大学に指定校推薦で入学するも退学する例が増えている?




半世紀前の感覚では、指定校推薦で入学した学生は退学などしたら翌年から母校の推薦枠が無くなってしまう恐れもあり、何が何でも必死で卒業したものだった。

高校側にしても、大切な推薦枠が無くなったら大変だから、例え枠を持っていても推薦に相応しい生徒がいない場合は無理に推薦を使わないという事を、知人の高校教師が言っていた。

ところが、最近はどうだろうか?

推薦入学の割合は年々増えて、今では人気の難関大学ですら多いところでは半分以上が推薦やAO入試で年内に決まってしまうという。

まあ、大学側からすれば、キャンセルの恐れが無いから経営的に楽というのは判る。年明けの一般入試では、受験生は複数の大学を受験するのは当たり前であり、上位で合格した受験生の多くは、より上位の大学に合格してしまい入学はしない。

さて、そんな状況だから高校から見た指定校推薦枠の貴重さは昔程ではなく、推薦で入学した学生も平気で退学する例が増えていると言われていた。

それでも確実な数値は無かったのだが、神奈川大学が指定校推薦入学者の退学状況を発表していた。それによると2024年では
法学部:23名 経済学部:34名 経営学部:9名 外国語学部:11名
国際日本学部:3名 人間科学部:3名 理学部:23名 工学部:52名
建築学部:9名 科学生命学部:9名 情報学部:2名

結構多いのに唖然とするが、とりわけ工学部の52名というのは、他の学部と比べて圧倒的だ。

神奈川大の工学部は昔から定評があり、企業での評価も高い。言い換えれば、最近ははやりの「ゆるふわ系工学部もどき」ではなく、ガチな工学部であり、主体は機械工学や電気・電子工学だから、そもそも卒業どころか進級も大変な世界だ。

ましてや、高校時代の数学や物理をシッカリと身に着けていないのに、うまい具合に推薦で合格してしまえば、1年生からのお馴染み偏微分方程式や線形代数が全く手に負えず、しかもこれらの単位を落とすと、その先の専門科目に進めない為に留年となってしまう。

という事で、52人というのは納得できるところだ。

工学部以外では経済学部も以外にも退学者が多いが、実は経済学というのは文系に分類されているが、経済の分析は高等数学を必要とし、数学大嫌いのド文系学生は、入ってみたら大騒ぎというのがよくある話だ。

それにしても、高校生の数学嫌いとうのは昔からあったが、最近は特に酷い状態で、上位の高校以外では数Ⅲなんて全くやらないのが実情のようだ。