BMWがMスポーツという名称を使用した最初は恐らく1997年1月発売の318ti Mスポーツだろう。318ti は3代目3シリーズをベースにリアをカットしセミハッチバックとした廉価モデルだった。Mスポーツは標準モデルの205/60R15タイヤはに代えて225/50R16を標準としたり、内装もスポーティーイメージに振っていた。
その後1999年5月にはFMCしてその後大成功を収めた3シリーズ E46が日本で発売され、その年の12月にはMスポーツが追加された。大きな違いは「M]を髣髴させるワイドなタイヤで、318iでは標準の195/65R15から、何とフロント225/45R17、リア245/40R17に変更されていた。
ええっ、1.9L 118psに17インチの40扁平って! と当時物議を醸したものだった。
なお、3シリーズMスポーツについては以下の試乗記でごく簡単に触れている。
⇒BMW 320i 試乗記 (2001/10/29)
その約2年後の2001年1月に発売されたのがクーペモデルのCiをベースに直6 3.2L 343psという強力なエンジンを搭載したM3で、これは当時マニアの憧れだった。
実はM3に先駆けて2001年2月に発売された318Ci Mスポーツが、M3に外観が極めて似ていた。M3のタイヤは流石にフロント225/45R18、リア255/40R18という大径タイヤを装備していたが、318Ci MスポーツだってセダンMスポーツと同じくフロント225/45R17、リア245/40R17を装着し、そのホイールデザインは実はM3をイメージしたものだったのだ。
これは正にナンチャッてM3であり、人気が出るのも当然だった。
ついでにトランクリッドに付いた「318Ci」のエンブレムを「M3」に貼り替えれば完璧だ。まあ、走りはマルで異なるだろうが、何しろ価格が半分だから‥‥。
尤もMの値段は倍だがパワーは3倍だから、実はM3ってコスパが良い‥‥とか(笑
となると318Ciよりも更にコスパの良いモデルはないか‥‥というなら、318tiはどうだろうか。先代同様に3シリーズのリアオーバーハングを切り詰めて2ドアとしたものだが、このMスポーツならM3っぽくないかなぁ?
なお、MスポーツではないがE46コンパクト、318tiの試乗記がある。ただし、可なり初期のものなので内容は薄いが‥‥
⇒BMW 318ti 試乗記 (2001/12/10)
結果として、このMスポーツ戦略は大成功し、今では一番の売れ筋グレードとなっているくらいだ。そして、このような戦略をマルで無視していたメルセデスベンツでさえも、今ではAMGスポーツなんていうMスポと同じコンセプトのグレードを出しているし、レクサスのFスポーツなんていう、パクりそのものみたいなグレードがある。
ところが、日産のプレミアムブラントであるインフィニティには高性能ブランドが無いためにスカイラインなどでもこの戦略が使えない。GT -Rは日産ブランドだし、そもそもベースとなっている一般車が無い。
庶民のクルマ好きとがてはGT-Rは無理でもナンチャッてGT-Rが買えれば、と思ってもそれな無い。こんな戦略では落ち目になるのも当たり前だ。