Toyota Crown Majesta (2010/9) 前編 ⇒中編


クラウンのラインナップに始めてV型8気筒モデルが設定されたのは1964年で、2代目クラウンRS40系のボディを元にトレッドで160mm、ホイールベースで50mm拡大してV8 2.6ℓエンジンを搭載したクラウンエイト(VG10)だった。
クラウンエイトは1967年まで生産されたが、V8モデルはセンチュリーに受け継がれ、その後のクラウンでV8エンジン搭載車がラインナップされたのはバブル時代の1987年に8代目クラウン(S130系)だった から、V8クラウンは20年間も不在だった事になる。 そして次の9代目クラウン(S140系)ではV8モデルが独立してクラウンマジェスタという名称となった。その後はベースのクラウンのモデルチェンジとともにマジェスタも2代目(S150系)、3代目(S170系)と進化してきて、ゼロクラウンとなった12代目クラウン (S180系)に対しても 4代目マジェスタに進化した。そして2008年2月発売の13代目クラウン(S200系)に対しても約1年遅れの2009年3月に5代目マジェスタが発売された。 FMCから既に1年以上経ってしまったが、今回はこの現行(5代目)マジェスタに試乗してみた。クラウンマジェスタは、セルシオがモデルチェンジとともにレクサスLSになった現在では、センチュリーを別格とすると、現在トヨタのトップモデルとなっている。

    @ A B C D
      クラウン マジェスタ
Cタイプ
クラウン 3.0
ロイヤルサルーン
センチュリー セルシオ
C仕様
クラウンエイト
 

発売時期

  2009- 2008- 1997- 2000-2006 1964-1967
 

車両型式

  DBA-URS206 DBA-GRS202 DBA-GZG50 DBA-UCF31 VG10

寸法重量乗車定員

全長(m)

4.995 4.870 5.270 5.015 4,720

全幅(m)

1.810 1.795 1,890 1.830 1,845

全高(m)

1.475 1.470 1,475 1.470 1,460

ホイールベース(m)

2.925 2.730 3.025 2.925 2.740

駆動方式

FR
 

最小回転半径(m)

  5.3 5.2 5.7 5.2 5.9

車両重量(kg)

  1,770 1,630 2,070 1,820 1,380

乗車定員(

  5 6

エンジン・トランスミッション

エンジン型式

  1UR-FSE 3GR-FSE 1GZ-FE 3ZU-FE V

エンジン種類

  V8 DOHC V6 DOHC V12 DOHC V8 DOHC V8 OHV

総排気量(cm3)

4,608 2,994 4,996 4,292 2,599
 

最高出力(ps/rpm)

347/6,400 256/6,200 280/5,200 280/5,600 115/5,000

最大トルク(kg・m/rpm)

46.9/4,100 32.0/3,600 46.9/4,000 43.8/3,400 20.0/3,000

トランスミッション

  8AT 6AT 4MT
 

 燃料消費率(km/L)
(10/15モード走行)

9.1 11.8 7.8 8.9
 

パワーウェイトレシオ(kg/ps)

5.1 6.4 7.4 6.5 12.0

サスペンション・タイヤ

サスペンション方式

ダブルウィシュボーン ダブルウィシュボーン

マルチリンク ダブルウィシュボーン コイルリジット

タイヤ寸法

  235/50R17 215/55R17 225/60R16 225/55R17 7.00-13 6PR

価格

車両価格

695.0万円 520.0万円 1208.0万円 666.8万円 165.0万円

備考

 Aタイプ610万円
 GタイプFパッケージ
    790万円
 2.5 415万円
 3.0 458万円
  A仕様:593.3万円
C仕様Fパッケージ
     747.6万円
 ブレーキ   
 フロント:2Lドラム
 リア:LTドラム

上表の諸元一覧表を見て、先ずはDのクラウンエイトについて感じるのは、この半世紀でのクルマの進歩、特に日本車の進歩が著しかったことだ。50年前の日本の技術でV8を作れば、この程度だったということだろう。それでも、作った根性は立派だとは思うが。
現在のマジェスタはF30系セルシオが販売終了してからは、トヨタブランドのフラッグシップであることは既に述べたが、F30系とスペックを比較する と、特に寸法的には殆ど同じになっているのには驚いた。マジェスタの実車を見た感じでは、最終型のセルシオと同一寸法とは思えずに、一回り小さいと認識していたからだ。そしてセンチュリーについては、これはもう別格といっていいだろう。その割には 1,200万円という価格は決して高くないような気もするが、流石にこれをパーソナルカーとして買うオーナードライバーはいないだろう。しかし、その昔、今から40年ほど前はセンチュリーのオーナー向けモデルというのが存在して、白いボディにフロントセパレードシート+フロアシフト、なんていう仕様に乗っている老舗の専務(2代目)を見た事がある。その老舗も今では廃業し、複数あった自社のビルも人手に渡ってしまったようだ。

そこで本題に入って、現行マジェスタとロイヤルを比べてみると、先ず外形寸法ではロイヤルに対して、全長が+125mm、全幅が+15mm、ホイールベースは+195mmであり、成るほどロイヤルより一回り大きく、 確かに旧セルシオ並に間違いは無い。
 


写真1
クラウンエイト(1996年)は当時としては極端に幅広に見えた。

 


写真2
初代マジェスタ(1991〜)

 


写真3
2代目マジェスタ(1995〜)。テールランプが独特の雰囲気だった。

 


写真4
基幹部品は2代目からのキャリーオーバーの3代目マジェスタ(1999〜)。

 


写真5
セルシオの最終モデルF30系(2000〜2006)。この後はレクサスブランドに移行してレクサスLSとなった。

 


写真6
センチュリーは政財界のトップが使うショーファードリブンのクルマだから、一般オーナーには縁の無い存在だ。

 

今回はエクステリアおよびインテリアについて、マジェスタとロイヤルを少し詳細に比較してみよう。
最初にエクステリアだが、フロントからの眺めは基本的なデザインが同じでイメージは似ているから、マジェスタのラジエターグリルにはクラウンマークではなくトヨタマークが付いているの が一番判りやすい違いだったりする。考えてみれば、幅方向については全幅で15mmしか違わないので、見た目もそれほど違わないのだろう (写真7)。
次にリアに回ってみると、こちらはテールランプの形状が全く違うのが判る。テールランプの形状を6気筒系と大きく変えるのは歴代のマジェスタで共通しているから、今回もその伝統に従っている。トランクを開けてみると、この手のクルマでは必須のゴルフバック4個分のスペースが確保された、広〜いラッゲージスペースがある。 中小企業の社長が業界の社長仲間や、取引先や親会社の部長や課長、時には若い担当者を乗せて接待するために、4人フル乗車のゴルフ特急便としての用途こそ、マジェスタの本来の用途でもある。こうしてみると、マジェスタというのは会社経営のための重要なツールだから、経費で落とすのに何の問題もない。
 


写真7
マジェスタのフロントスタイルは基本的にロイヤルと同じデザインだが、よく見れば微妙に異なる。


写真8-1
代々マジェスタはリアのヘッドランプ形状をロイヤル/アスリートとは差別化している。

 


写真8-2
マジェスタとは異なるロイヤルのリア。

 


写真9
必須科目のゴルフバッグ4個が完璧に積めるトランク。

 


写真8-3
アスリートもリアから見ればロイヤルと区別が付きにくいが、よく見ればトランクリッド後端に小さなスポイラーが付いている。

 

と 以上エクテリアを見てみたが、何の知識も無ければマジェスタとロイヤルの区別はつかない程度の違いとなっている。寸法的にはそれほど違わなかった旧セルシオは、モット大きく立派に見えたのに・・・・・。

インテリアについては後編にて。

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