Mercedes Benz C200 AMG sport  (2012/1) 前編


2007年にFMCされた現行Cクラス(W204)は、この時点でライバルであるBMW3シリーズに追いついた感があったが、更に昨年(2011年)5月のビックマイナーチェンジ(MC)でC200が前期と同じ1.8Lながら過給がスパーチャージャーからターボとな り、ATも5速から7速へと変更された。 当サイトでもC200アバンギャルドの試乗記を既に発表しているが、この中で3シリーズのMスポーツよりも細いタイヤであることと、これがAMGスポーツというオプションパッケージ を付けることでMスポーツ以上に過激なタイヤ&ホイールとなり、その乗り味はどんなものか、という宿題があった。 そこで今回は、C200AMGスポーツ(正規にはアバンギャルド+AMGスポーツパッケージ)に試乗してみた。ただし、Cクラスは2011年5月にビッグMCしたばかり なのに半年後の11月にはグレードと装備の関係やオプションが一部変更されている。今回試乗したクルマは5月のモデルのために、今現在のモデルとは多少内容が異なることを了承願いたい。

11年11月の変更では、特にC200についての変更が多く、また従来C200のボトムモデルとして設定されていたC200 ブルーエフィシェンシー ライト(399万円)に対応するモデルとして、同じく1.8LながらC200よりも更にデチューンしたC180というモデルとして新たに設定された。 これによりC200には同じ1.8LながらC180、C200、C250という3種類のグレードが揃ったことになる。以下にその3種類 にV6のP3.5Lを加えたCクラスのエンジンスペックを掲げてみる。
 
    Mercedes Benz Mercedes Benz Mercedes Benz Mercedes Benz
      C180 Blue
Efficiency
C200 Blue
Efficiency
(Avantgarde)
C250 Blue
Efficiency
Avantgarde
C350 Blue
Efficiency
Avantgarde

エンジン・トランスミッション

エンジン種類

  I4 DOHC Turbo V6 DOHC
 

エンジン型式

  271 276

総排気量(L)

1,795 3,497
 

最高出力(ps)

156/5,000 184/5,250 204/5,500 306/6,500

最大トルク(kg・m)

25.5/1,600-4,200 27.5/1,800-4,600 31.6/2,000-4,300 37.7/3,500-5,250

トランスミッション

7AT

その他

燃料消費率

10・15 N/A 14.0 13.8 13.4
 

  (km/L)

JC08 N/A 13.6 13.2 12.8
 

車両重量(kg)

  N/A 1,520 1,570 1,610

パワーウェイトレシオ(kg/ps)

8.3 7.7 5.3

価格

車両価格

399万円 445(509)万円 572万円 680万円
 

備考

発売予定      

2011年5月モデルではC200ライトと命名された399万円のベースモデルを、11月のMCでデチューンして付加価値を落とすことで低価格の正当性を保 った訳で、この方法は何だかインチキ臭いが、BMWもやっているし、 いつの間にやら当たり前になってしまったようだ。 結局、C200ライトを早く買わなかったユーザーは同じ価格で28psもダウンしたC180になってしまった。それにしても、ターボと電子制御の組み合わせは従来にはない商売を提供してくれたが、やっぱり、何やら釈然としない。

C200とC200アバンギャルドの大きな違いは、エクステリアではフロントのグリルが異なることで、ベースモデルのC200は格子のグリルでボンネット先端におなじみのベンツマーク(スリーポインテッドスター)のマスコットが付く。これに対してアバンギャルドではラジエターグリルの中央に大きなベンツマークがドカンとくっ付いていて、その昔はSLなど特別のスポーツタイプに付くもので、これに乗る事は夢だったのだが、いつのまにやらボトムモデルのAクラスにも付くようになってしまった (写真1)。

実は2007年に現行W204が発売された時点ではボンネット上にマスコットが付くのはエレガンスというグレード(写真1左)で、アバンギャルド(写真1右)と併設されていた。ところが、エレガンスの売れ行きが悪かったのか、2011年5月のビッグMCでは、C200のみにスタンダードモデルとアバンギャルドが併設され、C250とC350は全てアバンギャルドとなってしまった。 要するに、今現在販売されている殆どのCクラスはデッカいベンツマーク付きということになる。 なお、どうしても控えめで内装の良いC200が欲しい場合は、エレガンスパッケージを装着する手もあるが、販売台数は少ないという。


写真1
2007年発売時のCクラス。左がエレガンスで右がアバンギャルド

ところで、AMGスポーツというのは言うまでも無くBMW Mスポーツのメルセデス版である。ライバルであるBMWがマニア憧れの高性能車でフラッグシップ的な、Mモデルに一見似たような外観で”Mモドキ”というか、”なんちゃってM”のオプションパッケージをMスポーツとして発売したのが大いなる人気を博しているのを見て、Mに対抗するAMGということで、AMGスポーツパッケージという”なんちゃって AMG”を設定したという訳だ。

ここでAMGスポーツパッケージの内訳を整理してみる。 実は2011年11月モデルからはC200のみAMGスポーツパッケージが標準装備となったのだが、同じパッケージ名でもC250/350のオプションとは内容が少し異なっている。これを文章で上手く表現できそうにないので下の表にまとめてみた。
 
       C200 Avantgarde C250/C350
  '11/05- '11/11- Avantgarde
車両価格 492万円 509万円 572/680万円
 

アバンギャルドデザインフロントグリル

   
 

パラメーターステアリング

   
 

スポーツサスペンション

   
 

17インチAMG5ツインスポークアルミホイール

   
 

AMGスタイリングパッケージ
[フロントスポイラー・サイド&リアスカート]

 

Mercedes-benzロゴ付ブレーキキャリパー(フロント)
&ドリルドベンチレーテッドディスク

 

AMGスポーツステアリング

 

パドルシフト

本革巻・アルミニウムシフトノブ

 

スポーツシート[前席]

 

ステンレスアクセル&ブレーキペダル(ラバースタッド付)

 

ダイナミックハンドリングパッケージ

 

18インチAMG5ツインスポークアルミホイール

 

□AMGスポーツパッケージ

40万円   20/30万円
 

△ダイナミックハンドリングパッケージプラス

  13万円  
  標準装備  □/△オプション 合計価格 532万円 522万円 592/710万円

要するに売れ筋のC200アバンギャルドにAMGスポーツパッケージの中から、見かけを良くするアイテムを標準装備にしてしまった、ということのようだ。それでも結果的には’11年5月よりも多少値下げされている。

それでは、このAMGスポーツは本物にどの程度似ているのかを比べてみることにする。C200に対するAMGモデルはC63 AMGで、価格は1,075万円 だからほぼ2倍となる。

先ずはエクステリアだが、フロントは写真1のように見比べるとラジエターグリルの横桟がC200の3本に対してC63は1本で、バンパーのエアインテイク形状や補助ランプの位置や形状も少し違う。更にはC63はボンネット上に2本のプレスラインが見える し、フェンダーの張り出しもより大きい。 C63の全幅は1,795mmとC200(1,770mm)に対して僅かに25mm広いだけだが、見た目では随分張り出しているように見える。リアは一見するとソックリだが、C63は迫力満点の太い4本(左右各2本)の排気管が目に付くのに対して、C200はショボイ1本出しという大きな違いがある (写真2)。 勿論、リアのエンブレムは両車で異なるが、なんちゃってAMGの場合はC200を外して”C63”、そして右側に”AMG”を追加することになる(写真3)。

BMWのMモデルでも同様だが、AMGの各車は実際に現物を見ると異様な迫力、というかオーラが出ているから見る人が見れば直ぐに判別できるのだが、一般の人には判らない かもしれない。まあ、その前に、AMGというもの自体が多くの”普通”のユーザーには理解できないだろうが・・・・・。
 


写真1
グリルの横桟の本数やバンパーのエアインレットの形状と左右に組み込まれた補助ランプ、そしてボンネットのプレスラインなど
よく見れば違う部分も多いが、チョイと見ただけでは結構似ている。とはいえ、C63の実物は何やら異様な雰囲気でオーラが漂っている。
 


写真2
フロントに比べてリアの違いは少ない。最大の相違はC200の一本出しに対して左右各2本の4本出し排気管。
C200もせめて片側2本出しくらいにはしたいものだ。
 


写真3
当然ながらエンブレムは異なる。
それでも”C200”を剥がして”C63”を貼り、右側に”AMG”を貼れば、なんちゃってC63の出来上がり。
 

次にインテリアについて本物(C63)と比較する前に、今回試乗したクルマの室内を見てみれば、AMGスポーツパッケージのために左右の張り出しを大きくしてサポートを向上さ せる、いやゆるスポーツシートが付いている。そして、その形状は一見C63と似ているが、よ〜く見れば当然ながら別物である(写真4)。なお、試乗車はオプションのレザーパッケージ付きのために、シート表皮 や内装の一部にレザーが使用されているが、11年11月モデルからはC200にレザーパッケージの設定が無くなってしまった。ただし、単独のオプションでレザーシートというのがあるが、これは受注生産で納期がかかり、あまり現実的ではないだろう。しかし、場合によってはディーラーが見込み発注して在庫として 持っているかもしれないから、実際に購入する場合は担当セールス氏に確認してみる手もある。

それで、C200アバンギャルドの標準シート表皮はメルセデスでは”レザーツインシート”と命名している、サイドが人口皮革で中央がファブリックというもの(写真6)で、名前だけ聞くと本皮シートと勘違いしそうだが・・・・・。
 

写真4
C200アバンギャルドはスポーツシートが標準となっている。なお、写真のレザーシートは11年11月モデルよりC200にはパッケージ オプションの設定がない。
どうしても欲しければ受注生産の単独オプションを発注することになる。  


写真5
C63のシートは一見するとC200のスポーツシートと似てはいるが、勿論全くの別物。
また、C63のシート表皮はナッパレザーとなる。
 


写真6
本来、アバンギャルドのシート表皮は座面がファブリックでサイドが人口皮革を使用している。現行のC200はこのシート表皮となる。
 

 


写真7
標準シートの調整は電動式だが、メモリーはない。

 

何度も述べたように現行のC200にはレザーパッケージのオプション設定がなされていない。このパッケージを付けると、本皮シート以外にもドアのインナートリムにレザーが使われたりと、当然ながらインテリアの高級感が増すことになる。それでは、どの程度違うかといえば、写真8を参照願いたい。
 


写真8
左の標準モデルに対して、右はレザーパッケージ装着の場合。
ドアノブ付近とアームレストがレザー仕上げとなり、ステッチが入っている。
 

次にインパネを眺めてみれば、AMGパッケージ独特のものは殆ど見当たらないが、一番目に付くのはステアリングホイールで下端が平らになっている(写真9)AMGスポーツステアリングと呼ばれるもの が付いている。これを本物のC63と比べてみると外観上は殆ど変わらないが、よ〜く見ればレザーの質やつなぎ目、そしてスポークの表面処理などが異なる(写真10)。そして最も違うのがス テアリング裏側にあるマニュアルシフト用のパドルスイッチで、C63がシルバーの立派なスイッチなのに対して、C200では黒くて小さくてチャチなスイッチが付いている (写真11)。まあ、機能的には充分なのかもしれないが・・・・・。

ペダルはラバースタッドのステンレス製で、見た限りではC63と同じもののようだ。さらに、ATセレクターには、本革巻・アルミニウムシフトノブ というのが付いている(写真13)。
 

写真9
インパネはAMGスポーツ独特のものは殆どない。


写真10
一見すると殆ど同じように見えるステアリングホイール。


写真11
よ〜く見比べると、レザーの質が違う(C63はナッパレザー)ことと、スポークの表面処理が異なる。
更に、マニュアルシフト用のパドルスイッチは全く異なる。


写真12
ステンレスアクセル&ブレーキペダル(ラバースタッド付)は同一品のように見える。


写真13
本革巻・アルミニウムシフトノブも同一品に見える。
 

センタークラスターに配置されるオーディオとエアコンユニットについては既に試乗した11年5月モデルのアバンギャルドと変わるところは無い。同じW204でも、前期型とは全く 異なるオーディオユニットはがEクラスに似た雰囲気となったのも後期(11年5月)モデルからだから、半年後の一部変更ではそのままなのは当然だ。これらについては、C200アバンギャルド試乗記で説明しているので、そちらを参照していただきたい。

えっ?いちいち面倒だ、って。まあ、確かにそれは言えるので以下に前回の試乗記から転載しておく。これを使いまわしだ、なんてホザくアホがいるかもしれないが・・・・・・。
 

写真14
センタークラスターのデザインは完全に一新されている。
後期型はエアアウトレットの周りにクロームを使ったり、オーディオの操作ボタンも見た目に高級化されているなど、前期型のチャチな部分がなくなっている。
しかし、エアコンの操作部分は良く見れば前期型からのキャリーオーバーのよだ。

こうしてみれば、C200アバンギャルドAMGスポーツとC36AMGは、似ているといえば似ているし、違うといえば違う。まあ、この辺は個人の趣味の問題でもあるが。

内装も眺めたところで、いよいよ走り出すことにするが、このつづきは後編にて。

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