NISSAN LATIO X 前編
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先代ティーダのバリエーションでオーソドックスなセダンのティーダ ラティオからティーダの名称が無くなり、単にラティオとしてFMCされた。これはベースの3ドアハッチバックであるティーダの国内発売が終了し、新型車にはハッチバックが無くなると共にティーダという名称も消滅したことにより、ラティオという名称になった。

ラティオが発売されたのは10月初旬だったが、余程のクルマ好きでも新型ラティオ?という状態でディーラには試乗車は勿論展示車すら殆どなく、メーカーもディーラーも売る気があるんかい? と突っ込みたくなる状況だった。そんな折、顔なじみのディーラーへ行った時にラティオの話が出たら、なんと試乗車があるそうで、当日は日曜日だったがラティオの引き合いが全くないのでじっくりと乗ってきてください、とのことだった。

ラティオのバリエーションは安いほうから、S(142万円)・X(147万円)・G(170万円)と、Gを除けば大して価格も違わないモデルが2つある。今回の試乗車はXで、最上位のGとの最大の違いは、GにはVDCが付くということで、それ以外にはエアコンがマニュアルとなり、室内の華飾がショボい程度で、価格はGよりも23万円も安いから一番の売れ筋と思われる。

ここで例によって関連するモデルとの仕様を比較してみる。先ずはラティオのベースとなった新型ノートと、そのまたベースであるマーチ、そしてラティオのライバルと思われるカローラアクシオを選んでみた。

  

ニッサンの3車は全く同じエンジンで、ノートの場合は全幅もホイールベースも同じだから、プラットフォームは完全に共通で、事実上の上モノ違いというところだ。カローラアクシオはラティオに比べてボディ寸法はほぼ同じながらエンジンは一クラス上の1.5Lだが、燃費ではラティオに負けており、言い換えればダウンサイジングの波に乗り遅れたともいえる。

先代がベース車の、ティーダと同様のグリルを持っているのに対して、新型ではニッサンの上級車に準じたスタイルとなったが、ハッキリ言って個性の無い無印良品的スタイルだ。サイドビューは先代に比べてBピラー以降が大きく傾斜していて、リアパッセンジャーの頭上空間確保よりもスタイルや空力特性を重視したようだ。まあ、新興国向けの商売としては、少しでも上級車に近い雰囲気の方が売りやすいのは判るし、それをついでに日本国内で売るわけだから、結果的にこういうクルマとなってしまったのだろう。

  

トランクを開けると、ラゲージスペースは幅が狭く、FF実用車としては物足りない。そしてトランクリッドには"PURE DRIVE"というブルーのエンブレムが貼ってあるが、なにがピュアーなのだろうか?

ドアを開けるとカラーは微妙に異なるがシートの形状などはノートと同じだった。それにしてもリアパッセンジャーの頭上空間は狭そうだ。

シート表皮はノートと色や模様が違うくらいで、材質などは同系のようだ。更にドアのインナートリムもノブやパワーウィンドウスイッチ&パネル等もノートと共通となっているが、パネル自体は別物となっている。下の写真を見ると、両車はドアノブとパワーウィンドウスイッチの位置関係が異るのが判るだろう。


エンジンはマーチやノートと同じHR12DE 3気筒1.2L 79PS 10.8kg-mで、試しにエンジンルーム内の眺めをマーチと比べてみたらば、成る程同じだった。マーチより100kg重い車両重量に同じエンジンだから、当然ながらマーチ以上の動力性能は期待できない。

      

インパネ部分は基本的にノートに近いがセンタークラスター上部のエアコンアウトレット形状が異るなど、多少の違いはある。

      

エアコンはマニュアル式で、スイッチの配列はノートと同様だが、パネルの形状が多少異る。

      

スペックを見ても室内を見ても基本的にはノートの流用であり、エンジンはノートとともにマーチと同じなど、言ってみればニッサンの持ち駒を寄せ集めてセダンのボディを乗っけたというクルマだが、さて走りの方も同じなのだろうか?

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