防衛省・自衛隊は、民生部品(商用オフザシェルフ品)を活用して製造コストを大幅に抑えた新型の長射程巡航ミサイルを開発し、量産する方針を固めた。日本経済新聞などの報道によると、単発の性能よりも「数」と「継続的な運用能力」を重視し、ミサイル防衛・反撃の戦略を再構築する狙いがある。
報道されている主な内容は以下の通り。
1. 開発・量産のスケジュールと体制

• 安保3文書への明記: 年末に改定・策定が予定されている「安全保障関連3文書」に開発計画を明記する方針という。
• 開発期間: 2027年度にも開発に着手し、陸上自衛隊での運用を念頭に置いた「地上発射型」の新型ミサイルを2029年度までに試作・開発する。
• 量産開始: 早ければ2030年度から本格的な量産に移行する計画でだ。
• 開発企業: 競争入札で選定される見通しで、これまでミサイル開発を担ってきた三菱重工業や川崎重工業などの重工大手のほか、三菱電機や東芝といった電機メーカーの参画も想定されている。
2. コスト削減の手法(民生品の活用)
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従来のスタンド・オフ・ミサイル(12式地対艦誘導弾能力向上型や米国製トマホークなど)は1発あたり数億円規模と高価であり、調達数に限界があることが課題だった。新型ミサイルでは、攻撃精度や威力を一定程度抑えてでも低価格化と量産性を優先する。
• 民生用センサーの採用: 標的を識別・誘導するセンサーに、高価な軍用規格品ではなく民生用のカメラなどを転用する。
• 弾頭の軽量化と設計の簡素化: 弾頭を軽量化し、既存の商用部品を組み合わせることで製造単価を大幅に引き下げる。
3. 運用構想:「飽和攻撃」と「ハイ・ロー・ミックス」

敵の射程圏外から発射するスタンド・オフ防衛能力の一環として、主に侵攻してくる敵艦艇や地上拠点への攻撃を想定している。
• 飽和攻撃による防空網の消耗: 低コストミサイルを大量に同時発射する「飽和攻撃」を行うことで、相手国の防空網を圧倒し、高価な迎撃ミサイルを消費させる。
• 高性能ミサイルとの組み合わせ: 安価なミサイル群や長距離攻撃型無人機(ドローン)を先行・同時投入して相手の迎撃能力を飽和させた上で、本命となる高性能・高価格な精密誘導ミサイルを確実に標的へ命中させる複合的な運用(ハイ・ロー・ミックス)を目指している。
背景にある現代戦の教訓

この方針転換の背景には、ウクライナ侵略や中東情勢などから得られた現代戦の教訓がある。戦争が長期化すると、高性能だが高価で生産に時間がかかる従来の精密誘導兵器は短期間で備蓄が底を突いてしまう。
米国でも防衛スタートアップなどが既存の商用部品を使って従来の10分の1程度の価格(数千万円規模)で巡航ミサイルを大量生産する計画(例:米ゾーン5テクノロジーズ社の「ラスティ・ダガー」など)を進めており、防衛省・自衛隊もこうした国際的なトレンドに合わせて「質」と「量(継戦能力)」を両立させるミサイル戦略への転換を図ってる。
ウクライナ戦争でのロシア軍や、イラン戦争での米軍の状況を見えいれば、高価で重厚な兵器は今後の戦闘では殆ど役にたたず、圧倒的に安価なドローンなどに歯が立たない現状を見れば、日本も早急にこの流れに追いつくことが必要なのは明白だ。