火力発電が「脱炭素」を実現するための「アンモニア発電」と「CO2回収型」





日本の石炭火力発電は、世界最高水準の発電効率を誇る技術だが、今後はより厳しい排出ガス規制(「脱炭素」)に対応するために2つの主要なアプローチ、「アンモニア発電」と「CO2回収型(CCS/CCUS)」が必要となる。

これらは、既存の発電設備を有効活用しながら、排出される温室効果ガスを実質的にゼロに近づけるための重要な技術となる。以下その内容についてまとめる。

1.アンモニア発電(燃料の脱炭素化)
石炭にアンモニアを混ぜて燃やす技術で、アンモニアは燃焼してもCO2を排出しないため、石炭の使用量を直接減らすことができる。

• 仕組み:既存の石炭火力発電所のボイラーで、石炭と一緒にアンモニアを噴射して燃焼させる。

• 現在の状況(2026年):
◦ 混焼実証: JERAの碧南火力発電所などで、石炭の20%をアンモニアに置き換える大規模実証が行われている。
◦ 専焼への道:将来的にはアンモニア100%(専焼)での発電を目指しており、これが実現すれば、火力発電所でありながらCO2排出はゼロになる。

• 課題:
◦ コスト:アンモニアの製造・輸送コストが高く、政府による価格差補填などの支援が議論されている。
◦ サプライチェーン: 発電に大量のアンモニアを必要とするため、海外からの安定的な調達網の構築が急務となる。

2.CO2回収型発電(排出後の処理)
発電の際に出る排ガスからCO2だけを取り出し、大気中に放出しない仕組みで、CCSやCCUSと呼ばれる。

• 用語の整理:
◦ CCS (Carbon Capture and Storage): 回収したCO2を地中深く(枯渇した油田やガス田など)に封じ込めて貯留する。

◦ CCUS (Carbon Capture, Utilization and Storage): 回収したCO2をコンクリートの材料や化学製品、あるいは野菜の栽培などに「利用」しながら貯留する。

• 仕組み:排ガスを特殊な液体(吸収液)に通してCO2を溶かし込み、その後加熱してCO2だけを取り出す「化学吸収法」が一般的だ。

• 現在の状況(2026年):
◦ 法整備:日本では「CCS事業法」などの法整備が進み、民間企業が事業化しやすい環境が整えられている。
◦ 実証プロジェクト:北海道の苫小牧などで大規模な貯留実証が行われており、2030年頃の本格的な商用化を目指している。

• 課題:
◦ 適地の確保: 日本国内でCO2を安全に長期間貯留できる場所(地層)の選定が必要となる。
◦ エネルギーロス: CO2を回収・圧縮するためにエネルギーを消費するため、発電所全体の効率が低下してしまう。

3.両者の組み合わせによる将来像
政府は2035年までに「排出削減対策の取られていない石炭火力」を廃止する方針で、そのため、今後の火力発電は以下の形へと収束していく
① アンモニア混焼率を20%→50%→100%(専焼)へと引き上げる。
② どうしても出てしまう残りのCO2を、CCS/CCUSで完全に回収する。

これにより、日本の高い発電技術(IGCCなど)を維持しつつ、電力供給の安定(太陽光などのバックアップ)と脱炭素を両立させようとしている