今や日本の自動車市場では最も売れ筋となったミニバンだが、これに対しては色々意見があるのは当然で、B_Otaku も決してミニバンは好きではない。
何故なら、クルマを操縦する楽しみとして考えると、何とも使い物にならないのがミニバンだからだ。しかし考え方を変えて、あくまで多人数の移動手段で、しかもドライバーではなくパッセンジャーの気持ちになれば、ミニバンというのは中々結構な乗り物でもある。
エルグランドの前身はキャラバンであり、先ずはそのニッサンキャラバンの生い立ちについて纏めて見た。
初代キャラバン(E20)は1973年に発売された。ライバルはトヨタハイエースで、ハイエースがトラックを主としたバリエーションとしてのバンであったことに対して、キャラバン
のラインナップにはトラックがなかった。
そんなこともあり、キャラバンのフロントスタイルはトラックっぽさがなく、既に一部のバンニングマニアからは注目されていた。
そして1986年に発売された3代目キャラバン(E24)には、リアの回転対座シートなどを備える、正に動くリビングルーム的な魅力のキャラバンコーチ(乗用車登録のワゴン)が設定されていた。
実は何を隠そうB_Otaku も30年ほど前に、当時このキャラバンコーチに興味を持った事があった。これはもう、ある面で走りとは別の次元で、移動する道具としての究極を求めているような気がしたからだ。
しかし、実際に試乗してみれば、その走りは全くのキャブオーバートラックそのもので、結局購入には至らなかった。
旅行でも出張でも、自宅を遠く離れた移動に電車や飛行機などの公共交通機関を使った場合、旅館やホテルにチェックインして部屋に行くまでプライベートな空間でくつろぐことは出来ない。
しかしクルマであれば例え軽自動車でも、常にプライベートな空間が確保できる。それが、ワンボックスワゴンならばリビングルーム並の環境がいつでも得られるのだから旅先での安心感は抜群で、とりわけ家族連れの旅行では威力を発揮する。
このメリットを上手く突いたのが今のミニバンブームとなったのだろうことは容易に想像できる。そのトレードオフとして、ドライバーにとっての走る喜びは全く無くなる
が。
なお、E24キャラバンは1997年に乗用車専用モデルであるキャラバンエルグランド(プリンス系はホーミーエルグランド)が発売された事で、コーチはこちらに移行して
行った。
そして1999年にはエルグランドに車名が統一され、フルサイズミニバンの名称として現在に至っている。
トヨタがこの分野でイマイチなのは、キャラバンvsハイエースにまで遡る歴史がある。何よりもトヨタの場合、ハイエース→グランビア/ハイエース・レジアス→グランドハイエース→アルファードという具合にキャラバン/エルグランドの躍進に慌てて対策をしたことからも、この分野では後追いになっていることの証拠だろう。
エルグランドのように、トヨタが如何しても他社にアドバンテージを許してしまう分野がいくつかある。
先ずは4WDワゴンのレガシィで、一時期カルディナをぶつけてみが所詮は敵ではなかった。結局スバルはトヨタ傘下になったから、近い将来にこの手のワゴンをラインナップするならばOEM供給という手も出来たことになる。
次に乗用クロスカントリー4WDの三菱パジェロで、トヨタには同クラスにランクル70という作業用のヘビーデューティーなバンがあったが、本格的過ぎてパジェロに市場を独占されてしまった。
急遽70をベースに乗用車的に直したプラドを発売し、その後のプラドは更に徹底してパジェロ的になったが、時は既に遅く、バブル崩壊により巨大な4WD車の時代は終わってしまった。
そして高性能車の分野では3年程前にレクサスIS−FとニッサンGT−Rがほぼ同時期で、しかも同価格帯で新発売されたが、その内容、話題性、そして性能のどれをとってもGTーRはIS−Fとは格が違い
過ぎ、比較するのがバカバカしいくらいだったのは今さらでもない出来事だった。
こんなのライバルっていうのか?ということで、ハッと気が付いた。そう言えば、何処かの国の政権党の代表戦に出ている二人の候補が、ちょうどGT−R
(O氏) vs IS−F (K氏)みたいな感じだった・・・・なんて。しかも、クルマと違って、こちらの結果はあっと驚く、あっ、いや、いや、これは危険な発言だった。
これ以上口を滑らさないうちに
話を元に戻すと、エルグランドのような上級ミニバンは言ってみれば国産車の独壇場で、そういう意味では裕福な輸入車ユーザーが家族旅行用として、ミニバンも所有する、という例は多いようだ。実を言うと、エルグランドの試乗記予告を出したら、複数の輸入車オーナーで、しかも旧エルグランドを所有している読者から早く見たいというメールを貰った。と、言う事で、エルグランド等のフルサイズミニバンの売れ筋が3.5リッターモデルという訳が、成るほど理解できた事になる。
えっ、3.5ミニバンでは別荘に行く途中の高速道路で、ランエボやSTIのガキに追いつけないので腹が立つ、ということですか?それで、社長のリゾートエクスプレスは「カイエン ターボ」という訳ですか。納得。
日本の社会は益々、弱肉強食の新自由主義が加速するだろう。ということは、エリートサラリーマンや官僚は益々裕福になるから、高価なクルマは其れなりに売り上げがアップするということだろうか。まあ、この件は今後もジックリと考えてみよう。勿論クルマサイトとして。
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