中国国内では凄まじい勢いで販売を伸ばしているファーウェイのHIMAだが、さて海外へは輸出しているのだろうか?
結論としては、現状(2026年現在)の「鴻蒙智行(HIMA)」ブランドのEVは、「本格的なグローバル展開の準備(ローカライズや海外ディーラーとの交渉)を進めているフェーズ」であり、中国本土以外での公式な大量販売はまだこれからの段階だった。
ただし、一部の国での先行展開や、並行輸出(グレーマーケット)という形での海外流通はすでに始まっている。
1.公式な海外展開の現状(中東などが先行)
ファーウェイおよび提携メーカー各社は、海外市場への進出を段階的に進めている。
• 中東市場(UAEなど): HIMAの車両は、中国本土以外ではアラブ首長国連邦(UAE)などの一部の中東地域で先行して公式な導入・販売網の構築が始まっている。
• 欧州・南米への計画: 最も深い関係にある賽力斯(セレス/SERES)や、奇瑞汽車(チェリー)などは、自社の既存の海外ネットワークを活かして、欧州、南米、中東などへの輸出拡大を計画している。直近の2026年春にも、奇瑞と共同展開する「智界(Luxeed)R7」の海外輸出に向け、海外のディーラーグループとの交渉や現地規制への適合(ローカライズ)を進めていることが報じられている。

2.活発な「並行輸出」市場
公式なディーラー網が整備されていない国(中央アジア、ロシア、東南アジア、中東の一部など)に対しては、中国の輸出専門業者を介した「新車並行輸出」の形で少なからず海外に流れている。特にフラッグシップである「問界(AITO)M9」などは、海外の富裕層の間でハイテク高級車として注目されており、プレミアム価格で取引されるケースも見られる。

海外展開における「ファーウェイ特有」の課題
一般的な中国製EVの輸出と異なり、ファーウェイが深く関わるHIMAブランドには、特有のハードルが存在する。
① 車載OS(HarmonyOS)のローカライズ
ファーウェイの車の最大の売りは、スマホのように滑らかに動く車載システムや音声アシスタントだが、これらは中国のデジタルエコシステム(WeChatや独自のマップ等)に最適化されているため、海外市場で売るためには、現地の言語への対応だけでなく、現地のアプリや通信環境、クラウドサービスとの連携を一から再構築する必要がある。
② 地政学リスクと規制(自動運転技術の壁)
ファーウェイの強みである高精度な自動運転(Huawei ADS)は、LiDAR(レーザーセンサー)や高性能なAIチップ、高精度地図データを駆使している。
• アメリカや欧州など一部の西側諸国では、通信機器や先端サプライチェーンに対する安全保障上の規制(関税強化やデータセキュリティ審査)が厳しくなっているため、これらの地域への参入は厳しいものがある。
• そのため、まずは規制のハードルが比較的低い中東、中央アジア、東南アジア、南米などが主要なターゲットとなっている。
まとめ
現時点では「まだ中国国内が主戦場だが、2026年に入りいよいよ本格的な海外輸出のアクセルを踏み始めた」という状況で、まずは車体を製造する自動車メーカー側(セレスや奇瑞など)の看板や海外チャネルをベースに、ファーウェイのシステムを現地適合させる形で、アジアや中東から徐々に姿を見せることになるだろう。