LEXUS GS 450h (2012/5)前編
 

新型GS250については既に試乗記で取り上げているが、一足遅れでハイブリッドモデルであるGS450hが3月中旬に発売され た。GS450hは先代のS190系にも設定されていて試乗もしたことがあるが、ドアンダーという言葉が正にピッタリで、今時こんなに曲がらないクルマが売られているなんて信じられないというくらいの代物だった。まあ、設定されていることに意義があったのだろう。それから、6年経った今、新型のGS450hはどこまで進化したのだろうか?

という訳で試乗してみたが、その前にスペックを見てみよう。まあ、クルマは走ってナンボではあるが、スペックを見ればある程度のことは判るものだ。最も、スペック偏重主義に陥ると、数字だけでアアでもない、こうでもないと議論することになり、要注意ではあるが。

  

先ずは先代に対してパワートレインを比較してみると、なんとエンジン型式は同じだった。細かいところではパワーを22ps落としているが、これは寧ろトルク特性をハイブリッドに合わせたのだろう。そして、モーターについても全く同じで、これはスペックまで一致している。更には、クラウンハイブリッドもエンジン、モーターなど同一であり、ハイブリッドシステムとしては兄弟ということになる。

GS450hのグレード展開は他のGS、すなわちGS250、GS350と全く同様で、下の表のようにベースグレード、少し高級装備を追加した "i package"、スポーツ系の "F sport" 、そして最も豪華な "versionL″となる。

  

Sの場合は、排気量に関係なく同じグレードならば原則として装備も同じとなっている。そして今回試乗したのは中間グレードのGS450h "i package"(740万円)で、ベースグレードとの最大の違いはファブリックシートから本皮シートになっていることだ。という訳で早速試乗車のエクステリアから紹介する。

フロントから見た時の450hの特徴としては、グリル中央のレクサスマークの塗りつぶし部分がガソリンモデルのブラックに対してブルーとなっている点(写真1)と、ヘッドライトを良くみればレンズの向こうに覗いているライトユニットが全く異なることだ。実は450hはLEDへットライトが標準で装着されているのだった(写真6)。

リアに回ってトランクを開けてみると、新GSはガソリン車と比べて僅かに奥行きが浅い程度(写真3)で、先代のような狭さからは大いに改良されている。ハイブリッド車の場合、電池のスペースに占領されたトランクルームの狭さを感じる場合が多く、旧GS450hでは奥行きが極端に狭く、殆どコンパクトハッチ以下のスペースしかなかった(写真5)。そのリアの眺めも基本的にガソリン車と変わらないが、唯一感じるのはGS450hは排気管が見えないことで、これはハイブリッドを意識させるのにガソリンエンジンを想像するアイテムである排気管が見えるのは好ましくない、との判断だろうか。リアのエンブレムは”GS450h”だけだから、ハイブリッドであることをアピールしているのは、後部ドアの下にある”HYBRID”のエンブレム(写真4)だけとなる。

写真1
フロントを同士を比べると、最も識別し易いのは、グリルのセンターに付くレクサスの”L”マークで、地の色が450hはHVに共通のブルーとなっている。


写真2
リアからの眺めは、一見すると特にハイブリッドの特徴は無い。


写真3
トランクルームは流石にGS250より奥行きが浅いが、それでも大した差ではないから、先代よりは大幅に改良されている。


写真4
サイドにはHYBRIDであることを示すエンブレムが貼ってある。


写真5
先代のラッゲージスペースはバッテリーが居座り、コンパクトハッチ以下の奥行きだった。


写真6
ガソリンモデルがディスチャージヘッドランプであるのに対して、GS450hはLEDヘッドランプを使用している。

写真7
排気管はGS250が最近のトヨタ系高級車に見られるクロームメッキが光り輝く横長のマフラーカッターをつけているが、GS450hはハイブリッド車だけあって、排気管というエンジンを連想させるものは見えないようになっている。

室内は同じ ”i package” であったGS250展示車と同じだが、内装色がGS250のサドルタンに対して、今回試乗したGS450hはアイボリーであるために、イメージが違って見える(写真8)。ベースグレードのシート表皮がファブリックであるのに対して ”i package”である今回の試乗車は本皮となるのが大きな違いだ(写真9)。これが”versionL” になると表皮はセミアニリン本皮となる。また、前回の試乗車であるGS250はベースグレードだったことから、シート表皮がファブリックであるのは当然としても、内装色がブラック(ファブリックはの他にアイボリーも選べる)だったことから室内全体が地味だった。まあ、どちらが良いかは好みの問題だろう。個人的にはベースグレード(のブラック)も決して悪くないと思うのだが・・・・。

インパネも排気量に関係なくグレードが同じならば基本的に同じだから、今回の試乗車も前回の展示車だったGS250(写真11)と同じ”i package”ということで当然同じだし、雰囲気が違うのは何度も述べているように室内色とオーナメント(インテリアトリム)の違いが原因だ。今回の試乗車のオーナメントはバンブーであり、淡い黄色に近い色は好き好きがありそうだ(写真10)。無難なのはGS250に付いていた縞杢という暗いブラウン系のウッドパネルで、一番違和感はないが、何となくBMW5シリーズのパクリっぽい(写真12)。なお、オーディオについてもGS250と共通のユニットが付いていた(写真13)がGSにはレクサス御馴染みの”マークレビンソン”プレミアムサラウンドシステムが28万円のオプションで用意されている。マークレビンソンといえば、オーディオマニア憧れの超高級オーディオのブランドだが、カーオーディオについては日本の某音響メーカーからのOEM供給品のようだ・・・・・。

写真8
室内は”I package”同士ならばGS250と共通だが、試乗車はアイボリーの内装色の為に全体に明るい雰囲気となっている。

写真9
”I package”の本皮シート表皮は、その上の”versionL”のようにセミアニリンではない。
写真10
試乗したGS450h ”I package”の室内。オーナメントパネルはバンブーが選択されている。内装色はアイボリー。
写真11
GS250もグレードが ”I package”ならば基本的に同一となっているが、写真は前回試乗したベースグレードのために、多少地味に見える。
写真12
オーナメントはGS450hにはバンブーが付いていたが、これは購入時に選択できる。


写真13
エアコン操作パネルはGS250と全く同じ。


写真14
これも、”I package”のものだが、バンブーのオーナメントが目立っている。

今度はフロントに回って、エンジンルームの中を見てみる。エンジンフードを開けると当然ながらダンパーが付いていて、ロッドを立てたりせずにそのまま保持される。その眺めは何とガソリンエンジンであるGS250と殆ど変わらない(写真15)。唯一目立つ相違点はGS250のバッテリースペースにGS450hはオレンジ色の太いケーブルが接続されたいかにもハイブリッドらしいパワーコンとロールユニットが見える(写真16)。なお、旧GS450hは新型とパワートレインが共通にも関わらず、エンジンルーム内の眺めは全く異なる(写真17)。

なお、トヨタのハイブリッドにはGSやクラウンなどのFR系乗用車用の他に、一番メジャーなプリウスなどに使われているFF用と、RXやハリアーなどのSUVに搭載される4WD用のシステムを加えて、3種類となる。GS450hと基本的に共通であるクラウン ハイブリッドの構成図を写真18に示す。


写真15
GS250のエンジンはクラウンやマークXと同じ4GR-FSEだが、パワーで12ps、トルクで1.7kg・mアップしている。
エンジンルームの中はトップカバー以外はGS250とGS450hは、ほとんど同じ眺めだった。


写真16
GS250に対して一目で判る相違点はオレンジ色の高圧ケーブルで、250ではバッテリーがあった位置に、450hはパワーコントロールユニットを積んでいる。


写真17
エンジンも含めて殆ど同じパワートレインを使用しているにも関わらず、外観上は全く異なる先代のエンジンルーム内の眺め。


写真18
FRの高級サルーンで使われるハイブリッドの基本構成。

 
 


写真19
GS450hと同系のクラウン ハイブリッドのパワーコントロールユニット。今回のGS用は写真と違い、改良された新型が搭載されてり。

 

シートに座ってみると、当然ながら前回試乗したGS250と基本的に同じだが、250がベースグレードだったためにシート表皮がファブリックだったが、今回は本皮であることが最大の相違点となる。シート自体は決して悪くはなく、一時代前と比べたらば随分進歩したものだ。ただし、本皮だから衣服によっては多少滑る気配があるし、上級モデルに使われているセミアニリン本皮のシットリと柔らかな質感は無いが、これは人によっては気付かない程度の差しかない。

以上室内を見渡してみたので、次はいよいよ走り出すことにする。

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