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Volkswagen Golf GTI 試乗記 特別編 [GOLF GTI vs 120i 前編] 特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは、この先の記事を冷静に読める知識と教養を身につけている読者のみ閲覧ください。従って、この先に何が書かれていようが、笑って受け流す事が出来ない方はTOPページに戻るかブラウザを閉じてください。 VW GOLFにGTIが追加されて、先代に比べてトルクが大幅にアップ(28.6→35.7kgf・m)したにもかかわらず価格は据え置きであり、その383.3 万円(消費税8%含、以下同様)という価格は、同じCセグメントでFRのプレミアムカーであるBMW1シリーズならば120iと同価格帯であり、そう考えればGTIの買い得感は充分にある。とはいえ、1シリーズのプレミアム感もまた魅力である。と、ここまでは3月11日の日記で述べたが、ここは特別編なので日記では言えないような内容も追加して、何時ものように試乗記特別編として纏めてみる。 それでGTIと対決させる1シリーズのグレードはといえば、動力性能では128iというグレードがあれば良いのだが、120iよりも高性能な車種は一気にM135iとなってし まい、価格は566万円だからGTIより183万円も高いし、性能はGTIの220psに対して320psと、これまたワンランク以上も違う。ということで、今回は価格帯の近い120iをGTIと比較するが、性能や価格の違いもまた其々の特徴と思えば、比較する価値は十分にあるだろう。 実を言えばM135iと比較するならば価格的にも(530万円)近いし、最高出力も280psとM135iの320ps程ではないが結構近いという事からGolf Rという手もある。ところが、Golf Rは試乗車は勿論のこと展示車すら殆ど無い状況で、結構な確率で試乗車すら用意されているM135iとは状況が全く異なっている。その理由を考えてみれば、販売台数の差というのが最も大きな理由だろう。M135iは結構売れているようで、ディーラーのショールームの展示車が頻繁に変わるところをみれば、展示した傍から売れていくという感じだ。それに対してGolf Rはといえば、例によって日本向けの割り当てが殆ど無く、極々特殊なゴルフとしての希少価値もあるようで、考えてみればポロ GTIでさえ日本向けの割り当てが少なくて滅多に見られないし、納期だって可成り長いようだから、これはフォルクスワーゲンの日本国内販売に対する方針なのだろう。こんな殿様商売をやっているからBMWに負けてしまう訳だが、この体質は治らないだろう。
動力性能の比較は後編で実際に走りを比べながら実施する予定だが、表を見ても判るように排気量がGTIの2.0L に比べて120i は1.6L であり、最高出力だってGTIの8割以下であるのは仕方がないが、1シーズのラインナップ自体が120iの上がいきなりM135iというのも問題ではある。とろこが、欧州の1シリーズラインナップを見ると、何と日本で発売されている120i は欧州では118iというモデルだった。そりゃあそうで、例えば320i というのは2.0Lターボであり、要するに”20”は2.0Lターボを表しているわけで、日本向けの120i が本来は118iというのは実に納得できる話だ。 そして欧州では2.0Lターボを搭載した125iというモデルがあり、これは218ps 310NmとGTIに近いエンジン性能であり、これが本来のGTIのライバルとなるべきモデルのようだ。
欧州での125iの価格は118iの約15%アップだから、日本向に125iを120iの15%増し、すなわち435万円くらいで発売したらば、ゴルフGTIのユーザーは多少無理をしても125iを買うのではないだろうか、とも思ったがベースモデルで435万円ならばM Sprotだと+40万円として約475万円となって、GTIよりも約100万円高いことになり、などと考えてみるとそう簡単にはいかないようだ。まあ、この件については後編の最後、結論部分で更に突き詰めてみようと思う。 それでは早速両車の比較を行う事にする。先ずはエクステリアから。 |
ゴルフも1シリーズもボディ形状はCセグメントのハッチバックであり、すなわち決してカッコの良いものではない。まあ、元々が小さな外形寸法から最もスペース効率の良い形状を突き詰めて出来たものだから、スタイルよりも実用性重視なのは当然だが、その中ではスペース効率の決して良くないFR方式を採用している1シリーズはちょっと異彩を放っている。 同じく2ボックスボディながらもハッチバックよりもリアオーバーハングの長いステーションワゴンとなると、結構スタイルの良いクルマが多いが、言い換えればCセグハッチバックであるゴルフも1シリーズも、特にリアビューなどは一見すると可成り似ていて、要するにどちらも安っぽい。
正面から見た時のサイズは、GTIが全幅1,800 x 全高1,450o、120iは全幅1,765 x 全高1,440oと僅かにGTIが大きい。120iの最大の魅力は、フロントにキドニーグリルが付いていてBMWと一目で判ることだ。それに比べるとゴルフはフォルクスワーゲン自体が一目でわかる伝統的なグリルというのが無く、ある時期にはアウディとも共通だったシングルフレームグリルを採用したこともあったが、結局は長続きしなかった。まあ、フロントグリルに伝統的にアイデンティティを持っているブランドなんていうのは世界中を見回しても何社も有る訳ではないし、それらは一般的に高級ブランドだから会社名が”大衆車”であるVolks(大衆) Wagen(自動車)にそれを求めるのも可哀想というものだ。 そんな事もあり、ゴルフのグリルにはひと目で判る大きなVWマークが付いているのに比べて、1シリーズはキドニーグリルでBMWと解るから例のプロペラをモチーフにしたBMWマークはWVに比べて小さい。そのマークについても1シリーズは小さいとはいえ七宝焼き(たぶん?)で原価の高そうなモノが付いているが、ゴルフはクロームメッキしただけのモノを使っている。
両車のフロント ヘッドランプを比較すると、GTIはバイキセノンライトにLEDポジションライト、そしてダイナミックコーナリングライトが標準で、120iでは同じくバイキセノンライトとLEDスモールライトは同じだが、ダイナミックコーナーリングライトは装着されていない。
リアビューに関してはCセグハッチ同士だから、何度も言っているように決して高級感はないが、GTIはスポーツグレードということもあり、バンパーの下からはクロームメッキされた太めの排気管が顔を出している。対する120iはショボいのが片側だけとなっている。
数値としては120iはGTIよりも全長が+60o長くホイールベースも+55o長い。全高はGTIが10o高いが、それらを含めて実際のプロポーションは120iの方が低く・長く、要するにスマートに見える。 |
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リアラッゲージスペースはFFのGTIが有利だが、奥行きが多少深い程度で大きな違いはない。
次にドアを開けてインテリアを見てみれば、GTIの場合最初に目に入るのは例のチェックの入ったシート表皮であり、好みの問題はあるがGTIを買おうというオーナーからすれば堪らない魅力があり、乗り込む度に満足感に浸れるだろう。 ![]() これに対して1シリーズはといえば、デザインラインにもよるが下の写真の "Sport" では僅かに赤いステッチが入っているくらいで、結構地味だ。ただしBMWはデザインラインが違い、更に内装色を明るいカラーにすれば、雰囲気は大いに変わりマルで別のクルマのようにすら見える。 ![]() 両車の表皮を比較してみると、120i がSportの場合はファブリックの質自体はGTIと結構似ている。GTIではオプションにレザーシートも用意されているが、個人的には折角のチェックの シートを捨ててまでレザーシートにする必要が感じられない。対して、1シリーズの場合はベースグレードとデザインラインが2種類、そしてM Sportと4つの基本バリエーションに加えて内装色も多いために、とても一言では言い表せないが、代表的なグレードを紹介しておく。
Style はサイドがレザーで中央がファブリックとなり、写真左下はアイボリーの内装のために結構お洒落だ。これが M Sport となると例のアルカンターラのサイドとファブリックのセンターとなって、雰囲気は全く違ってしまう。このバリエーションの多さは1シリーズとはいえBMWらしく、VWよりも上級を狙ったメーカー、要するにプレミアムブランドということだ。 なお、シートの調整はGTIの標準は手動となっているのに比べて1シリーズではデザインラインを選ぶとメモリー付きパワーシートが標準装備となる。ただ し、M Sport の場合は手動となるが、これは電動のメカを組み込むと高さが高めになってしまい、M Sport らしく目一杯高さを下げたポジションを求めるドライバーに適応できない、と聞いたことがある。
次にドアのインナートリムに目を移すと、200万円代からのラインナップが多いゴルフの上級バージョンであるGTIは、樹脂部分の質感などでは所詮200万円代のクルマなりの材質と製造法(金型など設備に金をかけない)で、ハッキリ言ってよく見ればチャチい。 これに比べると、ゴルフと同じC セグメントとはいえ300万円以上の1シリーズは、流石に弾性樹脂やら表面のシボの綺麗さやら、そしてドアグリップのパネルなどの高級感で明らかにGTIを上回っている。
次にインパネを比べてみると、両社のポリシーの違いが出ている。
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センタークラスターはGTIがちょいと古いというか、最上部にエアインレットを配してオーディオやエアコン等が全体的に下側に寄っている。これに対して1 シリーズはインパネ天板から更に上に出たディスプレー、高さ方向に薄くて取り付け位置が目一杯上部に寄っているオーディオやエアコンなどで、視線移動を最小限にしている。
そのセンタークラスターにあるエアコンの操作パネルを比べると、どちらもフルオートエアコンなのだが、ハッキリ言って高級感は120iが優っているのは、1シリーズのオートエアコンは3シリーズと共通となっているために300万円代の1シリーズには身分不相応?というくらいな訳で、何度も言うが200万円代が主流のゴルフとは質が違って当たり前だ。
Cセグメントのハッチバック車にリアシートの居住性を求めるのは酷だが、両車とも一応リア用のエアアウトレットが装着されているなど、結構同じような路線を行っている。実は下の写真で注目すべきは下端の部分であり、120i はリアシートの一部が写っていることに注目すれば要するにリアシートに座った時の足元スペースはGTIよりも狭いということだ。120iで狭い分のスペースはとい えば、ボンネットの長さ、要するにエンジンルームに喰われている訳で、やっぱりBMWは基本設計が走り命だということだ。
ちょっと室内を見ただけでも、両車の思想は大いに違うのが判り、この辺が最近は良くなってきたとはいえ基本的にはどれも同じの金太郎飴みたいな国産車とは違うところだ。 この続きは後編にて。 |