NISSAN SERENA S-HYBRID 前編
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トヨタのノアと共に、ファミリーユースのミニバン市場で大いに売れている日産の主力車種セレナがFMCされたのは2010年10月で、今回2年弱が経過したことでMCが実施された。ところが、このMCで2WDに関してはベースグレードの20Sのみがガソリン車で、それ以外をS‐HYBRIDという方式にしてしまった。日産のハイブリッド(Hyb.)といえばフーガ Hyb.が思い浮かぶが、あれは価格帯が539.7〜635.0万円という高級車であり、ガソリンモデルよりも80万円程高い価格設定で、Hyb.もエコというよりも性能アップも目的としているようなクルマだった。

この事実を考えれば今回のセレナのHyb.化は、より現実的な価格帯としては日産初のHyb.ということになる。言うまでもなくHyb.に関してはトヨタが世界のトップを走っていて、日本ではホンダも追従しているが、はっきり言ってこの分野ではトヨタの敵ではない。そんな状況で発売されたセレナHyb.は、果たしてどの程度の完成度なのか、という興味もあり、早速試乗アイテムとしてみた。

まずはスペックから。セレナは8人乗りミニバンだから、比較としては同じく多人数乗車の出来るHyb.車ということでホンダスパイクHyb.、そして本家本元トヨタプリウスの3列シートバージョンであるプリウスα、更にはトヨタのHyb.車では最も小さいアクアを選んでみた。

  

セレナハイブリッド(Hyb.)のモーターは2.4psで他車と比べると・・・・・えっ、なにっ?2.4psって、何かの間違いではないの?? なあ〜んて言いたくなるくらい低出力のモーターで、プリウスαの82psと比べると1/20程度だ し、低出力でトヨタ プリウスと比べると何とも情けないと馬鹿にされていたホンダのHyb.だって14ps と数倍以上のパワーだから、セレナのHyb.って一体何なのだろうか。

と、まあ、取りあえずその話は置いておいて、エクステリアから眺めて見ることにする。なお、写真はセレナ ハイブリッド ハイウェースターGという上級モデルで、価格はオーディオレスで279.9万円もする。



Hyb.のトップグレードだけあって、エアロやらアルミホイールやらの高級装備が付いているが、基本は2年前に試乗したセレナと大きな違いは無い。テールゲートを開けてみると、3列シート車としては決して狭くは無いリアラッゲージスペースが出現する。

今度はエンジンルームの中を見てみると、流石にHyb.車らしく、太いオレンジのケーブルや駆動用の半導体を収めた電子ユニットなどが見える・・・・・・ことは無く、ガソリン車と何処が違うのか判らない。

車両右側にはブレーキ液のリザーバータンク(写真左下の白い部分)があり、その奥にはマスターシリンダーらしきモノが見えるが、バキュームブースターは見えない。パワーアシストはどのような方式なのだろう? また、車両左側には極普通の鉛バッテリーが2つ載っている。まさか、このバッテリーがハイブリッド用なんてことは・・・・・いや、これに回生制動のエネルギーを貯めこむようだ。


 

室内は基本的にガソリンのセレナと同じで、全長の割に前後に十分なスペースを持ち、さらにHyb.にも関わらす床が低くてフラットとなっている。この辺は、大型バッテリーユニットの搭載方法が実に巧妙で、これまた流石に技術の日産・・・・・・と、思ったら、リチウムやニッケル水素などの大型バッテリーは使用していない訳で、マジにボンネット内の鉛バッテリーを1個追加しただけだった。



シート表皮は欧州車的なファブリックを使用し、シート調整は全グレードとも手動式となっている。また フロントドアのインナートリムは、一見するとシボも綺麗でパッドのように見えるが、指で叩くとコンコンという音がする。それでもアームレストと肘の当たる部分にはクロスが貼ってある 。



試乗車は上位グレードだったこともあり、フロントのドアノブもメッキが施されているなど、セレナとしては高級な内装なのだろう。このように、ある程度の華やかさがあるフロントに対して、リアのスライドドアのインナーパネルは、樹脂素材そのもので随分質素に感じられる(写真右下)。



インパネはMC前のガソリン車と変わらず、ステアリングホイールよりも上に位置するメータークラスターも同様だ。そして、メーターの下にはカバーの付いた小物入れがあるが奥行が浅くて、一体何を入れるスペースなのか判らない(写真右下)。

   

エアコンはフルオートだが、最近流行の2ゾーンではなさそうだ。オーディオは標準が4スピーカーのオーディオレスであり、写真のナビは純正オプションのために36.2万円で、これがカーウィングスやエンターテイメントシステム付となると61.3万円もする。それにしても最上級モデルでも280万円のセレナに60万円のナビを付けるユーザーなんているのだろうか?



室内も一通り見まわしたところで、ドライバーズシートに乗り込むことにするが、この先は後編にて。

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