2026年10月15日にタイのバンコクで閉幕したG20(20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議は、中東情勢の混乱に伴う世界的なインフレ懸念や金融市場の安定化について認識を共有したものの、議長国である米国のベセント財務長官が欠席し、共同声明や議長声明の採択は見送られる結果となった。
🔷主な協議内容と合意・議論のポイント

• インフレ再燃への懸念共有
中東情勢の混乱長期化を背景に原油などのエネルギー価格が高止まりしており、世界的なインフレ高進への強い懸念が共有された。物価高抑制に向けた各国中央銀行による利上げ状況や金融政策運営についても意見が交わされた。
• 長期金利の上昇と金融市場の安定
インフレへの不安や各国の財政悪化懸念から世界的に長期金利が上昇し、財政を圧迫している現状を踏まえ、金融市場の安定化に向けた政策協調が議論された。
• 為替相場の安定確認
為替の過度な変動や無秩序な動きが経済・金融の安定に悪影響を与えるという従来のG20合意を踏まえ、為替相場安定の重要性が改めて確認された。
• 重要鉱物のサプライチェーン強化
中国によるレアアース(希土類)の輸出規制などを念頭に、経済安全保障上の課題として重要鉱物の供給網(サプライチェーン)強化についても協議された。
🔷共同声明が見送られた背景

2026年のG20議長国は米国だが、ベセント米財務長官が本会議を欠席し、代理出席にとどまった。議長国のトップ不在に加え、地政学的リスクや通商・資源問題などを巡る参加国間の立場の隔たりもあり、全体での共同声明および議長声明の発出は見送られた。
🔷日本側の出席者と主な発言

日本からは片山さつき財務相と植田和男日銀総裁が出席し、会議および閉幕後の会見で以下の姿勢を示した。
• 片山さつき財務相(為替・市場動向)
会議の場および閉幕後の記者会見で「高い緊張感を持って金融市場の動向を注視する必要がある」と発言したことを明かし、過度な円安や為替変動に対しては必要に応じて躊躇せず行動する姿勢を強調した。
• 植田和男日銀総裁(金融政策)
バンコクでの会見において、日本の基調的な物価上昇率は目標の2%に近づいており、経済・物価が見通し通りに推移する中で「政策金利を引き上げ、緩和の度合いを調整していく」と述べ、段階的な利上げ姿勢を維持する考えを示した。