クルマ試乗記の裏話25 【MARK X 前編】




日本経済が最高潮だった1980年代。普通の庶民が普通に働けば、ハイオーナーカーと言われるミドルクラスセダンが買えた時代だった。そんな世の中の波に載って国民的ベストセラーだったのが、トヨタ マークⅡだった。

何しろマークⅡと兄弟車のチェイサー、クレスタを合わせれば、月に軽く3万台は売れていたという凄まじさだ。そのマークⅡの頂点となったのはバブル真っ最中に開発され、1992年に発売された7代目X90だった。低くスポーティーなプロポーションにスタイリッシュなハードトップは、しかし剛性不足の代名詞だったが‥‥。

内装も一見すれば実に高級そうで、当時このような豪華なマークⅡは二度と出てこないだろうとも言われていた。

その予想通り、バブル崩壊と共に1996年に発売されたX100では、フロアパネルを流用したX90のコストダウンモデルだった。とは言え、目に見えてのコストダウンは感じられないのがトヨタの上手いところだ。そしてよく見れば、ダッシュボードは使いまわしで、金型は流用したようだ。

まあ、言ってみればビッグマイナーチェンジというところで、欧州車でいえばモデルライフ折り返しの後期モデルというところだ。

バブル期に開発されたGX90と、それをコストダウンしたGX100に続き、2000年に発売されたX110 は4ドアハードトップを捨てて、クラウンとシャーシを共用する4ドアセダンとして一新された。

X-110についてはワゴンとはいえ高性能版で兄ちゃん達が憧れのツアラーV、改めiR-Vに試乗している。
トヨタ マークⅡ ブリット 2.5iR-V(2002/07/27)

ところで、このモデルはリアコンビネーションランプのデザインを、事もあろうにメルセデスからパクっていたのだった。いや、こうして比べてみるとデザイン全体がそっくりで、パチもの感満載だ。

見かけだけでなくて中身までパクれば良いのだけれど、そうは行かないのが辛いところだ。

この時代のトヨタは未だこんな事をやっていたのだった。

そして次期モデルはマークⅡの名前を捨てて、マークXとなるのが

これについては後編にて。