BMW G29 Z4 M40i (2019/6) 前編 その1 |
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BMW 久々の新型 Z4 は既にベースグレードとも言える sDrive 20i に試乗しているが、想像していたよりはパワフルだったとは言え、そこは 2.0L 197ps だからロングノーズの如何にもスポーツカー然とした Z4 らしい性能かといえば疑問もある。そしてライバルを考えた場合真っ先思い立つポルシェ ボクスターは、ベースグレードでも 300ps という圧倒的な差が付いている。そこで今回は現在発売中の2種類のエンジンから、ハイパワー版の直6 3.0L 340ps 搭載の M40i にも試乗してみた。 M40i はその名のとおりで、いわゆるMパフォーマンスと呼ばれるクルマで、これは本物のMモデルと一般モデルの中間的なもので、まあナンチャッてM的な面もあるが、一応Mの部類ではある。そこで先ずは Z4 およびその前身である Z3 の歴代モデルに設定されていた "本物のM” モデルについて纏めてみよう。 Z3/Z4 の初代に当たる E36/7 は1996年に発売されたが、このボディを流用した M Roadster が発売されたのは2年後の1998年だった。エンジンはM専用の直6 3.2L で自然吸気とはいえ 7,400rpm という高回転で 321ps を発生する、要するにリッター当り100psで、その割には最大トルクの350N-m は3,250rpm という意外にも低めで発生される高性能エンジンだった。まさにMモデルはこうでなくちゃあねぇ、という気持ちだ。また当時のMモデルらしく、一見スタンダードの Z3 と共通に見えるボディも良く見れば張り出したブルスターフェンダーなど全く別物のプレス部品を多用していたのも良き時代Mの仕来り通りだ (写真1参照) 。 ただし、Z3 は E36/7 とは言うものの、 E36 (3代目3シリーズ) とはサスペンションが異なっていて、実はリアはセミトレーリングアーム (通称セミトレ) という E30 (2代目3シリーズ) からの流用だった。そこに直6 321ps を押し込めたのだから、如何考えても結構ヤバいクルマには間違い無い。これに比べれば E36 M3 (写真3) は大分文化的だ (しかも屋根もあるし5人乗れる!) 。 2代目は Z3 ではなく Z4 と呼ばれ、ベースモデルは 2003年に発売され、開発コードは E85 となった。しかしMモデルについては3年後の2006年にようやく設定された。2006年といえば3シリーズが5代目 (E90) となった2005年の翌年であり、更に2007年には M3 も加わっていたが、このモデルは V8 4.0L という大排気量化の道へ行ってしまい (写真4) 、Z4 M は先代 Z3 M のエンジンを多少改良しての使い回しとなった。この E85 Z4 M ロードスターについては また E92 M3 クーペについては |
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ここで今まで話題にしたMロードスターとM3クーペのスペックを一覧表にしておく。 実は今までの話には2代目 Z4 (E89) のMモデルについて触れていない。その理由は E89 には Mモデルが設定されなかった為で、要するに今回の G29 で MパフォーマンスとはいえZ4 のMの名前を冠したモデルが設定されたのは久々だった。ただし E89 には6気筒モデルは設定されてはいた。それは Z4 sDrive 35i というモデルで、6気筒ツインターボエンジンにより 306ps 400N-m 、更に Z4 sDrive 35iSという 340ps 450N-m エンジン搭載モデルも販売されていた。結局、この sDrive 35iSに相当するのが今回の M40i という訳で、何かチョイとインチキ臭いが、まあ堅い事は言わずに素直にMの付くモデルを歓迎しよう。しっかしねぇ、BMW も上手い事を考えたモノで、Z4 以外のモデルにも続々とMパフォーマンスは設定されている。 そこで2代目 Z4 (E89) の場合、 sDrive 35iSでは無いが sDrive 35i には試乗記がある。
そこで Z4 とボクスターの主要諸元を下表に纏めておく。 そして今回の試乗車だが、実は前回の sDrive 20i M Sport と内外装とも殆ど変わりは無く、両車を比較する意味もなさそうだ。そこで、前回は殆どがオープン時のエクステリアだったので、今回はクローズとオープンの比較を主として、両グレードの違いにも言及する事にした。 |
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この続きはその2にて‥‥。 |