先日、この試乗記では初めてのファミリーミニバンとなるトヨタ ノアを取り上げたが、今回はそれに続きノアのライバルでもあり、FMCを実行したばかりの新型セレナに試乗してみる。セレナの前身は小型1Boxバンをベースとして乗用仕様としたバネットセレナであり、それを考えると今のセレナは随分と立派になったものだ。
フロントマスクは兄貴分のエルグランドにも似ていて、日産のミニバンであることが直ぐに判るし、この押し出し感ならば決してミジメになることも無さそうだ。それでも寸法的には基本的に5ナンバーサイズとなっている。基本的にはと表現したのは、今回の試乗車であるハイウェースターは全幅が僅かに1,700mmを超えているために3ナンバーとなっているからだ。
リアのラッゲージルームの広さは3列目のシートを使う場合はそれ程広くは無いが、
以前のように殆どスペースが無いような状況からは大いに進歩している。また、床下には左写真のようなスペースもある。
それでは先ずは内装から見てみるが、前述のように試乗車はラインナップの中では最上級のハイウェースターだから、2WDでも249.9万円で、試乗車はこれにナビ(36.3万円)をつけていたら、車輌価格は何と約286万円ということにな
り、内装は良くて当たり前。これが廉価グレード(20Sなら216.3万円)でも同じかといえば、何ともいえないので注意が必要だ。そういう事を踏まえて車内を見れば、シート表皮は欧州調のファブリックで見かけは中々良い。
しかもハイウェースターのシートはご丁寧にブラウンのダブルステッチまで使って、高級感を盛り上げている。室内の出来も、本来内装の良いので定評のトヨタ車であるノアに比べても、むしろ勝っているかもしれない、というレベルだ。
今回のセレナの売りは14種類のシートアレンジができることで、2列目の中央シートが前席位置まで移動して、2列目の左シートが右に寄るなど、好みにより各種のアレンジができる。
上の写真で@は通常の状態、Aはセンターシートをフロント側に移動したことで、左右のシートの真ん中にウォークスルーのスペースが出来た状態、そしてBは2列目左側のシートを右に寄せて、左のスライドドアーとの間にスペースが出来た状態、というようにアレンジが出来る。
フロントシート間も当然ながらウォークスルーが可能だが、床には前記のようにリアセンターシートが移動するためのレールが見える(写真左)。
なお、詳細を知りたい読者は ⇒ニッサンのサイトにて。
シートは見かけどおりに硬くフラットで、フニャフニャシートに比べて疲れが少ないだろうが、欲を言うと背中の上半分が浮いてしまう傾向にあった。それは、オマエに体がおかしいんだろう、と言われそうだが、まあ確かにそれもあるとしても、良く出来た欧州車のシートなら背中全体がちゃあんとサポートされているから、強ち体系だけの問題でもなさそう
だ。レカロに代表される出来の良いシートなら、一見カチカチのようでも座ってみると必要な部分はちゃあんと凹んで体をシッカリと面でサポートするが、セレナのシートは点でサポートすることになり、当然体への負担は大きい。また、ノアのシートも同様だったが、座面の長さが短くて、太ももが浮いてしまう傾向にある。という訳で、見かけ程には座り心地は良くないが、目くじら
を立てる程には悪くない。言い換えれば、日本のシートもやっとここまでは進歩したが、まだまだ頑張りは必要のようだ。
シートに座ってシートベルトを締めて、ミラーも合わせたし、と、ここで冷静にダッシュボード付近を見回せば、ヤッパリ結構チャチな造りではあるのに気が付く。これはライバルのノアも同様だが、一見高級そうな内装も、良く見ればプラスチックのシボ模様が見え見えだし、ドアのインナートリムだって随分とコストダウンをしているようだ。まあ、このクラスではこれが当然なのかもしれないが、試乗車は300万円に迫る車輌価格であることを考えると、文句の一つも言いたくなる。
というところで、この続きは後編にて。
後編へ
Topページに戻る
|