BYDの新交通システムは品質最悪欠陥システムだった





BYDの新交通システム(特にモノレール「雲軌 / SkyRail」)に関する国内外でのトラブルや直面している厳しい実態について、メディアや経済誌などの報道(Bloombergや経済調査など)を元に状況をまとめる。

結論から言うと、このプロジェクトは経済メディアから「BYDにとって最初の重大な失敗(First major failure)」とも評されるほど、国内外で深刻な行き詰まりを見せている。

🔷中国国内での実態:放置、凍結、そして「錆びゆくインフラ」
2016年の華々しい発表以降、BYDは中国国内の約20都市と契約を結び、建設を進めた。しかし現在は、複数の都市で建設が完全に頓挫し、未完成のまま放置された高架や駅舎、錆びついた車両が問題視されている。

• 中央政府による厳しい抑制(債務問題):最大の原因は、中国政府(国家発展改革委員会:NDRC)による地方債務の抑制策で、2018年以降、地方政府のインフラ投資に対する規制が劇的に厳格化され、人口や財政力が見合わない都市での軌道交通建設が認められなくなった。

• 規制逃れの摘発とプロジェクトの凍結 :湖南省衡陽市や安徽省蚌埠市、桂林市などで、BYDは「観光用路線」などの名目で国の審査を回避しようとしたが、中央政府に厳しく差し止められ、工事が強制停止された。膨大な予算が投じられたまま、街の真ん中に未完成のコンクリート高架がゴーストインフラとして残されている。

• システム転換(雲巴への後退):大規模なモノレール「雲軌」が行き詰まったため、BYDはより簡素で法規制の網をくぐりやすい小型の「雲巴(SkyShuttle)」へ戦略をシフトせざるを得なくなった。しかし、これも当初描いていた「地下鉄に代わる都市幹線交通」という野望からは大幅なスケールダウンとなっている。

🔷海外輸出での実態:異例の長期遅延と技術的ミスマッチ
海外進出の目玉だったプロジェクトでも、計画の頓挫や、数年単位の異例の遅延が相次いでいる。

• ブラジル・サンパウロ17号線(ゴールドライン)の泥沼化: BYDの海外展開で最も注目されているプロジェクトだが、当初の開業予定から10年以上遅れるという深刻な事態に陥っている(直近では2026年内の部分開業を目指して試験中)。

◦ 技術的な二度手間:もともとこの路線はマレーシア企業(スコミ・レール)の設計で高架やレール(軌道ビーム)が作られていたが、同社の破産によりBYDが後を引き継いだ。他社の設計に自社の車両やシステム(信号・制御・ホームドア)を無理やり適合させなければならず、技術的な調整と安全性の担保に膨大な時間とコストが費やされている。

• ブラジル・サルヴァドール路線の「契約解除」:ブラジル・バイーア州サルヴァドールで進められていたSkyRailプロジェクト(約700億円規模)は、遅延とコスト上昇の末、2023年に州政府から契約を完全解除された。州政府側は「当初の合意内容が守られなかった」としており、BYDの海外インフラビジネスの信頼性に大きな傷をつけた。

なぜ自動車のような「勝ちパターン」にならなかったのか?
BYDはEV(電気自動車)市場では圧倒的な垂直統合(バッテリーから半導体まで自社製)成功したが、鉄道インフラの世界ではその強みが裏目に出ている。

🔷インフラビジネスへの見通しの甘さ:自動車は「売って終わり」だが、公共交通は30年、50年というスパンで都市計画、法規制、安全認証、そして政治的リスクと付き合う必要がある。BYDはこのノウハウが乏しく、中国政府の規制変更や海外の自治体との交渉で完全に後手に回りった。

🔷実績(信頼性)の圧倒的不足:日立製作所やアルストム、シーメンス、あるいは中国国営の中国中車(CRRC)といった実績のある鉄道巨人に比べ、BYDのシステムは歴史が浅く、「本当に何十年も安全に稼働できるのか」という実績(トラックレコード)が乏しいため、海外の買い手から警戒されやすいという側面がある。

かつてウォーレン・バフェット氏の支援も受けて大々的に打ち出された「SkyRail」だが、現在はEV事業の黒字の陰で、「手痛い不採算セクター」として厳しい目を向けられているのが実態だ。