イランによる周辺国(サウジアラビア、UAE、カタールなど)への攻撃に対し、被害を受けた国々は現在、「自衛権の行使」を辞さない構えを見せつつ、非常に慎重かつ段階的な対応を取っている。
2026年3月末時点での周辺諸国の動向と反撃の準備状況を整理した。

1.軍事的な反撃準備の現状
周辺国、特に湾岸協力会議(GCC)諸国は、単独での即時報復ではなく、共同防衛体制の強化と米軍との連携を優先している。
• 迎撃態勢の最大化:UAEやサウジアラビアは、米軍の協力のもと、パトリオットミサイルやTHAAD(高高度防衛ミサイル)をフル稼働させている。これまでに数千発規模のドローンやミサイルを迎撃しており、まずは「守り」を固めることで被害の拡大を防いでいる。

• 「レッドライン」の設定:サウジアラビアのファイサル外相は、「我々の忍耐は無限ではない」と述べ、さらなる重要インフラ(石油施設や都市部)への攻撃が続く場合、「相応の能力(軍事力)を動員する準備がある」と表明している。
• 共同軍事行動の模索:サウジアラビアのムハンマド皇太子(MBS)とUAEのムハンマド大統領(MBZ)は緊密に連絡を取り合っており、イランに対する共同の軍事オプション(反撃計画)を協議していると報じられている。
2.周辺国の葛藤と「反撃」へのハードル
周辺国がすぐに大規模な反撃に踏み切らないのには、いくつかの戦略的理由がある。
• 全面戦争への懸念:イランへの直接攻撃は、さらなる報復(弾道ミサイルの雨)を招き、自国の都市や経済が壊滅的な打撃を受けるリスクがある。
• 米国の動きへの注視:現在の戦争の主力は米・イスラエル連合軍であり、周辺国は「自国が戦場になること」を極めて恐れており、トランプ政権に対し、イランを叩くだけでなく、自分たちの安全をどう保証するのかを強く迫っている状況だ。
• 外交ルートの維持:カタールやオマーンなどは、攻撃を受けつつも依然として仲介の道を模索しており、軍事解決以外の「出口」を完全には閉ざしてはいない。
3.今後のシナリオ
反撃が行われる場合、以下のような形が想定されている。
① 対等な報復(チット・フォー・タット):自国の石油施設が攻撃された場合、イラン側の軍事拠点や港湾をピンポイントで攻撃する。
② 米軍への後方支援拡大:自ら直接手を下すのではなく、米軍によるイラン攻撃のために基地使用や給油などの協力をさらに強化し、米軍に「代行」させる。
③ 経済・サイバー戦:物理的なミサイル攻撃に代わり、イランのインフラを狙った大規模なサイバー攻撃や、さらなる経済封鎖を実施する。
結論
周辺国は「反撃する能力」は保持しており、その準備も整えているが、現在は「これ以上のエスカレーションを防ぐための抑止力」としてそのカードを温存している段階である。
もし今後、イランが一般市民への無差別攻撃をさらに激化させたり、周辺国の存立を脅かすレベルの破壊を行ったりした場合、これらの中東諸国が米イスラエル側に参加し、本格的な「対イラン包囲網」による反撃が始まる可能性がある。