既にインテルのCore UltaraのNPU機能を使ったAIアプリケーションは供給されているか





インテルが「Core Ultra」シリーズを投入して以来、同社は世界中の独立系ソフトウェアベンダー(ISV)と強力な協業体制を敷いており、初期(シリーズ1)の頃は少なかった対応アプリも、現在の最新世代に及ぶまでに数百種類以上へと急速に拡大している。

これらは日常的なビジネスツールから、クリエイティブ、開発者向けツールまで多岐にわたり、代表的なものをジャンル別に列挙する。

1.クリエイティブ・オフィス系(大手の標準機能)
最も普及しており、ユーザーが意識せずにNPUの恩恵を受けている分野だ。

• Adobe製品(Photoshop, Premiere Proなど): 「被写体の自動選択」や動画の「オートリフレーム(自動追従切り出し)」、音声のノイズ除去などをNPUにオフロード(処理を肩代わり)させている。これにより、バッテリーをほとんど消費せずに背景分離などの重い処理が可能だ。

• Microsoft Studio Effects: Windowsの標準機能として組み込まれている。Webカメラの映像に対し、NPUを使って「背景のぼかし」「視線自動補正(アイコンタクト)」「自動フレーミング」を常時行います。GPUを使わないため、長時間のビデオ会議でもPCが熱くならず、バッテリーが長持ちする。

• CyberLink(PowerDirectorなど): AIによる動画の画質向上や、音声の文字起こし機能などにCore UltraのNPUがフル活用されている。

2.ローカルLLM(対話型・生成AI)の実行環境
「完全にネットを遮断して、手元のPCだけでChatGPTのようなことをしたい」というニーズに応えるアプリも登場している。

• Llama.cpp / LM Studio など: オープンソースの軽量なAIモデル(Llama 3やPhi-3など)をローカルで動かすプラットフォームで、インテルが提供するAI最適化ツールキット「OpenVINO」を介することで、Core UltraのNPUを直接駆動させてチャットAIと高速に会話できるようになっている。

• Amuse(インテル製・画像生成アプリ): インテル自身が提供しているローカル画像生成ソフトで、Core UltraのNPUや内蔵GPUに最適化されており、プログラミングの知識がなくても、完全オフラインでStable Diffusionなどの画像生成AIを快適に動かせる。

3.ビジネス・生産性向上
• Zoom / Teams(バーチャル背景・音声処理): 会議中の音声からエアコンの音やタイピング音を消し去るノイズキャンセリングや、画質補正をNPUがバックグラウンドで常時処理している。

• 各種セキュリティソフト: ウイルスバスターなどのセキュリティアプリにおいて、未知のマルウェアの挙動を検知する「AIスキャン」のプロセスにNPUが割り当てられ始めている。PCの動作を重くせずに、裏で強力な監視を行えるのがメリットだ。

なぜ「NPU対応」が急拡大しているのか?
開発者向けにインテルが提供している「OpenVINO(オープンビーノ)」という共通言語(SDK)の存在が大きい。これがあるおかげで、アプリ開発者は「インテルのNPU専用のプログラム」をゼロから書く必要がなく、既存のAIモデルをスムーズにCore Ultraへ対応させることができるため、ここ1〜2年で対応アプリが一気に実用レベルへ達した。

普段使っているアプリでも、タスクマネージャーを開くと「NPU」のグラフがピコピコと動いて仕事をこなしているのを確認できるほど、すでにローカルAIは身近な実用技術になっている。