中国はEV化に対応した低炭素発電が出来るのか【前編】





中国にとってEV化は単なる環境対策ではなく、有事の際に海上輸送路(マラッカ海峡など)を封鎖されても国内の移動・物流を維持するための「究極のエネルギー安全保障」だ。

確かにEVのエネルギーである電気は、発電に関して現在の中国では石油はほぼ使用しない。しかし内訳は石炭が半分であり、しかも日本のような低炭素石炭発電の技術が無く、加えて中国産の石炭は不純物が多いこともあり、大気汚染という面では極めて問題が多い。

中国が直面している「不純物の多い石炭による大気汚染」と「再生可能エネルギーの不安定さ」という二つの難題に対し、2026年現在、中国は石炭火力そのものを再定義するという大胆な手法で解決を図っているそうだ。だだし、以下は中国の言い分だから、話半分として受け止めるべきだが。

結論から言えば、中国は石炭火力を「主役」から「再エネのバックアップ(調整役)」へと強制的にシフトさせている‥‥とか。

1.石炭火力の「クリーン化」と「柔軟性」向上
中国産の低品質な石炭を使いつつ汚染を防ぐため、中国政府は「超低排出(Ultra-Low Emission)」改造をほぼ全ての大型発電所に義務付けた。

• 大気汚染対策:硫・脱硝装置の高度化により、最新鋭のプラントではSOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)の排出を日本の基準に近いレベルまで抑え込む「力技」の設備投資を行っている(と言っている)。

• 「ベースロード」からの脱却:これまでの石炭火力は一定量を通年で燃やし続けるのが効率的だったが、2027年までに全てを柔軟運用(フレキシブル運用)」に対応させる改造を進めている。
◦ 太陽光が発電する昼間は出力を極限まで下げ、夜間や無風時に一気に出力を上げる「調整弁」としての役割を担わせている。

2.再エネの不安定さを克服する「巨大な蓄電網」
太陽光や風力の欠点である「夜間・無風時の空白」を埋めるため、中国は世界最大規模のエネルギー貯蔵システムを構築している。

解決策 内容と2026年現在の状況
新型蓄電池 (BESS) :リチウムイオン電池を中心とした巨大な蓄電基地を全土に建設。2027年までに世界の総容量に匹敵する180GWの導入を目指している。
しかし、ひとたび火災になったら恐ろしい事になりそだが。

揚水発電 :山の上下にダムを作り、余った電気で水を汲み上げ、必要な時に落として発電。中国はこの分野で世界シェア1位を独走している。

長距離・高圧送電 (UHV) :西部の砂漠地帯(太陽光・風力が豊富)で発電した電気を、数千キロ離れた東部の消費地へ「超高圧」でロスなく送る巨大な送電網を整備している。
(ロスなく長距離送電というのが、これまた胡散臭いが)

3.「石炭+再エネ」のハイブリッド戦略
中国は現在、石炭を「悪者として排除する」のではなく、「再エネを100%活かすための保険」として使い倒す戦略をとっている。

• 石炭火力への「容量市場」導入:発電した電気の量だけでなく、「いつでも動かせる状態で待機していること」に対して対価を支払う仕組みを導入し、石炭火力発電所が赤字にならずにバックアップ任務に専念できる環境を整えている。

• スマートグリッド:AIを用いて、気象予測と石炭火力の出力を秒単位で同期させ、電力網のパンクを防いでいる。

まとめ
中国のやり方は、「最先端の再エネ」と「旧来の石炭」を、超巨大な蓄電池と送電網で無理やり繋ぎ合わせるというものだ(と中国が言っている)。

大気汚染については大型発電所では劇的に改善しているというが、「不純物の多い石炭」を燃やすこと自体は続いているため、回収した不純物の廃棄物処理や、稼働率が下がった石炭火力の維持コストが、2026年以降の中国経済における新たな火種となっている。

しか~し、これで終わらないのが中国であり、発電のクリーン化の取り組みは良いとしても、これら大規模な設備となれば、中国の常である幹部の中抜きにより、設備の耐久性がなかったり、スペックどおりの性能が出せなかったり、 という事は当然ながら発生するだろう。

これについては後編にて