日本の石炭火力発電は、世界最高水準の発電効率を誇る技術(クリーン・コール・テクノロジー)を保有している。
2026年現在の状況を踏まえ、技術の種類、政府の方針、今後の展望について整理した。
1.日本が保有する高効率化技術の種類
石炭火力は、蒸気の温度と圧力を上げるほど効率が高まり、CO2排出量を抑制できる。日本は以下の段階的な技術を有している。

2.日本政府の方針と現状(2026年時点)
かつては「高効率な石炭火力は低炭素化の現実的手段」とされていたが、国際的な脱石炭の潮流を受け、現在は以下の方針をとっている。
• 非効率石炭火力のフェードアウト: 2030年度までに、発電効率の低い(旧式の)石炭火力発電所を段階的に休廃止させる方針を閣議決定している。
• G7での合意(2035年廃止): 2024年のG7環境相会合において、排出削減対策が講じられていない石炭火力を「2035年までに廃止する」ことで合意した。日本もこの流れに沿った舵取りを迫られている。
• 「排出削減対策」の定義: 単に「高効率」であるだけでは不十分とされ、後述する水素・アンモニア混焼やCCS(CO2回収・貯留)の併用が前提となりつつある。
3.次世代への「脱炭素型火力」への進化
現在、日本の石炭火力は単なる「高効率化」から、「燃料そのものの脱炭素化」へとシフトしている。
① アンモニア混焼・専焼:
燃やしてもCO2を出さないアンモニアを石炭に混ぜて燃やす技術で、2024年には碧南火力発電所で20%混焼の大規模実証が成功しており、将来的にはアンモニア100%(専焼)を目指している。
② CCS/CCUSとの組み合わせ:
排出されたCO2を回収して地中に埋めたり(CCS)、素材として再利用したり(CCUS)することで、実質的な排出量をゼロに近づける取り組みがある。
③ 電力系統の調整力:
再生可能エネルギー(太陽光・風力)は天候によって出力が変動するため、その不足分を補う「調整力」として、応答性の高い高効率火力の役割が再定義されている。
まとめ
日本の石炭火力は、「世界トップの効率」を維持しつつも、国際社会からは「2035年までのフェーズアウト」を求められている状況だ。今後は、既存の高効率インフラを活かしながら、いかに早く「アンモニア発電」や「CO2回収型」へ転換できるかが、日本のエネルギー安全保障と環境対応の両立における最大の焦点となる。