページに戻る

ここからはインテリアに目を移すが、その前にポルシェとスバルのシートに関する特徴を纏めてみる。ポルシェといえば本来はリアエンジンスポーツの911 がメインであり、その後追加されたミッドシップエンジンのボクスター (オープン) と ケイマン (クーペ) など、いずれもエンジンをコクピットよりも後方に配置する、言ってみれば走りに特化したクルマを作るメーカーであり、更には911をベースとしたサーキットモデルや、時期によってはルマンを始めとするプロトタイプスポーツカーレースでの無敵のマシンを作って頂点に君臨したりと、半世紀以上に渡るモータースポーツの歴史など、世界中のカーメーカーの中でも最もサーキットが似合うクルマ創りを行っている。

そんな具合だから、国産車命の走り屋などは BMWとかメルセデスといえば目の敵にするし、スペックでは自らの国産車の方が優っていると変な優越感に浸るのが常だが、その手のドライバーでもポルシェ、それも911となれば話は別で、特にレーシングマシンのストリート仕様であるGTシリーズなどは正に憧れであり、金さえあったら即座に買うのに、何て思っている場合も多い。

対するスバルはと言えば、ミツビシ ランサーエボリューション (ランエボ) と共にある時期世界のラリーシーンでは定番となっていた WRX STi は、走り屋からすればやはり憧れのクルマだったからスバルというブランドのスポーツ性は高いことは間違いない。そこで両社の市販車の中からスポーツ性の高そうなシートを標準装備したモデルを比較してみると、先ずは写真左下のボクスタースパイダーだが、見てのとおりで限りなくレーシングシートに近い形状のものが純正装着されている。そう、911どころかボクスターでもそうなのだ。対するスバルはといえば、市販モデルでは最もホットと思える WRX STi でも、まあ写真右下程度だ。

と書くと、スバルだってレーシングシート並のモノが付いているモデルもあるぞぉ〜、訂正しろ、謝罪しろ、保証しろ‥‥なんていうキムチ臭いメールが来たりしそうだが、確かに限定のスペシャルモデルにはコンプリートカーといえるものもあったが、それはあくまで限定品であり、対するポルシェで言えば GT3 RS でさえ数量に限りはあるが歴 (れっき) としたカタログモデルだ。

それでは実際の室内はといえば、マカンについては中型 SUV だからポルシェとしては最も大人しいシートだが、それでも SUV としては不必要なくらいにサポートの良いスポーツタイプのシートが装備されている。これに対してフォレスターはといえば、これも写真をチョッと見ただけではマカンとそれ程大きな差は無いようにも見えるくらいで、その面では国産車としては悪くはない。

リアについても大きな違いは見当たらない、というよりもリアなんてクルマ好きのドライバーかられば、自らが乗ることはまず無い場所だからどうでもいい、という気もあるだろう。

シート表皮を比べてみると、マカンでは本皮シートだが写真でも判るくらいに質の良いレザーだし、中央部には通気用の小穴が開いているのが判るだろう。フォレスターでは人工皮革とクロスのコンビだが写真で見てもサイドの人工皮革の如何にも人工っぽいのが笑える。それでも以前に比べれば大いなる進歩は間違いないが、こんな事を書くとスバヲタさんが調子に乗って、今やスバルのシートだってドイツ車と変わらないくらいになっている、なんて勘違いされそうなので言っておくが、良くなったというのはたとえて言えば、スバル君の場合1年生の時は偏差値が35だったが3年で受験を控えた頃には努力の甲斐もあって50までアップしたようなものだ。まあ偏差値50ならばヤンキーだらけの底辺校に行くことは避けられるから目出度し目出度し、という情況だろうか。

対するポルシェ君は1年の時から常に70代をとっている秀才で、県下で一番の公立高校でも、最近伸してきた私立受験校でも、ハタマタ有名私立大学の付属校でもまず問題無し、というところだろうか。

シート調整は写真のクルマはどちらも電動式で、そのスイッチの場所も同じような位置にあるが、実際に見比べるとマカンはシルバーというかクロームというか立派な仕上げがしてあるのに対して、フォレスターは殆ど樹脂の素材色で機能は変わらないしどうせ運転中には見えない場所にあるとはいえ、こういうところまで手を抜かないのが高級車の証なのだが、まあスバヲタさんはそんな事は気が付かないだろう。

一般にどのクルマも運転中には視界に入らないドアトリムにはダッシュボード程には予算を回さないのが普通だが、流石にポルシェとも成れば十分な手を掛けている。それではフォレスターはどうかといえば‥‥これが意外にも悪くない。

とはいえ拡大してみるとマカンの場合はレザーのステッチも手が込んでいるし革の質も良さそうだ。対するフォレスターもステッチが入っていたりと凝ってはいるが、そのステッチもマカンと比べると明らかに垢抜けないし高級感で劣っている。

今度はドアノブ付近を拡大してみるとマカンではインテリアトリムやその縁取りやドアノブのシルバーメッキなどの質感は実に良い。またドアノブのパネルに配置されているシートメモリーやドアロックのスイッチも質感・デザイン共に高級感に満ちあふれている。

対するフォレスターはマカンと比べれば‥‥まあ ”それなり” です。

ダッシュボードからコンソールにかけては其々のメーカーの特色が出ていて、マカンはパナメーラから始まって911やボクスター、そしてカイエンなど最近のポルシェに共通したものでセンタークラスターの高い位置からコンソールにつながっているという特徴がある。

対するフォレスターはこれも基本的にはレヴォーグと共通するデザインだ。ただし両車共SUV ということでダッシュボードがフロアーから高い位置にあるためにセンタークラスターの上下方向の面積が大きくなっている。

センタークラスター上の機器の配置はマカンはポルシェの日本仕様に共通なクラリオンの一体ナビを純正としてポン付けしているが、欧州仕様ではナビとオーディオ部分は別体だが統合制御されるシステムが使用されているようで、その為に2DIN サイズしか使わない日本仕様では上部にブランクパネルが付く事になる。

対するフォレスターの場合は国産車の強みを活かしてオーディオやナビ、そしてエアコンを一体としたシステムが付いている‥‥かといえば、レヴォーグと同様でオーディオ一体ナビであり、結局ポルシェ同様に市販品のポン付けだった。

エアコンの操作パネルはマカンではポルシェの他車と同様に高い位置からセンタークラスターに繋がるコンソールの一番奥にスイッ類が並び、これはポルシェらしく高級感有り有りだ。対するフォレスターは3つのダイヤルを使用する点ではレヴォーグと同様だが、よく見るレヴォーグの方が見た目は高級そうだし機能でも上に見えるが、まあどちらも目くそ鼻くそで、大したものではない。

なお写真では両車共にドアトリムに組み込まれたスピーカーを見ればオプションの上級オーディオが装備されているようで、マカンにはお馴染みの "BOSE" のエンブレムが付いている。えっ? BOSE なんて全然高級じゃないぞ! って言ったって、それではフォレスターの純正オプションはと言えば写真右下のように Harman/Kardon (ハーマンカードン) のエンブレムが誇らしげに付いている。

このハーマンカードンというブランドは BMW やメルセデスでもオプション設定されているが、しかし日本では余程のオーディオマニアでもハーマンカードンを知っているというのは稀だが、この会社は世界で初めてステレオレシーバーを開発した会社だそうだ。ステレオレシーバーというのは AM や FM チューナーとプリアンプとメインアンプなどを一体にしたもので、日本でも半世紀くらい前にはコンポーネントタイプの入門用として、マニアから見ればイマイチの代名詞だった。なにっ、それじゃ高級オーディオメーカーじゃ無いのでは? って、いや話の先を聞いてくださいな。ハーマンカードンのポリシーは技術に詳しくない消費者に向けて広くハイファイを広めようということで‥‥あれっ?

オーバーヘッドコンソールはマカンではパナメーラに始まる最近のポルシェのフロアーコンソールとデザインコンセプトを統一したもので、写真左下でもかなり立派に見えるが実際には写真と違い‥‥もっと高級感がある。またルームライトも凝っている。

フォレスターの場合はやはり値段なりのものだが、まあ運転中に見ることも無いので問題は無いだろうが、そういう処をどう考えるかは個人の趣味というところだ。

センターコンソールの後端にはリア用のエアアウトレットが配置されるのが最近の傾向だが、今回の両車はそれが付いていない。そう言えばスバルの場合はレヴォーグにも付いていなかった。またポルシェの場合もリアシートがオマケ的な事もあり 911 にも付いていないし、ボクスターではどうかといえば‥‥元々リアシートが存在しない!

とは書いてみたが、まてよ、パナメーラーがあったっけ。ということで写真右下を見ると、いやぁ、こりゃ格が違うわぁ。

 

それで肝心の走りについては後編にて。


⇒後編へ