BMW 120i Style & Sport 特別編
BMW 1 Series vs Mazda Axela Sport その1

特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。

既に予告をしたように、今回の特別編はBMWの最新Cセグメントハッチバックの1シリーズと先ごろMCされてSKYACTIVコンセプトを追求したマツダ アクセラの比較を行ってみる。考えてみれば、ボトムグレードでも300万円を超える1シリーズと上級グレードでも200万円代前半のアクセラを比較するというのも、何ともアホな話だが、こういう企画こそが
B_Otaku らしいと喜んでくれる読者の方も多いわけで、そういう常連さん達の為にも、頑張っていこう。えっ?アクセラにはナビを付ければ300万円を超えるマツダスピードがある、って言ってる知ったかクン。まあ、そういうのは最初から別モノということで・・・・。

先ずはトップ写真をご覧いただこう。う〜ん、結構似ていると思いませんかねぇ?ただし、流石にフロントだけは夫々のコーポレートIDによるグリルがあるから、1シリーズのキドニーグリルを見ればBMWと判るだろう。あっ、世の中には判らない人も多いかもしれないが・・・・。そして、アクセラは5角形のグリルがマツダと直ぐに判る(といってもキドニーグリルほど認知されてはいないが)。
後姿はといえば、



まあ、雰囲気としては似ている。いや、クルマに興味の無い人ならば、区別はつかないだろうし、1シリーズが300万円を軽く超えるなんてことは夢にも思わないだろう。

次に主要緒元を比較してみよう。

    BMW 新1シリーズ (F20) Mazda Axela Sport
      116i 120i 15S 20S SkyActiv
 

車両型式

  DBA-1A16 DBA-1A16 DBA-BL5FW DBA-BLFFW

寸法重量乗車定員

全長(m)

4.335 4.460

全幅(m)

1,765 1.755

全高(m)

1,440 1.465

ホイールベース(m)

2.690 2.640

駆動方式

FR FF
 

最小回転半径(m)

  5.1

車両重量(kg)

  1,400 1,420 1,250 1,330

乗車定員(

  5

エンジン・トランスミッション

エンジン型式

  N13B16A ZY-VE PE-VPS

エンジン種類

  I6 DOHC Turbo I4 DOHC

総排気量(cm3)

1,598 1,498 1,997
 

最高出力(ps/rpm)

136/4,400-6,450 170/4,800-6,450 111/6,000 170/6,700

最大トルク(N・m/rpm)

22.4/1,350-4,300 25.5/1,500-4,500 14.3/4,500 21.4/4,250

トランスミッション

8AT CVT 6AT
 

燃料消費率(km/L)
(10・15/JC08モード)

17.6/16.6

17.2/16.6

18.4/ 15.6

18.8/16.2

 

パワーウェイトレシオ(kg/ps)

10.3 8.4 11.3 7.8

サスペンション・タイヤ

サスペンション方式

ストラット

5リンク マルチリンク

タイヤ寸法

  205/55R16
 

ブレーキ

Vディスク/ディスク

価格

日本国内価格

308.0万円 367.0万円 179.0万円 215.0万円
 

備考

Style, Sport:
318万円
Style, Sport:
387万円
  オプション
205/50R17

1シリーズはアクセラに対して全長:−125mm、全幅:+10mm、全高:−25mm、ホイールベース(W/B):+50mmと、ほぼ同一寸法となっているが、細かく言えば、1シリーズは全長が126mm短いにも関わらずW/Bが50mm長いという事は、前後オーバーハングの合計が176mmも短いということになる。
そこで、側面の写真をみてみれば

成るほど、1シリーズのフロントオーバーハングは極端に短く、更に特徴的なボンネットの長さとともに1シリーズが事実上フロントミッドシップということが判るだろう 。 リアについては、寧ろアクセラの方がオーバーハングは短い。この差で1シリーズの方がステーションワゴン的に見えることになる。

ところで、この2車の写真だが、ちょっと撮影条件に差を付け過ぎじゃあないか、なんて指摘されそうだが、これは当方の事情によるもので、別にアクセラを差別している訳ではないので、念のため。  

なお、上の写真のタイヤは1シリーズが120i StyleのためにStandardの205/55R16に代えて225/45R17が装着されている。同様にアクセラも20Sの標準である205/55R 16 に代えて205/50R17が装着されている。

次はインテリアを見てみよう。最初にドアを開けた状態でシートなどを比較すると下の写真となる。
ただし、アクセラ15の室内写真は前期型を使用している。理由は後期型15モデルのインテリア写真を殆ど撮っていないためで、まあ、それ程大きな違いは無いだろう。な〜んて書くと、アクセラ(マツダ)ファンから、いや前期型は○○の表面仕上げが如何したこうした・・・と、指摘されそうだが、正直言ってこの企画は「へ〜っ、アクセラっていうクルマは、そんなんなってるんだ」と感心してくれる欧州車オーナーが本来の読者ターゲットなことと、個人的にはアクセラの新旧の違いなんか調べる時間があれば、次期3シリーズや911の情報を集めたい、ということもある。



1シリーズStyleの標準シートは本編でも紹介したように座面中央がブラック/シルバーのチェックで、さらにサイドがバークグレー(ブラックも選べる)という明るい色なので、室内全体が明るく見える。アクセラはオーソドックスなブラックで、他の色はオプション等でも設定されていないようだ。



1シリーズもSportになると、形状がよりスポーティーというかサイドサポートを向上させたタイプとなる。アクセラのシートを含めた内装は基本的に全グレードで同じ(即ち1種類 )で唯一20Sのみはハンドルグリップがシルバーにメッキされている。と書くと、またまた、マツダスピード アクセラにはスポーツシートが付いているぞ、といわれそうだが、あれは別物でBMWで言えばMモデルみたいなものだ。



1シリーズStyleのシート表皮を拡大すると、サイドにはレザーを使用している。1シリーズのシート調整は120iの場合は電動メモリー付きとなる。アクセラの場合は当然手動調整だが、上下も調整できるなどこのクラスとしては充分な出来だ。またシート表皮もBMWのベースグレートと比べても勝るとも劣らないくらいのファブリックで、要するに一般的日本人の感覚から言えば安っぽいと思うだろう。なお、アクセラのシートは見かけだけではなく座ってみても欧州車そのもので、日本車の中ではNo1だといえる。正直言ってアクセラの最大の魅力は、ズバリ シートと言い切ってしまおう。しかも、アクセラは15でも同じシート (たぶん)を使っているのが凄い。



1シリーズの場合、Sportとなると黒いファブリックに赤いステッチという如何にもスポーティーなデザインとなるが、実はアクセラだってスポーツ系の上級モデルなら1シリーズに負けないくらいの表皮になる。右の写真は欧州仕様のMazda 3 MPS、すなわちマツダスピード(マツスピ)アクセラの欧州向けだが、これならば1シリーズのSportと比べても決して引けをとらないのでないか。しかし、Mazda 3 MPSのドイツ国内価格は€27,890で、これは120iのベースモデルの€26,750より高いのだから、まあ当然といえば当然だが。ところで、MPSのドイツ価格から付加価値税19%を除くと車両本体価格は€23,437であり、¥107/€とすると250.8万円となり、これは国内でのマツスピ・アクセラの税別255万円と同じ!まあ、装備の違いはあるにしても、MPSのドイツ価格は運賃やら関税(確か10%)を考えれば、ハッキリ言ってダンピング?
 



今度はインパネを比較してみよう。日記では大きな違いは指摘しなかったが、実際に実物を見比べれば質感の違いは如何ともしがたく、ダッシュボードのシボなどは見ただけでも違うし、触ってみれば結構柔らかい1シリーズに対して、単なる硬いプラスチックであるアクセラという、まあ、次元が違うということか。



1シリーズのエアコンおよびオーディオユニットは次期3シリーズと共通のようだ。エアコンは左右別々に調整できる2ゾーンタイプが標準で付いているが、欧州ではシングルゾーンタイプもあ るようだ。欧州の主要都市の多くは日本で言えば北海道くらいの緯度であり、夏だって日本のように冷房が無いと生活出来ないような猛暑とは縁が無いようで、エアコン自体のコントロールもそれ程シビアな要求はないのだろう。
アクセラのエアコンも2ゾーンタイプが付いているのは立派だが、コントロール部分はチャチい。また、ディスプレイはセンター上部に表示されるので視線移動が無い点ではBMWより上だったりする。なお、アクセラのディスプレイがカラー化されているのは20Sだからで、他のグレードではモノクロ表示となる。

オーディオについては、1シリーズは標準だがアクセラはオーディオレスで2DINサイズのスペースには単にメクラ蓋がついているから、ナビを付ける場合はオーディオ一体型を付けることになる。 ナビといっても、最近はベーシックなタイプならば10万円程度で買えるから、その展でもアクセラは経済的だ。これが1シリーズの場合は事実上ナビの後付は出来ないから、ラインオプションでナビ付きを注文することになる。勿論、見かけを気にしないのならば市販品を強引に付ければいいのだが。



インパネと共にドアのインナートリムなども当然ながら、その質は見ただけでもハッキリ判る程度に違う。例えばドアの開閉ノブの表面処理は1シリーズの場合は最近内外の高級車で流行っている半艶消しのクロームで実に上品でいて近代的な感じがするが、アクセラは形も単純で表面処理も見るからに安っぽい。ドアのグリップも同様に1シリーズが完勝だが、それでもアクセラのチャチなシルバー仕上げは、最上級の20Sのみに与えられていて、下位モデルでは更にチャチなプラスチック丸出しとなる。



パワーウィンドウの操作スイッチは基本的には両車とも同じ配列だが、1シリーズが全てのスイッチに表示があり、しかも夜間はオレンジ色に点灯するが、アクセラの場合は運転席以外に表示は無い。また、どちらも先端に電動ミーラーの調整用スイッチがある。



ステアリングホイールについては、アクセラだって1シリーズと比べても決して大きく見劣りする事は無い。それどころか、アクセラにはマニュアルシフト用のステアリングスイッチまで付いている。まあ、ATのマニュアルモードというのは、結局は使わないのだが。

⇒その2へ続く