軍事施設も経済も壊滅的なイランだが、一般国民の生活はどうなっているのだろか。
2026年5月現在、イランの一般国民の生活は、「ハイパーインフレによる経済の崩壊」と「空前の政治的混乱」という、極めて過酷な二重苦の中にある。
1.経済状況:生活の根底を揺るがす物価高騰
通貨リアル(Rial)の価値が暴落し、国民の購買力は事実上失われている。
• ハイパーインフレ:通貨価値の急落により、肉などのタンパク源は「贅沢品」となり、多くの家庭で手が届かなくなっている。2026年4月の報道では、最低賃金が月2億リアル程度であるのに対し、ハンバーガー1個が500万リアルに達するなど、日常生活の維持が不可能なレベルに達している。

• 食料・薬品の深刻な不足:主食の米や砂糖、食用油だけでなく、医薬品の不足も深刻化している。政府は現金給付を担保にした「ツケ払い(クレジット)」での食料購入を推奨し始めたが、事態の改善には至っていない。
• インフラの麻痺:大規模な停電が頻発しており、市民の生活や産業に大きな支障が出ている。
2.社会・政治状況:かつてない規模の抗議と弾圧
2025年末から2026年初頭にかけて、経済難をきっかけとした1979年の革命以来最大規模とも言われる反政府デモが発生した。

• 徹底した情報統制:2026年1月には、政府によって前例のない規模のインターネット遮断が行われた。外部との連絡がほぼ完全に断たれた「暗黒の1週間」があり、現在も検閲が非常に厳しくなっている。
• 激しい武力鎮圧:人権団体の報告によると、1月のデモに関連して数千人から数万人規模の死傷者・逮捕者が出ているとされている。現在は表面上「沈静化」しているが、これは治安当局による徹底的な抑え込みによるもので、国民の不満は極限まで高まっている。

3.外的要因:軍事緊張の影響
米国やイスラエルとの軍事的な衝突が激化しており、これが経済不安に拍車をかけている。
ただし、今現在は停戦中だが、何時また始まるか分からない。
• 空爆のリスク:主要都市やインフラ施設が攻撃の対象となっており、いつどこで戦火に巻き込まれるか分からないという恐怖が、国民の心理的負担となっている。

• 経済制裁の継続:制裁による孤立が続いており、外貨不足と物資不足の出口が見えない状況だ。
日本政府(外務省)は2026年3月時点で、イラン全土に対して最高レベルの「レベル4:退避勧告」を発出している。観光やビジネスを含め、いかなる目的であっても渡航は不可能な、非常に危険な状況といえる。