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2020/2/5 (Wed) Alpine A110 <4>
ドアを開けるとこのクルマはリネージの為に、ダッシュボードやステアリングホイールはシートと同色のブラウンで統一されている。まあこの辺も個人の趣味の問題だが、この色具合は中々気に入った。
ところでこの手の2シータースポーツの場合、ダッシュボード全景の写真が撮れない事に、いつも悩む事になる。理由は勿論リアシートが無く、特にミッドシップエンジン車ではシートの後方に殆ど隙間が無いことから、撮影ポジション (引き) がとれない事だ。
試乗した車には後付のコンパクトナビが付いていたが、この手の少量生産の輸入車では本国向けにはシステム化された一体型ナビの設定などがあったとしても、日本向けに適用させるだけの予算も開発工数も無いのは当然だ。あのポルシェでさえ、まともにシステム化された一体型ナビが標準装備されたのは最近だったくらいだ。
アルピーヌの最大の特徴はシフトレバーが無く、DCTのセレクターは押し釦になっている事だ。その詳細については試乗記で説明するが、意外にも慣れれば結構使いやすかった。なおサイドウィンドウの開閉スイッチはこのコンソール上にあり、 20 年前のBMWを思い出す。そして数十年前にメルセデスもこの位置にあったっけ。
トップのディスプレイの下にあるスイッチはアイドリングストップのキャンセル、横滑り防止装置のキャンセル、ドアロック、そしてハザードランプなどが並んでいる。では空調はと言えば、後付けナビの裏に隠れている ”らしい” 。
ルーフセンターには世の中では当然のコンソールは無く、ルーフに直接ルームランプが付いている。ダッシュボード右端にはミラーの調整スイッチのみだが、最初にミラーを調整するのにこの場所を見つけるまではちょいと時間が掛かった。
メーターはフル液晶タイプで、各メーターは GC によるものだが、実はこの回転計の針の動きがアクセルオフでスムースに下がらず、いきなりアイドリングに表示が変わるなど、チョイとイマイチだ。この辺はフランスのソフトウェア技術の遅れているところだろうか。絵柄のセンスは抜群に良いだけどねぇ。
ペダルは勿論スポーツペダルだが、そのデザインも極めて凝っていて、これまたフランス車らしい。
という事で、半世紀前の名車を今に再現すべく結構苦労しているのがよく解るし、オリジナルの雰囲気は出ている。今回は豪華版のリネージを使用しているが、実は走りに振ったというピュアの試乗車に全く空きが無く、やっと見つけたのがリネージだったという事情の為だ。
この手の車は余程その車種に思い入れがあるか、数多くの車遍歴の一つとするような重症のマニアが買うものであり、他社と比べて買い得かどうかは関係ないだろうし、どのグレードが良いかも個人の趣味の問題だ。
ところでこのクルマ、何時までめげずに作り続けるかだが、まあ欲しいユーザーは早めに買っておくのが賢明かもしれない。
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2020/2/1 (Fri) Alpine A110 <3>
今回からインテリアに目を移す。えっ、エンジンの写真を出してないじゃないか? って、いや実はボクスターと同様に、簡単にはエンジンは見られないのですよ。それでもどんなものかと知りたいので、メーカーのオフィシャルフォットを載せておく。エンジンの仕様は M5P 直4 ターボ 1,798cm3 252ps/6,000rpm 320N-m/2,000rpm で、ルノー・日産・三菱アライアンスの直4 ターボエンジンはそのオリジナルは日産の MR エンジンであり、1.8L は MR18DE がオリジナルで内径 84.0 x 工程 81.1mm 。ただし A110 の M5P は内径 79.7 x 工程 90.0mm で MR18DE とは異なっている。このエンジンはメガーヌ ルノースポールでも使用されている。
そしてエンジンはミッドシップに横置きされていて、要するに FWD 用のエンジンを流用しているからで、これはトヨタ MR2 などと同じ手法だ。
次に本題のインテリアを見るが、以下の写真も全て豪華バージョンのリネージを使用している。
リネージのシートはブラウンレザーのサベルト製スポーツシートで、これがピュアとの大きな違いとなっている。ピュアでは同じくサベルト製ながらモノコックバケットシートで表皮はレザー/マイクロファイバーのコンビとなる。
実はリネージはピュアよりも車重が 20㎏ 重いのだが、その原因がこのシートが重い事とオーディオ用のサブウーファーが付いている事で、まあこの手の車は軽いに越したことは無いが、それでは 20㎏ の違いが判るかと言えば、燃料が満タンとガス欠寸前ではおおむね 40㎏ 程度の差があり、満タンと半分でクルマの挙動の違いが判らないドライバーなら気にすることは無い。いや現実として普通のドライバーでは判らないだろう。
ブラウンレザーのシート表皮には座面の一部にキルティングが施されているが、これはオリジナルがサイドは全てキルティングだった事を再現したのだろう。 そしてピュアでは両サイドの張り出しが全てキルティングとなっている。
ドアのインナートリムは部分的にブラウンパッドが使用されているのはこれまたリネージ’のためだ。なおそれ以外のブラスチックの部分は質感がイマイチだ。まあこれはフランスの射出成型技術の問題かと‥‥。
次回も引き続きインテリアを紹介する。