HONDA CR-Z α (CVT) 前編 ⇒後編


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07年の東京モーターショーにホンダより出展されたハイブリッドクーペのコンセプトカーは、昨年(09年)の東京モーターショーではより現実味のあるCR-Z CONCEPT 2009として発表され、翌10年の前半に発売されると言われていた。 その予告どおりに市販タイプのCR−Zが発売となったことから、先ずは速報版試乗記をお届けする。

CR−Zの最大の興味はハイブリッド車でありながら3ペダルのMTがラインナップされている事だが、残念ながら今現在ではMTの試乗車は近県には全く用意されていな かった。したがって今回はCVTに試乗してみた。試乗したのは上級グレードであるα(249.8万円)で、 バリエーションとしては他に主としてアルミホイールや皮巻きステアリングホイールなどの装備を省いたベースグレードのβ(226.8万円)もあり、何れもCVTと6MTが用意されている。
エクステリアは低く、広く、短くて実にスポーティーなスタイルをしている。これは写真で見る以上に実物の方がカッコ良い。リアのゲートを空けてみると、 ラッゲージスペースは意外にも奥行きがあるし、リアシートを畳めば結構実用的なスペースを確保できる(写真下右)が高さは低い。



ドアノブは最近流行のグリップ式ではなく、かといって以前からある引き手でもなく、一寸凝ったというか、おしゃれなデザインを採用している(写真上左)。 ただし、何となくフェアレディZっぽい気もするが。そのノブを引いてドアを開けてみると、ホールドの良さそうなシートを始めとして、一見しただけでは価格に対して充分な質感を持ったインテリアが見える。

  

フロントシートのバックレストを前に倒して後席を覗いて見ると、そのスペースは完全な+2でドライバーが175cm級以上でフロントシートを少し下げたら、後席は足を置くスペースが殆ど無くなる (写真上左)。 これでは小学生でも上級生だとチョッと無理かもしれない。まあ、ここは手荷物置き場と割り切るしかないが、リアシートはグレーのフロントシートと異なり内装と同じ黒一色で、この点でも荷物置き場を強調しているのかも知らない。

標準のフロントシートの表皮は欧州車的なファブリック(写真上右)で、このクルマの性格からして合っているし、無理してオプションのレザーシートを装着することも無さそうだ。 いよいよシートに座ってみると、適度に柔らさを感じるがシッカリしていて、見かけどおりに座り心地も悪くない。とはいってもレカロに代表される硬い座面にも関わらす必要な部分は確実に凹んで体をサポートする、というほどに出来が言い訳で もない。 今回はチョイ乗りだったので、長時間乗ったときの腰の疲れは判らないが、そう悪くも無さそうだ。着座位置は最近高めになった一般的な乗用車よりは低めだが、マツダロードスターのように並のクルマとは異次元の低さを感じる程には低くない。 まあ、乗用車ベースのクルマだから、この辺が限界なのかもしれない。



ステアリングコラムは前後、上下に調整できるから、座面の上下調整が可能なシートと共に、完璧なポジションに調整できる。こんな当たり前なことでも、このクラスの国産車に装備されたのは極々最近のことで、その意味では国産車もマトモになってきたものだ。
ここで室内を見回してみると、まずはドアハンドルの表面が金属の蒸着フィルムを使ったメタル的な質感と軽量化を追及したとカタログでも謳っているが、それほど感動する程ではない(写真上右)。
 

    

ダッシュボードを見回すと、ステアリングコラムの左右に多くのスイッチを集中させているのが判る。左側(写真上中央)はエアコン関連で、右側(写真上右)には走行モード切替スイッチを主として、これにミラー調整などのスイッチ類 があり、どちらもステアリングコラムと同様の高い位置にあるから、走行中の操作でも視線移動が最小限となり、実に使い易い。
しかし、冷静になってダッシュボードを見てみれば、シボはワザとらしいし質感もプラスチッキーだ。 車両価格が同一のマークX並とは言わないまでも、もうすこし何とかならない物だろうか?

イグニッションをONにするにはインテリジェントキーを所持して、ステアリングコラム右側面のノブを押しながら回す。 最近の定番であるスタートボタン方式でないのはスポーティーを強調する為なのか、単なるコストダウンなのか?それとも、トヨタの暴走事故のような場合に備えた安全対策で、今後はスタートボタンが無くなるのか?
さて、スイッチが入ると正面のメーターが派手はブルーに輝く。このメーターは賛否両論で、車好きの多くが批判的なようだ。このクルマの本来のターゲットユーザーである中高年のクルマ好きの感覚から言えば、もっとオーソドックスで精密そうな アナログメーターを並べてもらいたいと思うのだが・・・・・感覚が古いのかなぁ? 若い世代はこういうのを喜ぶのだろうか?

センターコンソール上のATセレクターをDに入れて、その手前にあるオーソドックスなレバー式のパーキングブレーキをOFFにして、 いよいよブレーキペダルから足を離すとクルマはユックリとクリープ動作により前進する。そして動き出した瞬間に真正面の派手な回転計の針が触れてエンジンも始動したことが判るが、この動作は極自然に行われる。 走り出して感じるのは低速域のトルクの太さで、エンジンとは異なり低回転ほど大トルクを発生する電気式モーターのサポートが効いているのが実感される。

最初はモードスイッチをNORMAL にして走り出すと、ユックリと流すには不満はないが、イザ加速に移ろうとするとスポーティーな2ドアクーペとしてはレスポンスは物足りない。
今回は本当のチョイ乗りだから、すぐさまモードを切り替えてECOを試してみる。他のHVと同様に幾らエコとはいっても、このトロさは無いだろう、と言いたくなるくらいにレスポンスは極悪となる。 想像していたとおりに使えないモードであることを確認したら、今度は本命のSPOORTに切り替える。このモードでは正面の回転形のリングが赤く点灯する(上の写真の下段)。このモードにしたら、ようやくホンダのスポーツクーペらしい動きを始めた。まず、スロットルレスポンスも充分だし、キックダウンをしてみれば回転 計の針はピョンと上がるし、そのまま高回転を維持もする。

CR−Zにはステアリング ホイール裏面にパドルスイッチが標準装備してあり、右がアップ、左がダウンというオーソドックスな操作なので違和感は全く無い。コンソール上のセレクターのパターンを見れば判るとおりに、CR−Zにはマニュアルポジションがない。したがってマニュアル動作はパドルスイッチに触れることで移行する。そしてNORMALとECOのモードではその後自動復帰し、SPORTではマニュアルモードを維持する。
なおCR−Zの場合、上級グレードであるαにはクルーズコントロールも標準装備されている。

と、ここで後編へつづく。
 

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