中国では、2026年9月15日より国務院令第841号として「出入国管理に関する国務院規定」(出境入境管理規定)が施行される。
従来の法令に比べて、国家安全保障や経済安全保障の観点から「技術を持つ人材(ヒト)」の移動制限と技術流出防止措置を一層明確化・具体化した点が特徴だ。
規定制定の背景
米国との技術覇権争いが長引く中、中国政府(習近平指導部)は先端技術の「自立自強」を掲げている。これまで技術管理は「物品やデータの輸出規制」が中心だったが、人工知能(AI)、半導体、バイオ医薬品、軍民両用(デュアルユース)技術といった重要分野の研究者や技術者を通じた海外への技術流出を防ぐため、人的移動の管理を法的に強化する目的に至った。
中国国民に対する出国制限・禁止措置の要点

1. 商務部等による出国禁止権限の明確化
中国国民が輸出管理法や技術輸出入管理規定などに違反し、国家の「産業安全」や「技術安全」を脅かす恐れがあると判断された場合、商務部などの関係主管部門が個別に出国禁止措置を決定できるよう規定された。
2. 対象となる具体的な行為と分野
• 主な対象分野:AI、半導体、バイオテクノロジー、軍民両用技術、新素材などの先端技術分野。
• 制限対象となる行為:海外での無許可による技術指導・研修、出張先での技術移転、海外学会へ持ち込む論文資料や製品サンプルの非公式な提供など。
3. 当事者への告知免除(国家安全上の例外)
原則として出国制限が行われた場合、決定機関は本人に書面でその事実や根拠、救済手段を告知する必要があります。しかし、「国家安全に影響を及ぼす恐れがある場合」や「刑事事件の捜査段階」においては事前・事後の告知が免除されると規定されています。そのため、空港や国境検問所(口岸)で提示されるまで本人が出国不可であることを知らされない事態が生じ得る点が懸念されています。
主な影響と懸念

• 研究者・ビジネス幹部の国際往来への影響
ハイテク企業の幹部や研究者が国際学会参加や海外出張を行う際、事前に社内や政府機関の許可を得るなどの厳格な確認作業が求められる。不用意な海外活動が法違反とみなされるリスクを回避するため、国際協力活動が縮小・萎縮する可能性がある。
• 外国人やビザ申請への影響
本規定には外国人の入国・ビザ管理の厳格化も盛り込まれている。ビザ申請時や検問所での不実記載・虚偽申告に対し、1年〜5年の入国禁止処分などの厳しい措置が明示されている。
経済安全保障の枠組みが「モノ・情報」から「人材」へと拡大したことを示す動きであり、今後のハイテク分野における国際的な人材交流や共同研究の態勢に多大な影響を与えると考えられている。
この動きはまさに毛沢東時代に向けて、ひたすら戻っているという事だ。