SUBARU IMPREZA WRX STI A-LINE(AT) 前編  ⇒後編
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現行インプレッサ(GH)は07年6月に5ドアハッチバックとしてデビューした。その後少し遅れて同年10月にはSTI(GR、6MTのみ)が発売された。さらに09年6月にはSTIにAT車が追加され、これは”A−LINE”というサブネームが付いていて、エンジンもMTの2リッターに対して2.5リッターと排気量は増大しているが、パワー&トルクともにMTの2リッターより少なく、STIとはいえ、より実用性に振った設定になっている。 一方、ベースとなる乗用車は2008年10月に”アネシス”というサブネームをつけた4ドアセダン(GE)が追加された。そして今回、アネシスをベースとした4ドアセダンのSTI(GV)が新たに追加された。

  

今回の試乗車は6ATを搭載するSTI A−LINEで、4ドアセダンの実用性とSTIの高性能、しかも家族で乗れる(?)ATという実用モデルだから一家に一台のファミリーカーと (騙)しての購入も充分にあり得るのでは、という期待とともに試乗してみた。

目の前に現れた試乗車は、驚く事に中々カッコが良い。一見只のインプレッサセダンだが、何故か迫力が違う。その理由は、まずフェンダーをみると納得できる。
大きく膨らんだブリスターフェンダーや、その膨らみを利用したフロント後方のエアアウトレットなどが、このクルマが只者ではないことを暗示している。 そして後方に回ると、左右各2本、合計4本出しの排気管が異様な迫力で迫ってくる。もちろん、ガンメタに塗装された専用ホイールの活躍も大きいが。

ドアを開けてインテリアを見ると、何とシートがタンカラーのレザー表皮だった。実は今回の試乗車は上級のプレミアムパッケージというグレードで、シートとステアリングがタンレザーであることと、ホイールがBBS製であることが異なり、価格は標準グレードの315万円に対して341万円 となる。更にナビも付いていたから車輌価格は368万円と決して安くは無い。
オプションのタンレザーシートの見かけは中々良く、早速座ってみるとセダンボディの外観からは意外なほどに着座位置が低い事に気が付く。そうは言ってもベースはファミリーセダンのアネシスだから、ボディの室内高自体は決して低くないので、低めのシートポジションにすると頭上空間はスカスカとなる。 それでも、フェンダーやボンネットに専用のプレスを使っているのは、ここだけは妥協できないからであり、1.5ℓ車の倍以上の価格はエンジン分の価格もあるが、それ以上に専用ボディの価格が含まれているのだろう。

 

シートの見掛けが結構良いことに気を良くしたが、落ち着いてダッシュボードやドアのインナートリムを見てみれば、どうも質感がイマイチなのに気が付く。 そこで、ダッシュボードを指でたたいてみたらば、コンコンという音がして、この部分はソフトパットではないことが判明する。

同じ300万円の国産車でもスカイラインは300〜500万円の価格帯だから、400万円クラスをメインターゲットにして、それなりに金を掛けた金型や材料を使う事ができる。ところが、STIの場合は生産台数の少ないSTI系のためにダッシュボードなど大物の金型を専用に作る事は無理だから、本来150〜200万円のクルマ用の、其れなりに安物の樹脂と安っぽいシボの金型で作るインプレッサ用を流用するしかない事になる。

  

試乗当日も猛暑で外は熱風が吹きすさぶ状況だったが、標準装備のオートエアコンはキッチリと仕事をしていた。試乗車にはオプションのナビが組み込まれていたが、標準はオーディオレスとなっている。

  

スタートボタンによりエンジンを始動すると、アイドリングは多少の振動を伴っている事と、後方からボロボロボロというスバル独特の音がハッキリと聞こえる。最近のスバルはこの音が無くなってしまい、一部のマニアには惜しまれていたが、そういう意味ではA−LINEはマニアックな音がする。 ただし、理由としては2.5ℓモデル は排気ポートからターボビンまでの距離を短くして、ターボのレスポンスを上げたことから、排気管を等長等爆に出来なかったのが理由のようだ。
 

   

正面にある3連メーターはMT版と殆ど同じだが、よく見れば正面の回転計のレッドゾーンがMTでは8,000rmp(FS9,000rpm)に対して、6,700rpm(FS8,000rpm)となっていた。

⇒後編へ続く