イランはホルムズ海峡の封鎖を宣言したが、中国を代表とするイランに友好的な国家は通過させると表明していたが、なんと中国船も阻止されたという報道が出てきた。
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これによれば、3隻のうち2隻は香港船籍で、中国のコスコが用船するコンテナ船で、最近、アラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアの港に寄港した。もう1隻はマーシャル諸島船籍のバルク船で、中国資本の会社が用船しているという。
イラン革命防衛隊(IRGC)が中国船の通過を阻止したという異例の事態には、2026年3月末現在の緊迫した情勢と、トランプ大統領の「揺さぶり」に対するイラン側の強い反発が背景にある。
主な理由は以下の3点に集約される。
1.トランプ大統領の「贈り物」発言への猛反発
最大の直接的な引き金は、トランプ大統領が3月26日の閣議で行った発言だと分析されている。
• 背景:イランはこれまで、中国やパキスタンなど「友好的な国」の船舶には限定的に通過を許可していた。
• トランプ氏の発言:これに対しトランプ氏は「イランがパキスタン船などの通過を許可したのは、停戦に向けたイランからの『贈り物(譲歩)』だ」と勝利宣言のように述べた。
• イランの反応:革命防衛隊はこの発言を「事実を歪曲した米国のプロパガンダ」と猛烈に批判。「通過許可は米国の圧力による譲歩ではない」ことを証明するため、あえて友好国であるはずの中国船に対しても「海峡は完全に封鎖されている」と誇示する行動に出たと考えられている。
2.「受益者負担」を求める米国への対抗策
トランプ政権は、中東の石油に依存している中国などの国々に対し、「自国の商船を守りたいなら、自ら軍隊を派遣して安全を確保しろ」と要求している。
• イラン側からすれば、中国船をあえて阻止することで、「米国が守ってくれない以上、中国といえども我々の許可なしには通れない」という現実を突きつけ、中国に対して「米国の軍事行動を止めるよう、もっと強力に働きかけろ」という圧力をかけた形だ。
3.「例外なき封鎖」による抑止力の誇示
2月後半に米国・イスラエル連合軍がイランへ大規模攻撃を行って以降、イランは「敵対国(米国・イスラエル)に関係する船舶の通過は一切認めない」としている。
• 当初は中国船を黙認していたが、戦況が悪化しトランプ氏が軍事作戦の終結を示唆(ただし封鎖は放置) し始めたことで、イランは「中東の安定なしに、特定の国だけが利益を得ることは許さない」という強硬姿勢に転じた。中国船を止めることは、世界経済に最大のインパクトを与え、米国の「放置戦略」を失敗させるための最も強力なカードとなる。
今後の懸念
中国はイラン産原油の最大の買い手であり、両国は25年間の協力協定を結ぶ戦略的パートナーだ。その中国の船を止めるという行為は、イランがいかに追い詰められ、なりふり構わぬ状況にあるかを示している。
これにより、これまで「中国船なら大丈夫だろう」と楽観視していた市場の期待が裏切られ、アジア全体のエネルギー供給リスクが一段と深刻化している。日本にとっても、中東情勢の沈静化がいかに遠のいているかを物語る深刻なサインと言えるだろう。