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BMW G05 X5 xDrive 35d (2019/4) 前編 その1

  

今や人気の売れ筋商品となった高級SUVではあるが、BMW が初代 X5 (E53) を発売した 2000年当時は、この手のクルマでサルーン並みの旋回性能を持つクルマというのは驚異だった (写真1) 。

その E53 は 2007年の FMC で E70 となり、言ってみればこれは正常進化だった (写真2) 。この E70 試乗記では BMW が SUV を開発する経緯等にも触れているので、これらに付いては下記の試乗記を参照されたい。
 ⇒ BMW X-5 3.0si 試乗記 (2007年8月)


写真1
初代 BMW X5(E53型 2000年-2007年)


写真2
2代目 X5(E70型 2007年-2013年)

続く3代目は 2013年に FMC された F15 で、これは少なくとも昨年までは価格表に残っていて、試乗記に関しては下記の2グレードがある。
 ⇒ BMW X5 xDrive 35d 試乗記 (2015年7月)
 ⇒ BMW X5 xDrive50i 試乗記 (2016年9月)

そして最新のモデルが今年2月から発売された 4代目 X5 (G05) である。それでは先ずは何時ものように新旧の代表モデルのスペックを比較して見る。今回は初代 E53 と2代目 E70 はガソリン 3.0L としたが、それ以降の車種では ディーゼル 3.0L とした。表を見れば初代 E53 では3.0L 自然吸気だったが、2代目 E70 では既にターボによるダウンサイジング化が実施され、3.0L とは言えワンランク上の性能を発揮していた。まあだから車名も E53 の 3.0i から 35i となった訳だが‥‥。また E70 では現行と同じく4WD車は xDrive○○ という呼び方となっている。

先代 F15 と新型 G05 ではエンジンはどちらも3.0L ターボディーゼルではあるがエンジン型式は異なり、要するに F15 は新型のB系列のエンジンが載っているのだった。BMW の場合、車両の FMC の際にはエンジンは取りあえず旧型のキャリーオーバーでしのぎ、1〜2年後に新型に変更する例もあるが、今回は新型が間に合ったようだ。なお、このエンジンは5シリーズサルーン (G30) には採用されていなようで、 B57D30エンジンが登場したのは 2017年8月の 740d xDrive からだった。ただしこのモデルのエンジン型式は B57D30B で出力は 320ps という高出力タイプで、今回の B57D30A に対してハイチューン版という事になる。ただし型式のサフィックスは今回の X5 が "A” であり、先行して発売されていた7シリーズが "B" と言う事は、実は7シリーズのエンジンのベースは X5のエンジンだった事になる。

そこで車両の開発コードを見ると、これまた2年以上も先行で発売されていた7シリーズが G11 で、今回の X5 が G05 だから、G系列のモデルは少なくとも同時に開発が開始されていたのだろう。なお歴代 X5 は初代⇒2代目が7年で、その後はほぼ6年毎に FMC されている。

また歴代 X5 のサイズの変遷を見ると、初代から2代目で一気に大型化しているが、それ以降は少しずつ大きくなって行ったようで、それでも今回は遂に全幅が2mを越えて F15 に比べて一気に 65o も広がった事になる。

この全幅はマイクロバスに迫る寸法で、因みに旅館の送迎用や幼稚園バスでお馴染みのトヨタ コースターの全幅は 2,080o であるが、あちらは 29人乗りだ。

その新型 G05 については何時ものように内外装写真は既に日記でよりサイズの大きい写真を掲載している。
 ⇒ BMW New X5 (G05)  (2019年4月28日の日記)

それで、こちらでは何時ものように新旧の X5 を比較する。写真のクルマは新型 (G05) が sDrive35d M Sport で価格は 999万円という何やらわざとらしいものだ。先代 (F15) も同じくsDrive20i M Sport (一部sDrive35i M Sport) を使用している。

一見したところは新型は当然ながらのキープコンセプトだが、フロントでは最近の傾向通りにキドニーグリルの大型化が実施されている (写真3) 。またリアーではコンビネーションランプの形状が明らかに変わっている (写真4) 。


写真3
例によってエクステリアは当然ながらのキープコンセプトとなっている。


写真4
リアーではコンビネーションランプの形状が明らかに変わっている。

既述のように新型の全幅は 2,005o と、遂に2mの壁を越えてしまった。先代は 1,940o だから今回は一気に65o も拡大された事になる。なお全高は新型が 1,770o で数字上は 10o 高くなったが、まあ事実上は同じと言えるだろう。フロントのグリルの大型化ついては、やはりボディが大きくボンネット位置が高い X5 が一番似合っている。

リアは前述のようにリアコンビネーションランプ形状がL形からほぼ直線となったが、これは3シリーズ (F30 → G20) でも同様な変更がなされている。また排気管はこれまた最近の傾向である長方形のマフラーカッタ―を使用しているが、排気管は丸の方が違和感が無い、というのは個人の見解だが‥‥。


写真5
新型の全幅は一気に65oも拡大されて2mの大台を超えたしまった。


写真6
3シリーズ同様にリアコンビネーションランプ形状がL形からほぼ直線となった。また排気管は丸から横長の長方形となった。

サイドビューの寸法は G05 が全長4,935o ホイールベース 2,975o、F15 は全長4,910o ホイールベース 2,955o で新型は先代よも其々+ 25oおよび +20oで、僅かに新型が長くはなっているが、その数値の違いは僅かだ。またサイドのスタイルも殆ど同じで、良く見ればリアサイドに回り込んだリアコンビネーションランプの形状が違うとか、リアバンパーの下端がブラックアウトされているとかはあるが、一目見て直ぐに新旧を判別するのは難しそうた。

リアゲートは X5 の大きな特徴として上下に開く事で、通常は上のみを使用し、重量物を載せる時は下のゲートを下ろす事になり、勿論これは先代から踏襲されている。因みに上下開きのリアゲートと言うのはその昔米国の高級ステーションワゴンでは定番だったが、何時の日か廃れてしまったが、それでもここにはちゃあんと残っていた。そう言えば初代 X5 のオリジナルであるレンジローバーも上下開きだったような覚えがあるし、トヨタ ランドクルーザー (プラドでは無く "本物” の)も上下開きで、このタイプのリアゲートは今でもステイタスと成り得るモノだった。

写真7
全長4,935 X 全高1,770o ホイールベースは2,975o で、全長は25o、ホイールベースは20o長くなっている。 。

 



写真8
X5のリアゲートは昔の米車高級ステーションワゴンでは定番だった上下開きのリアゲートを採用している。

この続きはその2にて‥‥。

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