既に触れたように試乗車の操舵力はコンパクトカー並に軽く、この点ではノアと良い勝負だ。そして普通の道を、普通に走るには、特に何の問題も無い。ところが、今回はヤッパリ所詮はミニバンなんだと思う場面もあった。コーナーリング特性はそれ程極端では無いものの基本的にはアンダーステアだから、チョッと速めにコーナーリングをしようとすれば常にステアリングを適度に切って頭を内側に
向ける必要があるが、
その時にスパッと一定舵角を決めて回れれば良いのだが、セレナの場合は一度ステアリングを切って頭が回り始めるまでの遅れがある為に曲がり始めると切りすぎているのに気が付き、少し戻すと今度は戻りすぎという具合になり、結局は多角形のコーナーリングになってしまう。
まあ、これはノアだってこの傾向はあるのだが、ノアの場合は都内の広い幹線道路のために多少ラインが凸凹しても目立たなかったのが、2車線とはいえ6m程度の地方道では車幅の余裕は殆どないので、道路のラインに沿ってレールの上を走るが如くのコーナーリングが必要となるので、目立ってしまったようだ。
更には、このコースは少し前にフーガハイブリッドでも走ったばかりで、この時は結構な速度だったが、それでもオンザレールのニュートラルなコーナーリングを見せ付けられたばかりだったことも、セレナの評価を落とした原因でもある。それにしても、コーナーリング性能というアクティブセーフティーの面では600万円のフーガハイブリッドは250万円のセレナよりも圧倒的に安全だということを実感した訳で、やはり世の中は残念がなら「地獄の沙汰も金次第」ではある。
今回の試乗車はハイウェースターという最上級グレードのために、4輪ディスクブレーキを装着していた。そういえば、ライバルのノアの試乗車も4輪ディスクだったので比較条件としては判りやすい。
セレナのブレーキはノアよりも踏み始めの遊びが少なく、この点ではノアより勝っているが、効き自体はどちらも問題ないレベルで、普通に走る分には充分だった
。写真撮影のためにフロントホイールの中を覗いてみたら、そこにあるブレーキは鋳物の片押しとはいえ、2ピストンが使用されていた。ノアはシングルピストンだから、この面ではセレナが勝っている。
さて、ここで例によって、脳内オーナー必修のライバルとの諸元比較を行ってみる。
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NISSAN |
NISSAN |
TOYOTA |
TOYOTA |
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Serena
Highway Star |
Serena 20S |
NOAH S |
NOAH X |
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車両型式 |
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DBA-FC26 |
DBA-C26 |
DBA-ZRR70W |
DBA-ZRR70G |
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寸法・重量・乗車定員 |
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全長(m) |
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4.770 |
4.685 |
4.635 |
4.595 |
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全幅(m) |
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1.735 |
1.695 |
1.720 |
1.695 |
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全高(m) |
|
1.865 |
← |
1.850 |
← |
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ホイールベース(m) |
2.860 |
← |
2.825 |
← |
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駆動方式 |
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FF |
← |
FF |
← |
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最小回転半径(m) |
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5.7 |
5.5 |
5.5 |
← |
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車両重量(kg) |
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1,630 |
1,600 |
1,590 |
1,580 |
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乗車定員(名) |
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8 |
← |
8 |
← |
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エンジン・トランスミッション |
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エンジン型式 |
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MR20DD |
← |
3ZR-FAE |
← |
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エンジン種類 |
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I4 DOHC |
← |
I4 DOHC |
← |
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総排気量(cm3) |
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1,997 |
← |
1,986 |
← |
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最高出力(ps/rpm) |
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147/5,600 |
← |
158/6,200 |
← |
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最大トルク(kg・m/rpm) |
21.4/4,400 |
← |
20.0/4,400 |
← |
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トランスミッション |
|
CVT |
← |
CVT |
← |
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燃料消費率(km/L)
(10/15モード走行) |
15.4 |
14.4 |
14.4 |
14.4 |
|
パワーウェイトレシオ(kg/ps) |
11.1 |
10.9 |
10.1 |
10.0 |
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サスペンション・タイヤ |
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サスペンション方式 |
前 |
ストラット |
← |
ストラット |
← |
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後 |
トーションビーム |
← |
トーションビーム |
← |
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タイヤ寸法 |
前/後 |
195/60R16 |
195/65R15 |
205/60R16 |
195/65R15 |
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ブレーキ方式 |
前/後 |
Vディスク/ディスク |
Vディスク/ドラム |
Vディスク/ディスク |
Vディスク/ドラム |
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価格 |
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車両価格 |
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249.8万円 |
209.0万円 |
230.0万円 |
209.0万円 |
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備考 |
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アイドリングストップ
TCS,ESC標準 |
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TCS,ESC OPT.
:13.7万円 |
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これで、ノアとセレナというファミリーミニバンの代表車種に試乗したことになるが、どちらも最上級のスポーツグレードだったこともあり、極普通に乗る分には特に問題のあるようなこともないし、重いボディでも一応2Lエンジンを搭載しているから、軽自動車並
の動力性能などということもなかった。
それでも、今回のようにチョッと条件の悪い道で、これまたチョッと速めでコーナーリングをしてみると、たちどころにボロを出すから無理は禁物だし、そういう面では所詮はミニバンだ。実は試乗する前には、
走りのニッサンだからトヨタのノアよりも走りの面では優れている、という結論を期待したが、結果としては一見して判る程の違いは無かった。
その代わり、トヨタのお家芸でもある高級車のような静けさを、低速時のみとはいえセレナが持っていたのと、開発時点の新しい、言って見れば後出しジャンケンのセレナが、シートアレンジなどで
も一歩先に行っていたのは、小型ミニバンでは走り自体の詰めは既に限界に来ているのかもしれない。
今回のような上級グレードだと2WDでも価格は250万円級で、これにナビを付ければ300万円に近くなる。と、いう事はセダンならばスカイラインやマークXの2.5Lが買える金額だ。まあ、クルマなんていうのはユーザーの嗜好により評価が変わるものだから、ミニバンが一番というユーザーには、どうぞお買い上げ下さいな、という
事になる。
それに、少年サッカーチームが試合遠征する時のクルマ出し当番に、スカイラインでは息子の肩身も狭いというもんだ。
多くの人々は、ある時期、幾ら嫌でもミニバンを所有する必然性があるのも、日本の社会では現実でもある。それを振り切るような、強いオトウサンなら、ミニクーパーでもミトでも、買う事が出来る訳だ。
注記:この試乗記は2010年11月現在の内容です。
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