トヨタ ノア 2.0S 前編
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この試乗記は2010年12月現在の内容です。

 

世の中未だに衰えないミニバンブームだが、本簡易試乗記でも国産フルサイズミニバンのアルファードとエルグランドについては夫々FMCを機に紹介済だが、これらは欧州車オーナーでも家族旅行用として一台所有している 例もあり、本サイトの主要読者層からも意外にも人気がある。 しかし、ミニバンの売れ筋であるCセグメントベースの小型ミニバンについては、今まで取り上げてこなかった。それでも街を走れば、すれ違うのは軽自動車と小型ミニバンばかりという今の世の中を考えて、今回初めて 試乗してみる事にした。車種はトヨタのノアで、 軽も含めた2009年の販売台数では21位の約5.3万台だが、実際には兄弟車の ヴォクシーが約7.1万台で12位に入っているために、実際には合計12.4万台となり、これはダイハツムーブを抜いて5位の成績となる売れ筋クルマだ。 因みにライバルのニッサンセレナは約7.9万台で10位に入っている。ところで、何故同じクルマなのにノアよりボクシーが売れているのかといえば、恐らくノア(カローラ店)よりもヴォクシー(ネッツ店)の方が購買層と店の客筋が合っているのか、カローラーと違い売れ筋車種がヴォクシーしかないネッツ店の方がヴォクシーを必死で売るのか、のどちらかだろう。

  

ノアのバリエーションは大きく分けてベーシックなX、豪華モデルのG、そしてスポーツモデルのSとなり、それ以外に「何とかパック」というのもあるが、これらは3グレードからの派生車だと思えばよい。価格帯は2WDが209万円(X)〜253万円(Si)で、4WDは更に20万ほど価格アップとなり、最も高価格なモデルはSi 4WDの270.9万円となる。 なおナビを標準装備したグレードはないから、その分も見込まなくてはならず、上級グレードでは300万円級となってしまう。



今回の試乗車はS(2WD、230万円)に純正オプションのナビ(32.3万円)が付いていたから、車輌価格は260万円チョイとなる。 ノアのエクステリアは背が高く真四角という、もう実用を考えたらコレが一番という形をしている。室内の広さは流石に背高ミニバンだけあって、同じ7〜8人 乗りといっても、ハイトワゴン系とは比較にならない程の余裕がある。 ノアSのアウターサイズは全長4,635×全幅1,720×全高1,850と、全幅が僅かに20mmだけ5ナンバーサイズからはみ出しているが、それでも充分にコンパクトな外観から考えれば、室内の広さは圧倒的だ。 なお、同じノアでも廉価モデルは5ナンバーサイズとなっている。

 

試乗車のドアを開けて目に入ったシートは、欧州車的な粗い織目のファブリック (写真左上)で、後ほどカタログで調べたら”S”グレードのみに標準となる「ファブリック(スポーティー)」と標記された表皮だった。その他のグレードは、如何にもトヨタらしい毛ばいもの (写真右上)で、カタログでは「トリコット」と標記されていた。

ノアはミニバンのベストセラーだけあって、前席と後席の間は自由に行き来が出来るウォークスルーとなっている(写真左)。走行中に後席への移動は危険だという意見 も否定しないが、小さな子供(幼児)などを乗せていると「漏らすは、吐くは」で、急遽前後の席を往復する事態が結構あったりする。渋滞中のおむつの交換なんていうのはミニバンの独壇場だ。まあ個人的にはそんな時代は1/4世紀近くも前の事だったが、それでも鮮烈に記憶にあるから、子育て真っ最中のミニバンオーナーの気持ちになれば、これは必要な機能だし、これこそミニバンのメリットでもある。

 

シートの座り心地は先ず先ずだが、まあ、それなりというところで、このシートに座って数時間もの渋滞に耐えるオトウサさん達の家族愛には頭が下がる。えっ?我が家では主に遠出ではオトウさんではなく、オカアさんが運転するって?成る程、普段は電車で通っているオトウさんに比べて、毎日家族を駅まで送りに何往復もしているオカアさんの方が腕が良いのかもしれない。ん、そういう問題じゃあなくて、生まれつきオトウさんよりオカアさんの方が運動神経が良いって?

 

シートやミラーを合わせて、ダッシュボードを良く良く見れば、シボは如何にもプラスチッキーだし、指で叩けばコンコンと硬くて、ソフトバッドにはなっていない。そしてドアのインナートリムやドアノブ、 更にはパワーウィンドウのスイッチ類など、どれを見ても大衆車レベルなのは仕方がない。それでも、最近は2百数十万円もするのだから、デフレ経済の中でもクルマは確実にインフレ中のようだ。

そんな訳で、エンジンを始動して走り出すのだが、この続きは後編にて。

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