Toyota Crown Majesta 特別編 ⇒試乗記へ戻る
国産高級車の生涯

特別編へようこそ。何時ものように、このコーナーは言いたい放題の毒舌が好みの読者以外はお勧めいたしません。

今回試乗したマジェスタに限らずトヨタならばクラウン、セルシオ、アリスト。ニッサンならシーマ、セドリック/グロリアなどの国産高級車は、新車の時には中小企業の経営者がオーナーの多くを占め、また大企業ではショーファードリブンの役員車としても使用されてい て、いわば世間の勝ち組御用達となっている。
ところが、これらの用途で数年が経ち、減価償却も終わって下取りに出た後の、クルマにとっては第二の人生でのオーナーはといえば、最初とは大分違う傾向となる。エアロパーツに極端に低い車高。ボディーからはみ出し気味のタイヤは逆キャンバーがついて”ハ”の字になっている、というように手を入れられている場合も多い。そして何故か これらはVIP CARと呼ばれている。確かに、新車のときはVIPが乗ることもあったのだろうが・・・・。

下の写真は典型的なマジェスタの”VIP CAR”だが、この2車、実はこの手としては出来の良い部類に入る。事の良否はとも角として、仕上げは結構綺麗だから、そういう世界もあると思えば、ある面納得できるものもある。
しかし、世の中には目を覆うような汚らしい改造車もある訳で、それは多分第三の人生。すなわち、これら第二のオーナーから、更に次のオーナーに渡った後にメンテ資金も無く、荒れ放題になったりした場合だろうか、何て想像したりする。
 


 

   

今から数年くらい前のことだった。朝、通勤のためにクルマで自宅を出て、国道に向かう近所の市道を40〜50km/hで走行中にバックミラーを見ると、200m程後方から迫るクルマが見えた。しかも、ドンドンと距離が迫ってくる。クルマは旧型のマジェスタのようで、ウィンドウにはスモークを張っているのだろうか、室内は 暗くて良く見えない。それでもドライバーが頭に白いタオルを被っているのと、恐らくシートのバックレストを極端に倒していると思える状態の角度、そして体全体をドア側に寄りかかるような運転姿勢であろうことは薄っすらと見えた。何となく嫌な予感がしたところで、先方の信号が黄色になった。距離的にも50m以上あるので速度を落として停止の準備に入ったその時、バックミラーには益々加速してくる後続車のマジェスタが見える。何っ!次にそのマジェスタは右に 急ハンドルを切りふら付きながら対向車線へ出て、当方を追い越してきた。勿論、道路の中央線は黄色だが、この手の輩にそんなことは関係ない。この時点では、前方の信号は既に赤になっていた。ところが、マジェスタは信号で停止する様子は全く無く、既に赤信号となってから数秒以上は経過しているにも関わらず、 交差点を一気に突き抜けて行った。
幸い、直角方向(青信号)のクルマが来なかったから良かったものの、もしもクルマが来ていたら大事故になっただろう。何しろ、赤信号を突っ切るマジェスタの速度は80km/h程度は出ていたと思うから、これは間違いなく死亡事故に繋がる。しかし、このドライバーはどういう神経をしているのだろうか。単に頭が悪いとか、極悪とかいう問題では無さそうだ。今になって思えば、何やらクスリかなにかでラリっていたのか、とも思って しまう。何れにしても、こういう、完全に狂った連中が白昼堂々とクルマを運転しているのだから、日本も決して安全な国とはいえなさそうだ。

まあ、VIP CARといわれる改造車(本人はドレスアップと思っているだろうが)の全てが危険な運転をするわけではないし、寧ろ一般車より静々と走っているクルマも多い。ほ〜っ、安全運転に目覚めたのか・・・・と、思ったらば、サスを弄りすぎて真っ直ぐ走らなかったり、40km/h以上ではクルマが跳ねて乗っていられない、という事情もあるらしい。だいだい、あんなにネガキャン付けたらタイヤの接地なんて滅茶苦茶だし、サスのコイルをブッタ切って車高を下げたりしたら、まともにストロークしないだろうに、ねぇ。

ところで、その手のクルマのドライビングスタイルといえば、バックレストをめ一杯倒して、上体は寝転んで、腕は真っ直ぐ伸ばすから、ステアリングホイールを回す には手が届かない。その時は寝転んだ状態を起き上がるのだろうか。

この手のドライバーに限らず、日本人はどちらかというとバックレストを倒し過ぎているドライバーが圧倒的に多いのは何故だろうか?勿論、そういうスタイルで運転するのが本来の姿というクルマもある。下の4つの写真は何れも、シートのバックレストは大きく寝ているし、足も前に投げ出して、ステアリングも遠くにあるから、腕を伸ばした状態で操舵する。しかし、これらのクルマは最初からそういうスタイルで運転するようにクルマの寸法的な位置関係が出来ている。だから、腕を伸ばした姿勢でもステアリングホイールをちゃあんと回せるし、ペダルだって伸ばした足に丁度良いように出来ている。なお、下のインテリア写真をクリックするとエクステリアの写真にリンクしている。どれもマニア憧れのクルマ達だから、口直しということでご覧いただこう。
 

   
   

えっ?幾らなんでも高すぎる?そんな余分な金があったら中古マンションでも買っておくほうが余程将来の為になる?
確かにおっしゃるとおりです。そこで、もう少し現実的なクルマを選んでみたのが下の写真。これなら、マジェスタと同じくらいの価格帯で買えますから、ある面コストパフォーマンス抜群かと・・・・・。 ただし、最初の1台を除いて、他はベースとなるプラットフォームがサルーンからの流用であることから、上の写真の4車程にはバックレストが寝ていないが、それでもサルーンとは別世界となっている。
 

   

 

そして最もコストパフォーマンスの良いのは

 

最後の黄色い車ならば国産だし、排気量も程々なので価格も300万を切っているから、ショボいミニバンに少し追金すれば新車で買えてしまう。そしてスポーツカーの割には中古も安目だから、2人乗りと言うことさえ克服できれば 程度の良い中古車は実に良い選択だと思う。

クラウンが先代でゼロクラウンと呼ばれて、それまでの日本車の悪いところ丸出しから、かなり世界標準に近づいて、マジェスタだってアスリートには適わないが、性格上ロイヤル以上にオヤジ向けなクルマにしては、結構良い走りをしていた。ところが、FMCで、どちらかといえば以前のフワフワで不安定なクルマに戻りかけてしまった。 これはロイヤルもアスリートも同様で、折角期待したゼロクラウンからの改革は途中で頓挫と逆戻りという、何やら日本の政治と同じになってしまったようだ。

マジェスタの存在価値は何かと考えると、常務のクラウンロイヤル(V6)に対して専務のマジェスタ(V8)というような差別化には丁度良いかもしれない。余談ながら、社長はセンチュリーとして、それでは副社長は?まあ、レクサスLS(の安いほう)辺りでしょうかねぇ。
そんな事をやっていたら行き成りのリーマンショックで、従業員のボーナスもでるの出ないのという大騒ぎになってきて、そんな時に運転手付きのオピカピカの高級車が何台もウロウロしているのは不味いとなって 、急遽隠したのが健康保険組合の駐車場。しかし、その向かいには労組の事務所があるんだが??まあ、組合推薦の議員さんは何時の間にやら重要閣僚になっていたりする世の中だから・・・・・・。

と、まあこれは話を盛り上げるため、例によってフィクションであり、実際の団体等とは一切関係ありません(という事にしておく)。

それではオマケにもう一つ噂話を。
定年退職した小役人が、民間では有り得ないような高額の退職金をもらって、現役時代に憧れていたクラウンを買うという話を聞いたことがある。それならやっぱり、最上級のマジェスタなんか如何でしょうか?オプション満載で総額7百万円!それがディーラーの利益になり、毎日夜中まで働いて、労働時間が小役人の倍で、しかも給与は劇安のディーラーマンの収入アップに反映されるし、 勿論カーメーカーも儲かるから社員の給与アップと季節工の待遇改善にもなるし、これで日本経済も万々歳。

今回のマジェスタは、とてもではないがオーナードライバーが自腹で買うような代物ではなかった。それじゃあ、立場上輸入車を買えない俺は如何すりゃあいいんだ? という疑問に答えて、クラウンシリーズとしては最もオーナー向けというか、欧州車に一番近いクラウンということで
興味にある方は ⇒クラウン 3.5アスリート試乗記へ