両車の比較をする前に、輸入車を含めたEセグメントについて考えてみよう。
先ずはメルセデスEクラス。今でこそ、国産車に比べてどうしたこうした、という話が出るが、20年前だったら比較なんて恐れ多くて、という程の差があったものだ。今ではチョッと落ち目ではあるが、それでもEセグメントの世界王者には変わらない。そしてBMW5シリーズ。メルセデスのライバルということになっているが、本当にそう認識されるようになったのは極最近のこと。
1代前のE39は実売価格でもステータスでも、Eクラスより格下というのは世間一般の常識だった。それが現行E60の出来の良さと、現行メルセスデスEクラス(W211)の致命的なブレーキ不具合(MCでシステム自体を変更した)で、気が付いたら100年以上もかけて作り上げたメルセデスの不滅の地位を、追い上げられるまでになっていた。
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CROWN |
FUGA |
Mercedes Benz |
BMW |
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2.5ATHLETE |
250GT |
E250 |
525i |
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寸法・重量・乗車定員 |
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全長(m) |
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4.870 |
4.930 |
4.850 |
4.855 |
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全幅(m) |
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1.795 |
1.805 |
1.820 |
1.845 |
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全高(m) |
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1.470 |
1.510 |
1.485 |
1.470 |
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ホイールベース(m) |
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2.850 |
2.900 |
2.855 |
2.890 |
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最小回転半径(m) |
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5.2 |
5.6 |
5.3 |
5.7 |
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車両重量(kg) |
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1,600 |
1,670 |
1,660 |
1,620 |
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乗車定員(名) |
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5 |
5 |
5 |
5 |
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エンジン・トランスミッション |
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エンジン種類 |
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V6 DOHC |
V6 DOHC |
V6 DOHC |
直6 DOHC |
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総排気量(cm3) |
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2,499 |
2,495 |
2,496 |
2,496 |
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最高出力(ps/rpm) |
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215/6,400 |
223/6,800 |
204/6,100 |
218/6,500 |
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最大トルク(kg・m/rpm) |
26.5/3,800 |
26.8/4,800 |
25.0/5,500 |
25.5/4,250 |
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トランスミッション |
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6AT |
5AT |
7AT |
6AT |
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駆動方式 |
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FR |
FR |
FR |
FR |
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サスペンション・タイヤ |
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サスペンション方式 |
前 |
ダブルウィシュボーン |
ダブルウィシュボーン |
4リンク |
ストラット |
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後 |
マルチリンク |
マルチリンク |
マルチリンク |
インテグラルアーム |
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タイヤ寸法 |
前 |
225/45R18 |
245/45R18 |
205/60R16 |
225/50R17 |
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後 |
225/45R18 |
245/45R18 |
205/60R16 |
225/50R17 |
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価格 |
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車両価格 |
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3,740,000 |
3,960,000 |
6,400,000 |
6,370,000
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備考 |
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ナビはオプション |
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細かい比較は読者各位に任せるとして、寸法的には輸入車組が少し幅広だが、今や大きくは変わらない。重量はほぼ横並びだし、エンジンパワー、トルクも数値上では似たようなものだ。昔のクラウン、セド・グロといえば、狭いトレッドとショボいタイヤというのが定番だったが、今ではホイールは国産2車の方が大きい(18インチ)
くらいだ。これは以前なら考えれなかった事だが、そういう点では国産車も進化したものだ。
ただし価格としては相変わらず大きな開きがあるから、実際にクラウンやフーガの2.5LとE250や525iを比較検討して購入することは無いだろう。
そこで、今回は心置きなく国産2車同士のみを比較し、欧州車のことは極力考えないことにする。ところで今回、なぜクラウンにアスリートを選んだかといえば、このサイトの読者の傾向を考えて、多少でも欧州車的であろうアスリートとした訳だ。
それでは例によってワンパターンの始まり、運転席のドアを開けたところから。
どちらも国産高級車の代表だから、それなりの豪華さだが、昔から言われているように、チョット見の豪華さではクラウンの上手さが光る。ただし、クラウンはアスリートということで試乗車の内装色は標準のダークブラウン(注文生産でグレーも選べるが)で、誰もが想像するクラウン的なものとはちょっと違う。フーガもニッサンとしては頑張っているのだろうし、この辺は好みの問題でもあるが、一般にインテリアの仕上げが良いトヨタ車のなかでも極めつけのクラウンと比較するのは、
フーガにとっては少し辛いものもある。
シートの形状は両車とも座面と背もたれのサイドは多少張り出しのあるスポーティな形状になっている。しかも、その形状も似ている(写真3)。シート表皮はクラウンが欧州車のように荒い織目のファブリックで、サイドが無地で座面と背面には同色でも織り方で模様を創っているような、メルセデスでもお馴染みのタイプを使用している(写真
5−1)。フーガのシートはサイドがニッサン得意の、決して質感の良くない人工レザーで、座面と背面は凹凸に織った布なのだが、これが何やら評判最悪だった先代レガシィの表皮に似ているのも気になる(写真5−2)。見かけだけでなく実際の座り心地もクラウンの方に分があるようだ。トヨタは以前から車種によって(マークU IR-Vなど)は欧州車的なシート表皮を使用していたが、このクラウンもアスリートということで、
毛足のある安物モケットなどの典型的な国産高級車的なシートは採用しなかったのだろう。
ドアの内張りというのも日頃、目に入る機会が多い部分だから、その質感は結構気になる。写真では判り辛い面もあるが、こういうものは個人のセンスと感性で好みも分かれるので、特にコメントはしない。ただし、個人的にはアスリートの方が高級感があるように感じる(写真6)。
リアスペースについては、当然ながらどちらも十分なスペースがある(写真4)。2.5Lとはいえ、大企業等では役員車としてショーファードリブンでの使用も当然考えられてるし、中小企業の社長車の場合は、前出のように取引先の担当者を乗せての接待にも使うから、この程度のスペースと居住性は絶対に必要となる。だから、社長さんにとっては、価格はクラウンやフーガの2.5と同等でも、例えばBMW320iなどを買うのはもっての外
というわけだ。
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