Porsche Cayenne S E-Hybrid (2015/5) 中編 その1
  

現行ポルシェのインパネデザインの大きな特徴としてセンタークラスターの高い位置からフロアーコンソールが急斜面で継る独特の配置 (写真32) であり、そのコンソール上にはATセレクターを中心に各種のスイッチがズラリと並んでいる。これは2009年末に発売された Panamera (970) から始まり、3代目 Cayenne (958、2010年) 、現行911 (991、2011年) 、現行Boxster & Cayman (981、2012年) そして昨年の Macan (95B) と続いて、現行ポルシェ インテリアのアイデンティティとなっている。

このためにセンタークラスターといえる部分はナビのみで、その下端からは急角度でコンソールに繋がっている。そのコンソールは AT セレクターを中心として上と左右の3方向にエアコン関係のスイッチが並んでいる。 なお今回は主要な操作パネル類は夜間照明の状況も並べておくが、一言で言えば夜間に輝く精密な文字やシンボルは伊達に高価なわけでないことを物語っている。

元来、ポルシェのインテリアというのは価格に対して地味というかチャチというか、性能命だからインテリアには凝らないのか? なんて思わせるような状況だったが、先代の 987/997 からは多いに改善され、現在ではポルシェという高価格帯のクルマとして充分な内容にまで進化している。

写真31
Caienne のインパネはPanameraに始まる新世代ポルシェの流れに従っている。

写真32
センタークラスターの高い位置からフロアーコンソールが急斜面で継る独特の配置はPanameraに始まる新世代ポルシェに共通した方式だ。


写真33
センタークラスターはオーディオ一体ナビのみで、その下はセンターコンソールとなっている。


写真34
フロアーコンソールの後端のリア用エアアウトレットはフロントのエアアウトレットと同じデザインになっている。


写真35
AT セレクターを中心として上と左右の3方向にエアコン関係のスイッチが並んでいる。
夜間に輝く精密な文字やシンボルは伊達に高価なわけでないことを物語っている。

ルーフ先端中央にはオーバーヘッドコンソールがあり、どちらかと言えば必要最小限のものが流行っている最近の時流に逆らって、フロアーコンソールのデザインと統一されたものが付いている。ただし今回の試乗車ではスイッッチにブランクパネルが付いている部分が6箇所もあったが、これはオプションを装着すれば埋まってゆくのだろう。

助手席側ダッシュボードにはグローブボックスが有り、この中にETC のユニットが付けられているのは他のポルシェと同様だが、グローブボックス上部に組み込まれたカップフォルダーが見当たらない (写真37)、と思ったらば Cayenne の場合はフロアーコンソールの後端に付いていた (写真38) 。 なおグローブボックス組み込みのカップフォルダーは、折りたたみ式なこともあってイマイチ強度的に心配な構造で、ポルシェの純正部品で最も強度の低そうなものだ。

写真36
ルーフ先端中央にはオフロアーコンソールのデザインと統一されたーバーヘッドコンソールがる。


写真37
グローブボックス内には他のポルシェ同様にETCのユニットが付いている。


写真38
多くのポルシェはグローブボックス上部にカップフォルダーを仕込んでいるが、Cayenne の場合はコンソール後端に単独に付いている。

試乗するためにクルマに近付いてみての第一印象は隣に置いてあった Macan と比べて妙にデカいことで、いやぁこりゃ参った、という気持ちだ。そしてドアを開けて乗り込むが、この時に感じるのは高い車高の割には乗り込み易いことで、SUV によくあるサイドステップ等が無い割には乗用車のような感覚で乗り込む事ができる。

しかしドライバーズシートに座ってみると視線は高く、先ほどの乗りやすさが不思議だったが、よく見ると車内の床面自体は決して高くないのだがシートの座面高さが高いことが解った (写真39)。

このシートの高さはペダルを踏むドライバーの足が直角近くに下に曲がることでトラックのような姿勢になり、これはこれで慣れれば結構運転しやすいのだが、少なくとも低いシートに座って足を真っ直ぐに伸ばすという PORSCHE のイメージとは全く相容れない。


写真39
シートの座面は床から高い位置にあり、床自体は意外と低い。

スタータースイッチはインテリジェントキーを使用するが世間の常識である押しボタンスイッチではなく、その昔の金属キーみたいな形状のツマミを撚るという昔ながらのフィーリングにこだわっている。スタータースイッチの下にはドイツ車でお馴染みの回転式ライトスイッチ、その右側には電動パーキングブレーキのスイッチが配置されている (写真40)。

上記のスイッチを捻ると正面のメーター類に火が灯るが、エンジンは始動しない。んっ? と思ったが、考えてみればハイブリッドだから当然だ。ただしハイブリッドというのは条件によってはシステム起動と同時にエンジンがアイドリングすることもあるから話しは複雑なる。なお、前述のようにこのクルマのハイブリッドシステムは実はプラグインハイブリッドであり、クルマを受け取る直前までは充電されていたようだった。

写真40
スタータースイッチは押しボタンでは無く金属キーみたいな形状のツマミを撚る昔ながらの方法に拘っている。

パーキングブレーキは電気式で引いてリリース、押してセットとなる。

正面にあるメーターは中央の大径の回転計を配した5眼メーターであり、これは 911 や Panamera と同様で、これが Macan の場合はボクスター/ケイマンと同様の3眼メーターとなる (写真41) 。回転計は8,000rpmがフルスケールでレッドゾーンは 6,600rpm からだから PORSCHE としては随分低回転型だ。中央左隣りのメーターは PORSCHE の常識としてはアナログ式の速度計が配されるのだが、ハイブリッドということでここは POWER & CHARGE メーターとなり、水平の "READY" 位置から上が最大100%までの POWER メーターで、下は CHAGE メーターとなっている (写真43) 。従って、速度計は中央の回転計の下端に組み込まれたデジタル式のみとなる。

左右端は其々2個のアナログメーターを組み込んだ集合メーターで、左端が油温とバッテリー、右端は水温と燃料の各メーターとなっている (写真42)。そして中央右側はカラー液晶ディスプレイで走行中は主としてエナジーフローと表示する。

写真41
911 や Panamera と同様に中央の大径の回転計を配した5眼メーター。 メーターの指針はハイブリッドを表す黄緑色となっている。

 


写真42
両端のメーターは左端が油温とバッテリー、右端は水温と燃料の驟雨号メーターとなっている。


写真43
中央左はPOWER & CHARGE メーターでREADY より上は出力 (POWER) 、下は充電 (CHRGE) 状況を表示する。

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