プロ用音響機器に民生規格のRCA端子があるのはなぜか


業務用の音響機器の入・出力はXLRTRSというバランス型のコネクタを使用するのが常識だ。

ところが何故か1組だけ、民生用規格であるRCAタイプが付いている。

これについて、一体なんでこれがついてるの、という疑問が出てくる。

最初に結論を述べると
例外処理用の“逃げ道”として、あえて残してある
音質のためでも、コスト削減でも無い。

詳しく整理すると
① “現場は理想通りに行かない”という前提
業務用ミキサーを設計している側は、現場をこう見ている。
• 持ち込まれる機材はバラバラ
• 規格を守らない人が必ずいる
• 本番直前にトラブルが起きる
• 代替機材は民生機しかないことがある

このとき、
「RCAが1系統もない」=詰み
となる。

② よくある“RCAしかない”機材たち
実際、現場で持ち込まれるのは
• DJミキサー
• CDJ / コントローラー
• 民生CD / DVD / Blu-ray
• ノートPC+安価なIF
• スマホ再生用アダプタ

全部RCA or ミニジャック系。
「今日は業務機だけで完結するはずだった」
ほぼ無い

③ 変換ケーブルより“直差し”が安全
理論上は
• RCA→XLR変換
• DIを噛ます

で済む話なのだが、現実は
• 変換を忘れる
• 変換が断線
• ピン配列が違う
• フェイズ事故
• ハムが出る

トラブルの9割は変換点で起きる
そのために、 「最初からRCAがあった方が安全
という結論になる。

④ “音質を犠牲にしてでも”残す価値
RCA入力は確かに、
• ノイズ耐性は低い
• 長距離は不利

とはいえ
• 緊急用
• 短距離
• 一時的使用
なら十分実用になる。

業務機の思想は常に、 最高音質より、確実に音が出ること

⑤ 出力側RCAの意味
出力RCAは主に
• 録音用バックアップ
• 民生レコーダー
• 配信用キャプチャ
• 仮設モニター

つまり 「現場の外」と繋ぐ窓 として存在している。

⑥ 設計者の本音
音響機器メーカーの設計思想を一言で言うと
「RCAを消すと、クレームが増える」

実際
• 放送
• イベント
• 学校
• 公共施設

ほど民生機混入率が高い。

⑦ “業務用なのに民生”は矛盾ではない
業務用機器は
• 理想的な環境
• 完璧なオペレーター
を前提にしてない。

むしろ、 「想定外を吸収する余白」 こそが業務用。
RCA端子はその象徴なのだった。

ところで、TASCAMからラックマウントのカセットデゥキ発売されている。


今時何でカセット?しかもラックマウント?

実はこれ、プロイベント現場では休憩時間にスポンサーのCMを流す事が多く、その場合はカセットで持ち込まれる事も多いという。

また講演会などで、弁士がカセットを持ち込む事もある。教育関係では未だカセットが現役でもあるのが実情だ。

加えてイベントのPA音声をカセットに録音しておいて、スポンサーにサービスで渡す、という事も考えられる。

この場合は寧ろ音質が悪い→更にコピーしたら使い物にならない、というメリットも考えられる。

という事で、未だカセットは不滅だった。