自衛隊最高指揮官(内閣総理大臣)による自衛隊高級幹部・指揮官会同における訓示は、我が国を取り巻く安全保障環境への認識と防衛政策の基本方針を提示するものです。主要な要点は以下の5つの柱に集約される。
1. 厳しい安全保障環境への認識

• 現状の危機感:東シナ海や太平洋における力による一方的な現状変更の試み、北朝鮮の弾道ミサイル開発、ロシアの動向など、我が国周辺の安全保障環境が著しく増大している認識を強調。
• 平和と安定の死守:従来の延長線上ではない厳格な態勢をもって、国民の生命・財産と領土・領海・領空を断固として守り抜く決意の示達。
2. 防衛力の抜本的強化と運用態勢の確立

• 能力整備の推進:反撃能力の維持・運用を含め、スタンド・オフ防衛能力、無人アセット、宇宙・サイバー・電磁波といった新領域における対処能力の確実な整備。
• 統合運用の強化:陸海空自衛隊のシームレスな連携(統合司令部等を軸とした統合運用構造)を加速させ、即応性と実効性の高い防衛体制を構築。
3. 日米同盟および同志国との連携深化

• 日米同盟の抑止力強化:日米の指揮・統制枠組みの連携を深め、日米同盟の抑止力および対処力を高次元へ引き上げる。
• 「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」推進: オーストラリアや韓国、欧州各国など同志国との共同訓練や防衛協力・交流を多角的に展開。
4. 人事・隊員基盤の抜本的強化

• 処遇改善と人材確保:少子化が進む中での人材確保に向け、給与・手当の改善、生活・勤務環境の整備、退役後の再就職支援などを推進。
• ハラスメントの根絶:隊員の相互信頼を基盤とするため、ハラスメントのない健全で誇りある組織風土の徹底。
5. 指揮官への期待と覚悟の要求

• リーダーシップの発揮:変化の激しい事態に直面しても即座かつ的確に対処できるよう、指揮官自らが不撓不屈の精神をもって部隊を指揮・指導することへの強い期待。
特筆すべきは「東シナ海や太平洋における力による一方的な現状変更の試み」として中国を指摘している点だろう。