TOYOTA Porte/Spade 1.5 前編
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2004年に発売されたポルテは低い床と助手席側に大型電動スライドドアというユニークな組み合わせにより、子育てママ用以外にもウェルキャブなど介護用としてのベースなどにも使われて来たが、売り上げは2011年の約2,600台はモデル末期で仕方が無いとしても、2010年でも約4,700台と決して量販が期待できる車ではない。そのポルテが、この度新型にFMCされたのは流石にトヨタ、一時期の勢いは衰えたとはいえ、こういうマイナー車種にも資源を注げる余力があるようだ。 いや、もしかしたら今度のモデルは本気で拡販する積りなのだろうか?

グレードと価格は、ベースのXが1.3X:155万円、1.5X:159万円となり、その差は僅か4万円だから、1.3は廉価版というよりも低燃費版という位置付けかとも思ったが、JC08モードで1.5Lが19.0km/Lに対して1.3Lは19.6km/Lと、その差も僅かだから、1.3Lを選ぶ理由が判らない。

次に中間グレードがフロントセパレートシートの1.5Fとベンチシートの1.5Yが共に164万円で、上級グレードのGは174万円となっている。更に1.5Lモデルには4WDも用意されていて、価格は2WDよりも17万円高い。 そして、今回からは系列違いの販売網でも売るためにスペイドという兄弟車も設定されたが、グレード展開も価格もラウムと全く同じとなっていて、内外装も殆ど同じという突っ込み処満点の安易な双子車だったりするから、一部のうるさ型からは批判の対象として、いい鴨になっているようだ。

その新型ポルテとライバルの諸元を以下の表にまとめておく。

   

新型は先代ポルテに比べると数値上は外形寸法で全長が+5mm、全幅は同じ、そして全高は+5mmで、ホイールベースは同一だから、事実上は同一寸法となっている。エンジンは新旧ポルテで全く同じであり、要するにエンジンは先代からのキャリーオーバーだった。ライバルとしては日産キューブが寸法的には近いが、当然ながらオーソドックスなヒンジドアだからポルテとはコンセプトが違う。そして、ホンダ フリード スパイクはサイズ的に僅かに大きく、車両重量も新ポルテより140kgも重い。エンジンは3車種いづれも1.5Lが主力となっていて、価格帯は中心グレードで160万円前後というところか。

今回試乗したクルマはスペイド1.5Lの中間グレードであるYで、これは同じく中間グレードのFに比べて、フロントがベンチシートになっていることが最大の違いとなる。1.5Yの価格は164万円で、同じエンジンを積んだカローラ フィールダー 1.5Gの173.5万円に対して、約10万円安いだけだった。ところで、このベンチシート仕様はドライバーズシートに座った状態でリアの状況が全く見えないのは子供を乗せるには都合が悪く、やはり普通のセパレートシートが付いたFグレードが一番マトモなようだ。



写真で見た時には軽自動車の少し大きいヤツ、くらいに思っていたが、現車を見ると想像よりは大きく感じる。といっても、ミニバンの小さいヤツだから、こういうのをプチバンというのだそうだ。今回試乗したスペイドとポルテの外観上の違いはフロントがヘッドライトとバンパーのエアインテイク形状、リアもバンパーの反射鏡と、バックゲートの開閉用取っ手の色程度で、大きな違いは無い。

エンジンはカローラ系(アクシオ、フィールダー)の1.5Lと全く同じ
109psの1NZ-FEエンジンを搭載している。カローラ同様に排気量の割にギッシリと中身が詰まっている。

なおポルテは1.3Lもアクシオ1.3Lと同一エンジンを使っている。



シート表皮は、ベースグレードのXがジャージで中間のYとFがトリコットとなるが、Fはトリコットでも撥水処理を施してある。そして、上級グレードのGは起毛トリコットという、例のトヨタ丸出しのヤツが使われる。

ポルテの最大の特徴である助手席側の大きな電動スライドドアを開けると、リアシートへのアクセスには助手席を大きく前に出すか、バックレストを前に倒すことが必要になる。乗り辛いと思うか、子供が走行中に外に出るような危険を防止していると思うかだが、まあ両者とも正解だろう。なお、助手席のバックレストは完全に前に倒してテーブルとして使えることと、リアシートの足元はものすごく広いのが印象的だ。



ドアのインナーパネルは、プラスチックの一体成型でカローラ以上に安物感満点だ。左側のスライドドアにはアームレストもパワーウィンドウスイッチも 見つからない。ということは、スライドドアのウィンドウは開かないということか。 だとすると、助手席の住人が車外の人と話をするには、スライドドアを開けることになるのだろうか?


インパネは真っ平らで、メーターはセンターに配置されているのでドライバーの正面には何もない。その代わりに何やら収納スペース(トレイ)があるが、右端は牛乳などの1L紙パックが入るようだ。それでステアリング正面のトレイには何を入れるのだろうか?

   

エアコンはGに標準装備されるオートエアコンと、その他のグレード用のマニュアルエアコンがある。試乗車はYグレードだから写真左下のマニュアルエアコンが装着されていた。



オーディオは全グレードでオーディオレスが標準となり、ラインオプションでCD+AM/FMラジオが約3万円で設定されている。なお、ナビのラインオプションは無いので、ディーラーオプションかカーショップで購入して取り付けることになる。試乗車にはディーラーオプションのナビが付いていた。



室内も一通り見まわしたところで、ドライバーズシートに乗り込むことにするが、この先は後編にて。

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