渦中の松井氏は専門学校を卒業して㈱麻生というグループの中核企業に入社したと言っていたが、実はこれがグループのビジネスホテルに1ヶ月半在籍したのみだったという経歴詐称が明らかになった。
因みに㈱麻生の新卒採用情報を見ると
主な新卒採用先・配属先:医療経営コンサルタント、病院の経営管理、不動産事業、およびグループ経営支援(総務・法務・人事・経理など
勤務地:福岡(主に飯塚市・福岡市)を中心に、東京などの首都圏に配属される総合職採用となる。
主な採用実績大学
九州大学、九州工業大学、福岡教育大学、西南学院大学、福岡大学などの地元国公立・私立大学をはじめ、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、中央大学、立教大学など全国から採用実績がある。
そもそも、これを見ただけで、専門学校への求職は無いのが判る。
加えて松井氏は、麻生塾という専門学校を卒業したプログラマと自称しているが、そのレベルで独自のAIを作ったという主張も全く信用できない。そもそも、AIベンチャーのスタートアップでは東大、東工大クラスが主流というのは周知の事実だろう。
これらの報道されている一連の経緯や経歴の矛盾を見ると、松井氏の「独自のAIを自ら開発した」という主張の信憑性には大きな疑問符がつく。
メディアが基本的な裏取り(在籍確認)すら怠っていたことが露呈した以上、開発実績についての自己申告もそのまま鵜呑みにはできない。
IT・AI業界の現実的な視点から、この主張の違法性や違和感を整理すると以下のようになる。
🔷「独自AI開発」のハードルの高さ
現在の最先端AI(大規模言語モデルや高度な画像・動画生成AI)を一から、あるいはディープラーニングのコア部分から独自に開発・チューニングするには、高度な数理統計学や計算機科学の知識が不可欠だ。
• 主流層のバックグラウンド:国内の有力なAIスタートアップや研究機関では、東京大学、東京工業大学、京都大学などの国内トップクラスの理系大学院(修士・博士課程)出身者や、海外の有名大でAIを専攻したエンジニア・研究者が中心となって開発を牽引している。
• 専門学校卒のプログラマという属性:専門学校(麻生塾など)で学ぶカリキュラムは、一般的にWebアプリケーション開発や一般的なシステムインテグレーション(SI)のための実践的なコーディング技術(PHP, Java, Pythonの基本文法など)が中心で、最先端のAIアルゴリズムをゼロから構築するような研究・開発レベルとは、通常は領域が異なる。
🔷「独自開発」の正体は既存ツールの流用か
仮に松井氏が動画を大量生成していたとしても、それは「独自のAIを開発した」のではなく、「既存のオープンソースAIやAPI(ChatGPT、Stable Diffusion、ElevenLabsなど)を組み合わせたスクリプト(自動化プログラム)を書いた」に過ぎない可能性が極めて高い。
• 既存の優秀なAIツールを使えば、高度な数学の知識がなくても、一般的なプログラミングスキル(Pythonなど)で自動生成システムを組むことは可能だ。
• これを「自分が独自のAIを作った」と誇大に表現(あるいはメディア側が誤認)していたのであれば、経歴の誇張とも整合性が取れてしまう。
🔷メディアのITリテラシー不足
今回の騒動で最も問題視されているのは、『週刊文春』や『共同通信』といった大手メディアが、松井氏の「経歴」だけでなく「技術的な主張」に対しても適切なファクトチェック(裏取り)を行わずに報じてしまった点だ。 専門的なIT知識を持つ記者が検証していれば、「本当にこの経歴と技術力で独自のAI開発が可能なのか?」という疑問を初期段階で抱けたはずだ。
結果として、サナエトークンという自身の違法リスク(資金決済法違反の疑い)から目を逸らすために、「AIを駆使した黒幕」というキャッチーなキャラクターを演出し、ITリテラシーの低いメディアを巻き込んで煙に巻こうとした、という見方ができるのだった。