マクロン政権によるフランスの財政危機と、ルペンの唱える再建策

フランスの財政は、対GDP比での公的債務増加とEU基準(3%)を超える赤字の固定化により重大な局面に直面している。これに対し、マクロン政権がEUの財政枠組みの中で増税と歳出抑制の調整を模索するのに対し、国民連合(RN)のリーダーであるマリーヌ・ルペン氏は、「財政主権の回復」と「自国民優先」を柱とした抜本的な対案「財政ルネッサンス」を掲げている。

1. マクロン政権下における財政危機の構図

マクロン政権下のフランスでは、相次ぐ経済ショックへの手当てと親ビジネス改革の帰結として、財政構造の硬直化が進んだ。
(1) 赤字と債務の拡大
財政赤字の対GDP比は5.0%〜5.4%前後で推移しており、EUが定める基準(3%以内)を継続して大幅に超え、欧州委員会から過剰赤字手続き(EDP)の対象に指定されています。公的債務残高も対GDP比115%〜119%超に達している。

(2) 危機の主な要因
◦危機対応の長期化: 新型コロナ禍やエネルギー危機時の大規模支援(「Quoi qu’il en coûte」=いくら費用がかかろうとも)により公的支出が増大しした。

◦税収構造の変化:法人税の引き下げや富裕税(ISF)の見直しなど供給側を刺激する減税を実施したものの、期待された成長による自動的な税収増には至らなかった。

◦政治的断片化による機能不全:2024年以降の与党敗北による下院の与野党伯仲状態により、大規模な歳出削減策や予算案の可決が極めて困難な政治環境が続いている。

2. ルペン氏(RN)の財政再建策「財政ルネッサンス」

ルペン氏の再建策は、EU主導の技術官僚的な歳出削減に依存せず、国家主権の回復と構造的な行政支出の見直しによって財政健全化と経済成長の両立を図る構想だ。

【「財政ルネッサンス」の主な数値目標】
・歳出の純削減額:5年間で 1,400億ユーロ(年間平均 約250億ユーロ)
・財政赤字比率:2032年までに 対GDP比 2.9% へ抑制
・公的債務比率:長期的に 対GDP比 60% を目指す

構想を支える5つの柱

①「自国民優先(Préférence nationale)」による歳出適正化
不法移民や非権利者に対する社会手当・公的医療扶助(AME)などの適用を見直します。治安、医療、年金といった国民向けの基礎サービスを維持・強化しながら、外部へ流出していた巨額のコストを圧縮する論理に基づく。

② EU拠出金の削減による財政主権の回復
フランスがEU予算に対して支払っている純拠出額(支払額が受取額を上回る超過分)を交渉によって大幅に圧縮し、その資金を国内の財政補塡や投資に回す。

③ 行政機構の整理統合
重複する公的行政機関や独立機関の廃止・統廃合を進め、国家の中央行政コストを効率化する。

④ 購買力回復を狙った減税(約300億ユーロ規模)
エネルギーや燃料にかかる付加価値税(VAT)の引き下げ、若年層・中間層への税制優遇を実施する。庶民や現役世代の購買力を直接引き上げることで内需を拡大し、中長期的な税収基盤を育てる狙いだ。

⑤ 憲法への「黄金律(赤字制限)」導入
ドイツの債務ブレーキ制度を参考に、財政赤字の上限を法的に制限する「黄金律」の憲法明記について国民投票を実施し、将来の無責任な財政拡大に制度的な歯止めをかける。

3. アプローチの比較

欧州の左傾化により、英・独・仏・伊という主要国までが移民による治安悪化や経済の低迷に苦しんでいるが、ようやく民衆も目覚めたようで、一気に保守化が進みつつある。とはいえ、左翼陣営もなりふり構わす必死の防御を行っているから余談は許されない。