スズキ アルトG 2WD 4AT 前編 ⇒後編



軽自動車といえば一般的には経費が安いことと共に、車両価格も普通車より低価格と思っていたらば、何やら最近の軽自動車は結構高級化してしまい、中には総額で200万円に届くような車種すらある。

そんな中でベーシックで低価格な、軽らしい軽といって思い当たるのはスズキのアルトだ。アルトといえば79年に47万円という衝撃的な価格で発売されて以来、軽の中でも最も安価なクルマという地位を守ってきた。 しかし、アルトのOEM版であるニッサンピノを07年12月に試乗したが、その結果は安かろう悪かろうで、動力性能は元より安定性が大きく劣り、如何考えてもあと15万円出してモコ(MRワゴンのOEM版)を買ったほうが得だとの結論に達して しまった。 そのアルトが今回FMCされた。最近の軽自動車、取り分けスズキの軽は新型になる度に進歩が著しく、3ヶ月程前に乗った新型ワゴンRは、今までの軽からすれば信じられない程の安定性を持った車に進化していた。そして先日のニッサンルークス、即ちスズキパレットのニッサン版に至っても、 同様の安定ある走りを見せてくれたから、最新のスズキの軽の実力は確実に進歩していると確信できる。

そういう意味では、ワゴンRなどと基本的なプラットフォームを共有していると言われる新型アルトには大いに期待が出来る。やはり、安かろう悪かろうなのか、それともアッと驚く買い得車なのか?



という訳で、急遽試乗したのが新型アルトGという売れ筋の中間グレードで、試乗車の2WD、4AT版の価格は89.25万円。このGには他に4WDも設定があり、またパレットから採用された副変速機付きCVT搭載モデルもある。
新型アルトのエクステリアを見れば先代の面影は全くなく、今流行のハイトワゴン系に近い雰囲気を持っている。 そして、ドア開けてみると・・・

インテリアはアイボリーで、 これはアルト全車に共通で他のインテリアカラーの設定はない。内装色を一種類にすることでコストダウンをしているいようだ。ただし、この手の色は新しいうちは明るくて良いが、チョッと古くなると薄汚れてきて、5年もすれば見るも無残な姿に・・・・ならなければ良いのだが。

内装の出来は見るからにチャチという事は無いが、よーく見れば所謂プラスチッキーという奴だが、 これも価格を考えれば上等だし、アルトに質感の良さを求めるユーザーもいないだろう。
左下の写真のように、パワーウィンドウも付いているし、ドアのインナートリムの一部はシート表皮と同じファブリックが使われていたりと、安いながらも頑張っている。 そして、シート表皮はといえば、これも価格を考えれば結構頑張っている(写真右下)。このシートは全てのグレードで共通となっているのも、バリエーションを作らない事でのコストの追求だろう。



室内を見回してみえば、楕円(長円 )形のセンタークラスターは上部にエアコンのアウトレット、中央にオーディオ、下段にエアコンの操作パネルとなっている。 オーディオは最廉価版のEを除いてCD付FMが標準装着されているが、レスオプションは無いから後付でナビを装着する場合には標準オーディオは捨てるしかない。 まあ、車両価格90万円のクルマに10万円以上だしてナビを付けるか、という疑問もあるが最近の若者はナビが無いと不安で何処にも行けない・・・・という話も聞く 。
エアコンは全てのグレードでマニュアルエアコンが標準で、オートエアコンはオプションでも設定がない。


シートに座ってみると座面の長さは短いが、ルークスの試乗記でも述べたようにアルトもアップライト気味に座るために太股を完全にサポートしなくても、それ程疲れることも無い。 座面も適度に硬いが決して硬すぎることも無く、これまた高価なルークスと比べて明らかに安物感があることも無い。ただし、見かけや表皮は其れなりに安物だが、実用上は問題ないし、慣れれば不満もでない程度のものは使っている ようだ。アルトのシートには座面の上下調整をするシートリフターが、最上級グレードのXのみにしか装備されていない。 試乗車も当然上下の調整は出来なかったが、とりあえず大きな問題は無かった。 しかし、小柄な女性が乗る事の多い軽自動車だからこそ、シートリフターは必要装備となる筈だが、そんな時には座布団とかクッションで調整することになる。

以下、後編につづく。

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