トランプ大統領が周近平主席との会談の延期を要請したと伝えられている。その背景や理由を整理する。
結論から言えば、最大の理由は「イランとの戦争への対応」で、トランプ大統領は、軍事作戦の指揮を執るために米国内にとどまる必要があると説明している。
1.延期要請の主な理由:イラン情勢への専念
トランプ氏は2026年3月16日、ホワイトハウスで記者団に対し、訪中を「1カ月程度延期」するよう中国側に要請したことを明らかにした。
• 最高司令官としての職務:現在、米国とイスラエルの連合軍によるイランへの軍事作戦(作戦名:エピック・フューリー / Epic Fury)が進行中だ。トランプ氏は「戦争があるため、私はここにいたい。ここにいなければならない」と述べ、ワシントンで戦況の指揮と調整に集中する意向を示した。
• 「ロジスティクス」上の判断:ベセント財務長官も、この延期は外交的な駆け引きではなく、あくまで戦争対応という物理的・実務的な理由によるものだと強調している。
2.背景にある中国への「圧力」
一方で、この延期要請の前後には、中国に対してホルムズ海峡の安全確保への協力を迫るという文脈も見え隠れしている。
• ホルムズ海峡の封鎖問題:イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖により、世界のエネルギー供給が脅かされている。
• 中国への協力要請:トランプ氏は「中国は石油の多くをこの海峡経由で輸入している」と指摘し、中国が海峡開放に向けた艦隊派遣などの協力を行わないのであれば、会談を延期する可能性を事前に示唆していた。
• 同盟国・友好国への波及:トランプ氏はNATO諸国や日本(高市早苗首相)に対しても同様の圧力を強めており、中国に対しても「恩恵を受けている国が負担をすべきだ」という持論を展開している。
3.会談に向けたその他の懸案事項
当初の予定通りに進まない背景には、準備不足や新たな火種も指摘されている。
• 準備期間の不足:昨秋の通商合意(貿易停戦)以降、本格的な準備が始まったのが今年初めからであり、大規模な成果を出すための調整時間が足りていないとの見方がある。
• 新たな対立軸:イラン問題に加え、トランプ政権がイランと取引のある国に一律25%の関税を課す方針を示していることや、中国の同盟相手であるベネズエラのマドゥロ大統領を米軍が拘束したことなどが、会談の雰囲気に影を落としている。
今後のポイント
中国側は公式には「米中両国で意思疎通を続けている」としており、延期そのものが米中関係の決裂を意味するわけではないとしている。
かし、1カ月後の再設定までにイラン情勢が落ち着くか、あるいは中国が何らかの妥協案(ホルムズ海峡への関与など)を示すかが焦点となる。
この延期による日本への影響や高市首相との会談予定に関しては次回にて。