日本のバブル崩壊後の住宅ローン債務超過でも下層階級にならなかったのは何故か


日本の1990年代以降のバブル崩壊後も、多くのホワイトカラー世帯が「マンションの資産価値がローンの残高を下回る(含み損)」という債務超過状態に陥った。しかし、日本の中流層の多くは「下層階級への転落(社会的地位の剥奪)」までは至らず、苦しいながらも定年までにローンを完済できた。

日本がそれを可能にした理由と、現在の中国が直面している過酷な現実との間には、「雇用」「金融」「社会制度」「不動産リスク」における決定的な4つの違いがある。

簡単にまとめると‥‥

この違いを詳しく述べると‥‥

1.雇用のセーフティネット(日本の終身雇用 vs 中国の激しい流動性)
ローンを返し続けられるかどうかは、資産の額ではなく「毎月の現金(フロー)」が途絶えないかにかかっている。

• 日本:終身雇用と年功序列というクッション バブルが崩壊し「失われた30年」に入っても、日本の主要企業は簡単には社員を解雇しなかった(厳しい解雇規制)。
給与の伸びが止まり、ボーナスがカットされて生活は苦しくなったが、「毎月確実に一定の給与が入ってくる」状態が維持されたため、返済を破綻させずに耐え抜くことができた。

• 中国:突然の失職と極端な減給
中国の労働市場は流動性が高く、業績悪化や政府の規制転換(IT・学習塾業界など)によって、ホワイトカラーであっても明日突然リストラされるリスクが日常茶飯事であり、給与も「3〜5割カット」といったドラスティックな改定が容易に行われるため、フローが一瞬で崩壊する。

2.金融機関の柔軟性とリスケジューリング(救済 vs 容赦なき回収)
返済が行き詰まりそうになった際、銀行がどう対応したかも大きく異なる。
• 日本:柔軟な条件変更(リスケ)の文化
日本の金融機関は、住宅ローンの返済が苦しくなった個人の顧客に対して、返済期間の延長(例:35年ローンを40年に延ばす)や、毎月の返済額の一時的な減額交渉に比較的柔軟に応じた。政府も「金融円滑化法」などを通じて銀行に顧客の救済を促したため、破産を防ぐ猶予が与えられた。

• 中国:機械的かつ厳格な回収 中国の銀行(多くが国営・大手)は、個人の事情によるローンのリスケジューリングに極めて冷淡で、数ヶ月の滞納で即座に担保(物件)の差し押さえと裁判手続きへと移行する。

3.社会的・法的なペナルティの決定的な違い(信用情報 vs 身分剥奪)
ここが「下層階級への転落」を分ける最大の分水嶺となる。
• 日本:信用情報の制限のみ(生活の自由は維持)
日本で住宅ローンを返せなくなり、自己破産や任意売却をしたとしても、それは「信用情報機関(CICなど)に傷がつき、数年間新たな借入やクレジットカードが作れなくなる」という経済的・法的な制限にとどまる。新幹線に乗ることも、飛行機で旅行することも、子供を学校に通わせることも制限されず、社会的地位そのものを物理的に奪われることはない。

• 中国:「失信被執行人(ブラックリスト)」による人権的制限
前述の通り、中国にはローン未払いで裁判所から指定される「失信ブラックリスト」制度がある。これに載ると、高速鉄道(新幹線)や飛行機のチケットが買えない、高級ホテルに泊まれない、子供を私立学校や一定以上の教育機関に通わせられないなど、物理的に「まともな市民生活」から排除さる。これが、見かけだけでなく制度として「下層へ強制的に落とされる」仕組だ。

4.「住める家」が存在したか(物件の完成リスク)
バブル崩壊の「中身」そのものにも、日本にはない中国特有の悲劇がありる。
• 日本:価格は下がっても「住む場所」はあった 日本のバブル崩壊は「すでに完成して住んでいる家」の価値が下がった現象で、買い手にとって損は出たが、「住居」としての機能は果たしているため、家賃を別途払う必要はなかった。

• 中国:「爛尾楼(ランウェイロウ)」という二重苦
中国では、不動産デベロッパーが建設途中で倒産し、「マンションが未完成のまま放置される」ケースが多発している。購入者は「家には住めない(賃貸に住み続けなければならない)」にもかかわらず、「未完成の物件の住宅ローンだけは毎月引き落とされる」という、日本にはなかった極限の二重負担(家賃+住宅ローン)に直面し、これが破産を加速させている。

総括
日本のバブル崩壊後の中流層は、「資産は目減りしたが、雇用と住居と社会的権利は守られたため、細く長く返済し続けることができた」と言える。 対する中国の中産階級は、「資産が目減りした上に、雇用を失い、住む家すら手に入らないまま、法的に社会的地位まで剥奪される」という四重苦にあるため、「下層への転落」という表現が現実味を帯びてしまうのだった。

結局、日本のバブル崩壊後の政策は決して悪くなかった、というか、中国が酷すぎたということだ。

これこそ、中国の歴史で最も無能な権力者といわれている所以だ。