Volkswagen Golf GTI (2014/3) 前編 | |
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FMCされたフォルクスワーゲン ゴルフ、すなわちゴルフZについては、既に上級モデルのHighlineを試乗記で、廉価モデルのTrendlineを簡易試乗記で扱っているが、今回は少し遅れて発売された高性能モデル GTIに試乗してみた。ゴルフ GTIといえばホットハッチの定番であり、本来は随分とマニアックなグレードだったのだが、その後は徐々に高級化して、結局高性能と共に上級志向のユーザー向けという位置付けになっている。 初代ゴルフ17型(通称ゴルフT)が発売されたのは1974年で、日本では翌年の1975年から販売さた。しかし、本国で話題の高性能バージョンであるGTIは日本には正式輸入はされなかった。その代わりにモデル末期の1983年にGTIと共通のボディに1.6Lディーゼルエンジンを搭載したGTDが販売されていた。本国仕様のGTIについては、当時のマニア向け雑誌の有名編集長(ぶっちゃけ、カーグラの小林彰太郎氏)がドイツで試乗していたく感心していたのを覚えているし、その記事をむさぼるように読みながら同じ敗戦国なのに何故ドイツのクルマ技術はそれ程までに進んでいるのかと、不思議やら情けないやらだったのを覚えている。要するに、当時のGTIは国産車とはマルで異次元の性能を持っていた、というよりも国産車が酷すぎたのでもあるが‥‥。 そして、それから40年弱の歳月が流れ、日本車も世界市場で大いなる評価をされるまでに進化したが、それでも一部ドイツ車と比較すれば、マダマダ敵わない面もある。そのドイツ車はといえば、先ずはフォルクスワーゲンであり、そのなかでもこのゴルフであり、さらにグレードとしては、これまた今回の主役であるGTIということになる。他にはやはりメルセデス・ベンツ、そしてBMW、ちょっと特殊にはなるが最近はセダンやSUVまで商売を広げているポルシェというところだ。その他のドイツ車、要するに米国メジャー系の欧州フォードとオペル(GM系)はといえば、まあハッキリ言って船で1が月もかけて、ワザワザ日本にまで運んでくる理由は殆ど見あたらない、といったらヒンシュクをかいそうだが、例えばフォード・フィエスタなんて先代はマツダ デミオがベースだった訳で、オペルにしてもその昔はいすゞ ジェミニとカデットが共有したいたり、まあそんな程度のもので、これをフォルクスワーゲンなどと一緒くたにしてドイツ車だと思うのが間違い、なんて事はこのサイトの読者ならご承知とは思うが‥‥。 |
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ところで、ゴルフT GTIが発売された1976年頃の国産ハッチバックといえば、初代ホンダ シビック(1972−1979)が思い浮かぶが、初代シビックのアウターサイズはゴルフ Tよりもワンサイズ小さい。このシビックは当時の日本車としては先進的なFF ハッチバックで、これは何とゴルフと同形式でしかもゴルフより2年も前に発売されていた。まあ、クルマとしての出来はともかくゴルフよりも早くこの手のクルマを世に出していたホンダも大したものだ。このシビックユーザーは当然ながら新しい価値観を持った先進的ユーザーが多かった。 と、まあ、こんな事を書くと、ゴルフはシビックのパクリのようにも聞こえてしまうが、実はシビック自体がミニのパクリだった訳で、そういう面では現在小型車の主流であるFFハッチバックの本家はミニであり、ホンダがミニをパクったのがゴルフよりも2年前だった、というだけの事だ。 そんな当時の一般的な日本人が好んだのはカローラで、ゴルフTと重なる年代は3代目(E30/E40, 1974-1979)となるが、カローラは3ボックスセダンであることや駆動方式がFRであることなど、ゴルフよりも保守的というか時代遅れというか、まあポリシーがマルで違うクルマだし、走りにおいては”流石はトヨタ”で、レベルの低かった当時の国産車の中でも充分にトヨタっぽい、フニャフニャ、ヨレヨレのどうしようもないクルマだったから、これに比べればゴルフのシャキっとした乗り味を体験したらば、それはもうショックだったのは当然だ。 |
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それで、話を本題の新型GTIに戻して、先代(ゴルフY)のGTIおよび新型のファミリーグレードのスペック一覧表を掲げておく。 新旧のGTI同士を比較すれば、エンジンはパワーこそ9psしかアップしていないが、トルクについては28.6 → 35.7kgf-mという大幅(25%)な向上となっている。アウターサイズは多少大きくなっているが、車両重量は僅かに減っているし、価格もほぼ据え置きということで、言ってみれば正常進化ということだ。最良のVWは最新のVWである、って、ちょっと違ったかな? 次に実際のエクステリアを中間グレードのHighlineと比較してみる。先ずはフロントビューを比べてみると、何とフロントバンパーのエアインテイクさえもそれ程には違いを感じない。普通はGTIのような高性能モデルでは、これでもかというくらいにアグレッシブなエアインテイクを持っているのだが‥‥。 リアはといえば、クロームメッキされた太い排気管が車両両端から出ている程度で、あとはエンブレムくらいしか見分ける方法が無い。 |
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そのエンブレムだが、GTIの場合はフロントグリルとリア バックゲートに其々”GTI”のロゴが付いている(写真11)。それ以外にエクステリア上でGTIと判別できる部分はリアのルーフエンドに付くスポイラーで、写真12のように良く良く比較してみるとGTIのほうが大きい事が判るが、基本的に同じような形状のために並べないと気が付かない程度だ。 |
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写真11 フロント、リア、サイドに其々GTIのエンブレムが付いている。 |
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ドアを開けるとGTIのアイデンティの一つである、毎度おなじみのチェック模様のシート表皮が目につくが、それ以外はHighlineと比べても大きな差はない。そのチェックのシートは表皮のみならず、サイドサポートも Highline より高いスポーツシートとなっている。元来フォルクスワーゲンのシートは評判が良いが、その中でもGTIは特別で、硬いが体にフィットするドイツ製シート のお手本のようなモノで、このシートだけでもGTIを選ぶ価値がある。 そのシートの位置調整は全て手動で、特にバックレストの調整はダイヤル式のためにレバーのラッチ式に比べて微妙な調整が出来るメリットはあるが、このダイヤルの位置が奥のほうでBピラーとシートの間の狭い隙間に手を入れて手探りで操作することになり、更に大きく角度を変えるにはダイヤルと何回転も回す必要ああり、使い勝手は決して良くない。ポルシェが手動シートでもバックレストのみは電動にして細かい調整を可能にしているのは実に合理的だ。 フロントドアのインナートリムは基本的にHighlineと変わらないようで、BMWのように肘が当たる部分にはシート表皮と同じ材質とする、などはやっていない。ここはひとつGTIのアイデンティティであるチェックのシート表皮をアームレスト周辺に使うと、それらしいのだが‥‥。 |
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写真14 |
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GTIのインパネはHighlineと共通なのは、まあ当然だが、せめて見た目だけでもどこかを変えてひと目でGTIとわかるようになんて思うが、実際にはトレードマークのシート表皮が目に入るから、ドライバーは結構GTIを運転しているんだという気分になる。 センタークラスターにあるディスプレイは、オーディオ設定や走行モードの切り替えに使うインフォメーションディスプレイだが、ナビは付いていない。ライン オプションでインダッシュナビが付いているモデルが日本向にあるという話も今のところ聞いていない。VWのこういう対応の悪さはBMWと大いに違うところで、一般的にVWより高価なBMWと販売台数上であまり変わらないのは、こういう対応の悪さも原因だろう。 |
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GTIには追突防止のプリクラッシュ・ブレーキシステムやレーンキープ・アシストシステムなどのセーフティデバイスが標準装備されている。写真21はそのセンサー(カメラ)で車内から見ると、オーバーヘッドコンソールと一体になっている。 フロントのセンターコンソール後端にはリアパッセンジャー用のエアコンアウトレットがあるのは、最近の常識で、ドライバーズカーのGTIですら装着されている(写真23)。まあ、単にハイラインと共通化したほうがコストダウンになる、と言う事かもしれないが‥‥。 |
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ここまでのところはGTIそのもの、というかCセグメントとしては金が掛かっているのだが、決して高級車ではない。まあ、GTIの魅力はその走りにある訳で、これについては後編にて。 |