イギリス政府は「Be Ready(備えよ)」キャンペーンを立ち上げ、全世帯に対して少なくとも3日間(72時間)自力で生活できるだけの水や食料などの備蓄を呼びかけている。これは「差し迫った特定の危機」に対する警告ではなく、複合化する現代のリスクに社会全体で対応するための平時の取り組みだ。
なお簡略版は⇒【簡略版】英国政府は全世帯に3日間自力で生活できる備蓄を呼びかけている
🔷呼びかけに至った背景

・気候変動による異常気象の激甚化
近年イギリスでは、強力な嵐や洪水、夏季の記録的な熱波・干ばつ・山火事などが頻発しており、これらによる停電や断水、物流網の寸断が現実的な脅威となっている。
・サイバー攻撃やシステム障害への脆弱性
敵対的な国家や組織によるインフラ(電力網、水道、通信網、金融システム)へのサイバー攻撃リスクが高まっている。また、ソフトウェアの不具合などによる大規模な通信・決済障害など、デジタル社会特有の脆さも背景にある。
・救助リソースの「選択と集中」
緊急事態が発生した際、一般家庭が最初の72時間を自力で乗り切ることで、行政や救急機関が高齢者や乳幼児、障がい者などの「最も支援を必要とする人々(要配慮者)」の救助にリソースを集中させる狙いがある。
・パニック買い(買い占め)の防止
新型コロナウイルスのパンデミック時や物流混乱時に発生したトイレットペーパーやパスタなどの買い占めを教訓に、日頃から少しずつ備蓄を促すことで、有事の際のサプライチェーン崩壊を防ぐ目的もある。
🔷イギリス政府が推奨する主な備蓄リスト
政府の特設サイトでは、一度にすべてを買い揃えるのではなく、普段の買い物に少しずつプラスしていく方法を推奨している。

🔷欧州全体に広がる「72時間ルール」
大きな地震が少ないイギリスではこれまで防災意識が比較的低い傾向にありったが、近年はEU(欧州連合)やドイツ、北欧諸国でも、安全保障上の脅威や気候変動を見据えて「72時間分の自立備蓄」を市民に求める動きが標準化しつつある。