2026年3月現在、イランと米欧・イスラエル間の紛争は新たな局面を迎えた。特にイエメンの親イラン武装組織フーシ派が、28日にイスラエル本土へのミサイル攻撃を行い、正式に参戦を表明したことで、事態はさらに深刻化すると予想される。
今後想定される主な状況は以下にまとめる。
1.「紅海・バブ・エル・マンデブ海峡」の封鎖リスク
すでにイランがホルムズ海峡の封鎖を宣言しているが、フーシ派*の参戦により、紅海の入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡(マンデブ海峡)も事実上の戦域となる。
*フーシ派は、イエメン北西部を拠点に活動するシーア派(ザイド派)系の武装組織・政治勢力

• 物流への打撃:喜望峰経由への迂回が恒久化し、海上輸送費の急騰や供給網(サプライチェーン)の断絶が加速する。
• エネルギー市場の混乱:湾岸諸国からの石油・ガス輸出が両海峡で阻害されるため、世界的なエネルギー価格の高騰が避けられない。

2.「抵抗の枢軸」による多角的な波及(マルチフロント)
フーシ派の参戦は、イランを中心とする「抵抗の枢軸」(レバノンのヒズボラ、シリア・イラクの親イラン民兵など)による同時多発的な攻撃の合図となる可能性がある。
• イスラエルへの直接攻撃:フーシ派は、イラン本国よりもイスラエルや紅海の米軍基地に近い位置にあり、ドローンやミサイルによる継続的な嫌がらせ攻撃が可能となる。
• 米軍基地への標的拡大:ヨルダンやUAE、サウジアラビアに駐留する米軍資産が、フーシ派の長距離兵器の射程内に入るため、これらの地域での緊張も高まる。
3.周辺諸国(サウジアラビア・UAE)の苦境
フーシ派は「米軍を支援する国も標的とする」との姿勢を見せている。
• インフラ攻撃の再開:過去にあったように、サウジアラビアの石油施設(アラムコ等)やドバイの空港などが再び標的となる恐れがあり、地域全体の経済活動に冷や水を浴びせる事になる。
• イエメン内戦の再燃:2022年以降続いていたイエメン国内の「静かな停戦」が崩壊し、人道危機がさらに悪化する懸念がある。
4.国際社会の軍事介入の激化
トランプ政権(2026年3月時点)はフーシ派への即時報復を命令しており、イエメン国内の軍事拠点への空爆が拡大すると思われる。しかし、フーシ派は地下施設や移動式発射台を多用するため、空爆のみで完全に抑止することは難しく、紛争が泥沼化・長期化するシナリオが濃厚となっている。
現状から単なる局地的な戦闘にとどまらず、「世界のエネルギー供給網を人質に取った非対称戦争」へと変質していく可能性が高いと考えられる。