韓国政府が電子入国申告書の表記を変更したことに対し中国側が「一つの中国」原則に反するとして不満を抱き、予定されていた王毅外相の訪韓調整が停滞していると報じられている。ただし、韓国外交部は「訪韓見送りは事実ではない」と否定しており、公式な外交見解と報道の間で情報が分かれている状況だ。
1.表記問題の発端(台湾 vs 韓国)
事の発端は、韓国が導入した電子入国申告書(K-ETA)のシステムにあった。
• 問題の表記: 出発地や目的地の選択肢に、台湾が「CHINA (TAIWAN)」と表記されていた。
• 台湾の反発: 台湾の頼清徳政権は、これが台湾の主権を侵害するものとして強く反発。2026年3月、台湾側は対抗措置として、韓国人の居留証における「韓国」という表記を「南韓」に変更し、是正されなければさらなる措置を取ると通告した。
2.韓国の対応(2026年3月末)
台湾との外交・民間交流の悪化を避けるため、韓国政府は2026年3月31日、以下のような「技術的な解決策」を講じた。
• 項目の削除: 台湾という表記を書き換えるのではなく、システム全体から「直前出発地」と「次の目的地」という入力項目自体を削除した。
• 韓国の立場: これにより「中国(台湾)」という文言自体が消えたが、韓国側は「あくまで入国手続きの簡素化という行政上の措置である」と説明した。
3.中国の難色と外相訪韓への影響(2026年4月)
この「表記削除」が、今度は中国(北京)を刺激する形となった。
• 中国の主張: 中国外務省は「台湾は中国の一部であり、『中国(台湾)』と表記するのは当然である」との立場を改めて表明。韓国が台湾側の要求を事実上受け入れ、表記を消したことに対して不快感を示した。
• 訪韓見送りの報道: この問題が表面化して以降、2026年に入り調整されていた王毅外相の訪韓計画を延期したとの報道が韓国メディアから相次いでいる。
• 韓国政府の公式見解: 一方で、韓国外交部は4月20日、「表記変更が訪韓見送りの原因であるという報道は事実ではない」と否定。「韓中首脳会談のフォローアップとして王外相の訪韓は引き続き歓迎しており、緊密に意思疎通している」と釈明に追われている。
まとめ:現在の状況
現在の韓中関係は、「台湾の顔を立てれば中国が怒り、中国の顔を立てれば台湾(および支持する国民世論)が怒る」という非常に難しい板挟みの状態にある。
外相訪韓が完全に見送られたわけではないが、中国側がこの問題を「一つの中国」に関わる政治的シグナルと受け取っているため、具体的な日程調整が難航しているのが実情のようだ。