BMW 320i Gran Turismo (2013/8) 中編

  

GTのドア開けて目に入る光景は何故か見慣れた3シリーズのモノで、言ってみれば室内は殆ど同じようだ。全高が高いGTの場合、実際に運転席に座ってみるとセダンよりも明らかに視線が高いのを感じるから、これはシート高も高くなっているのだろう、と想像していたが、写真11を見ればどうもシートは取り付けブラケットも含めて共通のようだ。これは一体何を意味するのかと考えて、次に気になったのが床面の高さだ。

写真11
GTの室内はセダンとツーリングにほぼ等しいようで、シート自体やブラケットも共通のようだ。それなのに着座感は明らかに高いのは‥‥?
なお、GTはデザインラインがLUXURYで320iはSPORT、そしてツーリングはMODERNのために、一見すると少し違って見えるが、デザインラインが同じなら、3車種とも同じとなる(たぶん)。

実は、写真12で判るようにGTの床面はセダン系(ツーリングを含む)と比べて明らかに高く、その分はボディ下端の高さを増して調整しているようだった。要するにセダンのボディをそのまま上に持ち上げたようなもので、それでも外観上はボディ全体の高さが高いように見せているのだった。このため、セダン系のパーツ類がそのまま使えるという上手いコストダウンを実施している。流石のBMWも数量の期待できないGTには極力新しい部品を起こさないようにしているのだろう。

室内の至るところでセダン系と共通点が見受けられるGTではあるが、ドアのインナートリムについては別の部品が使われている(写真14)。とはいえ共通部品もあるようで、そこは上手くコストダウンはしているが、この部分までは完全な共通化が出来なかったのだろうか? まあ、実際に使う分にはどうでもいいのだが。

写真12
GTの車両全高の高さの原因は高い床位置であり、フロアから上、要するにインテリの高さに変わりはない。


写真13
シートはデサインライン毎に異なるが、デザインラインが同じならばセダン系と全く同じとなる。

写真14
セダン系との共通部品が多いGTだが、ドアインナートリムは別部品を使用している。ただしドアノブ、オーディオスピーカー、パワーウィンドウスイッチ等の小部品は共通化している。



インパネについては比較写真ではセダンを相手として、デザインラインはSPORT同士としてみた。現行のBMW3シリーズは3種類のデザインラインに加えてM Sportがあり、ベースモデルと合わせれば5種類であり、それをエンジン別に全て比較したら大変なことになるが、実際にはエンジンが違ってもデザインラインが同じならば内装や装備品は殆ど同じとなっているようで、今回SPORT同士で比較しているが結果はLUXURY同士やMODERN同士でも同じであろう。

という訳で、写真で比較してみると、GTとセダンのインパネは共通と言い切っても間違いなさそうだ。比較する前は車両全高が70oも違うので、もしかしたらばインパネやセンタークラスターが高さ方向に少し違うのかとも想像したが、全く同じだった。このことは、前述の床面の高さが高い事から想像できるように、床からの室内高はセダンと変わらないということで、その分頭上空間が増えるということも無いことになる。

写真15
インパネもデザインラインが同じならばGTとセダン系の区別が付かないくらいに共通化している。

写真16
センタークラスターのディスプレイ、エアアウトレット、オーディオ&エアコン操作ユニットなど、徹底して共通化されている。

ということで、運転席に座った眺めは視線の高さを感じるにも関わらず室内はセダン系と全く同じでだった。それが良いのか悪いのかは個人の感覚次第だが、ツーリングよりも約20万円高いというのも判断が難しいところだ。勿論クルマは走ってナンボであり、試乗ではセダンよりも70o高い車高の影響なども確認してみたい。

この続きは後編にて。

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